2025年08月01日 00:00
赤ちゃんが人見知りをしないと、つい「うちの子は大丈夫?」と不安になる親も少なくありません。しかし、赤ちゃんが人見知りしないのは珍しいことではなく、一概に「しない=発達の遅れ」とは限らないのです。 人見知りは脳の発達や性格、感情表現の成長とも深く関係しており、そのタイミングや強さには幅があります。こうした特性を理解しておくことで、安心感を持って育児に取り組むことができるでしょう。 今回は、人見知りが起こる時期や発達の仕組み、人見知りがなくても安心して育児に取り組めるポイントについて詳しく解説します。
赤ちゃんが人見知りをしないと、不安になる親は多いものです。特に、周囲の赤ちゃんが知らない人を見て泣いたり、ママにしがみついたりする姿を見ると、さらに心配になるのも無理はありません。しかし、赤ちゃんが人見知りしないことは、必ずしも発達の遅れを示すものではないのです。
ここでは、赤ちゃんの発達段階における人見知りや、人見知りの有無だけで発達を判断しない理由について解説します。
人見知りは、成長の一環として多くの子に見られる自然な反応です。これまで誰にでも笑顔を向けていた赤ちゃんが、急に知らない人を見て泣いたり、親のそばから離れなかったりする様子に驚くこともあるでしょう。しかし、これは赤ちゃんの脳と心がしっかりと育っている証なのです。
また、人見知りは単なる不安や怖がりではなく、社会的な発達とも深く関わっています。親との愛着関係がしっかり築かれていると、赤ちゃんは「この人(ママやパパ)が一番安心できる存在」と感じるようになり、それ以外の人に対して警戒してしまうのです。
ただし、すべての赤ちゃんが同じように人見知りをするとは限りません。なかには、穏やかな性格で誰にでも微笑む子もいれば、初めて会った人にも動じないタイプの子もいます。一見、人見知りをしないからといって不安を感じたり、発達の遅れだと判断したりしないようにしましょう。
赤ちゃんが人見知りをしないと、「発達が遅れているのでは?」「うちの子、どこかおかしいのかな?」と不安になる親が多いのも事実です。しかし、人見知りの有無やタイミングには個人差があるため、「しない=発達の遅れ」とは判断できません。
人見知りは、赤ちゃんの成長過程で見られる発達のひとつです。ただし、この人見知りが強く表れる子もいれば、ほとんど見られない子もいます。他の子が人見知りをしているからといって、我が子にそれが見られないことを発達の遅れだと不安になる必要はありません。
大切なことは、赤ちゃんが今どのように周囲と関わり、どんな反応を示しているかをやさしく見守ることです。その視点を持つことが、親として赤ちゃんの成長を支える力になるでしょう。
赤ちゃんの発達を見守るなかで、「人見知りをするかどうか」は一つの目安になりますが、理解しておきたいのは、発達には社会性、言語、運動、感情の発達など多様な側面があるということです。そのため、人見知りが目立たなくても、他の発達領域で成長を感じることがあるでしょう。
人見知りをしないことに焦点を置くのではなく、赤ちゃんの発達における多様な側面にもしっかりと目を向けることで、成長の喜びを感じることができます。この喜びを楽しみにしながら、ぜひ育児に取り組んでください。人見知りの有無に関する不安も軽減されるでしょう。
人見知りは、あくまでも発達の一部分に過ぎません。赤ちゃんの成長全体をあたたかく見守る視点を心がけてください。
人見知りは急に始まることもあれば、ある程度月齢が進んでから強く出ることもあります。赤ちゃんは日々において成長が著しい時期です。今の時点で人見知りが見られなくても、焦る必要はありません。
ここでは、人見知りが始まる時期や人見知りの有無に影響する要因などについて解説します。
一般的に、人見知りは生後6〜9か月頃に始まるとされています。この時期は赤ちゃんの脳が発達し、視覚や記憶の働きがより活発になっていくからです。それまでは「見るものすべてが新鮮」という感覚だったのが、次第に「いつも見る人」と「初めて会う人」の違いが認識できるようになります。
つまり、こうした人見知りの基礎となる「人の区別」が始まる前は、人見知りが目立ちにくい時期でもあります。始まる時期に個人差はありますが、同じ生後6か月前の赤ちゃんが人見知りを始めたからといって、焦る必要はありません。ゆったりとした気持ちで赤ちゃんの成長を見守りましょう。
人見知りをしない赤ちゃんも、その多くが日々において発達のサインを示しています。
まず注目したいのは、表情の豊かさです。
人見知りをしない赤ちゃんでも、親の顔を見ると目を細めて笑ったり、声を出して喜んだりする様子があれば、愛着関係が築かれている証といえるでしょう。これは感情表現や対人関係の基盤となる、大切な発達サインのひとつです。
また、環境への好奇心も大きな成長のあらわれです。
人見知りをしない赤ちゃんのなかには、新しい場所や人、音などに対して警戒心を見せず、積極的に関わろうとする子がいます。これは、安心感がベースにあること、そして探索行動が順調に進んでいるあらわれともいえるでしょう。
もちろん、これらの発達がすべて揃わなければならないというわけではありません。大切なことは赤ちゃんがどのように周囲と関わり、自分なりに気持ちを表現できているかに目を向けることなのです。
赤ちゃんが人見知りを始める背景には、人を区別する力の発達が関係しています。
ただし、こうした発達的な側面だけでなく、赤ちゃん自身の気質も人見知りの有無に影響を与えているのです。
たとえば、生まれつきおおらかで変化に動じにくい子は、初めて会う人に対しても警戒心を示さない傾向があります。一方で慎重で敏感な子は、少しの変化にも敏感に反応し、人見知りが強く出ることもあるでしょう。これらは気質の違いであり、比べて不安になる必要はありません。
また、生活環境も人見知りの有無に影響する要因の一つです。
たとえば、保育園に通っていたり、きょうだいや来客が多い家庭で過ごしていたりする場合、赤ちゃんは日常的に多様な人と接することになります。そのため、「知らない人=不安」という反応が起こりにくい場合もあるでしょう。これは赤ちゃんが人に慣れている経験によるものであり、むしろ外の世界に興味を持ち、自信を持って関われているともいえます。
加えて、親子の愛着関係も人見知りの有無に影響を与えるとされています。
赤ちゃんが親から十分な安心感を得ていると、外の世界に目が向きやすくなるでしょう。そのため、知らない人にも自分から興味を示し、笑顔を見せるなどの反応が見られます。ただし、愛着が築かれていても、親以外の存在に不安を覚えやすい赤ちゃんもいます。どちらもその子なりの発達の過程であることを理解しておきましょう。
こうした人見知りの有無には、赤ちゃんの性格や環境、日々の関わり方など、さまざまな要素が重なっています。その子らしさを活かして成長を支えましょう。
人見知りが始まる時期やその強さには個人差があるため、まったく見られない赤ちゃんもいれば、1歳を過ぎてから強く出る子もいます。この違いに過敏になりすぎず、その子のペースを尊重するようにしましょう。
ここでは、赤ちゃんが人見知りをしなくても安心感を持って育児に取り組むために、親が知っておくべきポイントを解説します。
赤ちゃんは言葉を理解していないように見えても、親の表情や声のトーン、雰囲気から感情を敏感に感じ取っています。
たとえば、人見知りをしないことを理由に親が不安な顔をしていると、赤ちゃんも無意識にそれを受け止めてしまうのです。そうなると赤ちゃん自身も安心して過ごすことが難しくなったり、甘えやぐずりが強まったりする場合もあるでしょう。
さらに、赤ちゃんが人見知りをしないという過度な心配から、あらゆる場面を先回りして避けたり、他人と関わる機会を極端に減らしてしまったりすると、新しい人や環境への適応力を育むチャンスを逃してしまうこともあります。もちろん無理に慣れさせる必要はありませんが、赤ちゃんが適応する機会を奪わないように気をつけましょう。
人見知りは、すべての赤ちゃんが泣いたり、警戒心を抱いたりするわけではありません。表現の仕方には個性があります。その違いを理解することが、親と赤ちゃんに安心感をもたらしてくれるでしょう。
たとえば、見知らぬ人が近づいても泣かずにじっと見つめ、体を硬くするだけの赤ちゃんもいます。表面的には落ち着いているように見えても、赤ちゃんなりに不安や警戒心を抱いているともいえるでしょう。こうした反応は、感情を強く表に出さないタイプの赤ちゃんに、しばしば見られます。
赤ちゃんが泣かなかったり、反応がないからといって無関心だと決めつけたりしないよう、細かな反応にも目を向けるようにしましょう。
赤ちゃんの成長を見守るなかで、人見知り以外にも注目すべき成長のサインはたくさんあります。それらに目を向けることで、赤ちゃんの発達段階や個性をより深く理解できるでしょう。
赤ちゃんは人との関わり方だけでなく、視覚や聴覚、運動機能、好奇心の芽生えなど、さまざまな能力が著しく発達していきます。こうした発達の積み重ねが、赤ちゃんの「社会性」や「感情表現力」といった力に結びついていくのです。
また、言葉の前段階となる「喃語(なんご)」をよく発していたり、好きな絵本に反応を示すといった行動も、コミュニケーション能力の土台づくりにおいては大切なことです。たとえ人見知りの反応が目立たなくても、こうした日常的なやり取りのなかで赤ちゃんは着実に成長しています。
人見知りが少ないことを心配しすぎるあまり、他の成長を見落としてしまうのはもったいないことです。ぜひ、赤ちゃんが見せる多様なサインに気づき、小さな成長も一つひとつ受け止めましょう。
赤ちゃんが人見知りをしないことに「うちの子、大丈夫かな」と感じる日々は、多くの親にとって悩みの一つだといえるでしょう。しかし、育児において大切なのは、日々の成長をあたたかく見守りながら、親自身がリラックスして赤ちゃんと向き合っていくことです。
ここでは、人見知りの有無を肯定的に捉え、親が安心して育児を続けるための心構えを解説します。
スキンシップは赤ちゃんの情緒を安定させるだけでなく、親子の絆を深めるうえでも重要な役割を果たします。
抱っこをしたり、やさしく声をかけたりすることで、赤ちゃんは「自分は大切にされている」と安心感を得ることができるでしょう。こうした日常的なふれあいのなかで、信頼感や自己肯定感の土台が少しずつ育まれていきます。
また、赤ちゃんは、パパやママの肌のぬくもりや声のトーン、アイコンタクトといった非言語的なコミュニケーションを通じて、親の愛情を感じ取っています。こうしたスキンシップを重ねていくことで、社会性や感情を調整する力も養われていくでしょう。
日々のスキンシップを通して親子の絆が深まってくると、赤ちゃんのちょっとした成長にも気づきやすくなり、人見知りの有無も肯定的に受け止められるようになります。
赤ちゃんの人見知りについて不安を抱いたときは、赤ちゃんの反応を記録して発達を見守ることもおすすめです。赤ちゃんは日々驚くほどのスピードで成長しているため、日々の成長記録を残すことで、「少し前と比べてどんな変化があったか」などを把握しやすくなります。
たとえば、初めての人にどんな表情を見せたか、親以外の人に抱かれたときの様子、目線の動きや声の出し方など、小さなことでも丁寧にメモをしてみてください。写真や動画を活用すると、当時の様子をあとから客観的に振り返ることができます。手帳やアプリなども活用して、自分に合う方法で記録していきましょう。
また、記録を残すことは、親自身の気持ちの整理にもつながります。
育児をしているなかで、つい「うまくできていない」「このやり方で大丈夫なのか」と不安に感じることもあるでしょうが、そんなときに過去の記録を見返すことで「赤ちゃんはしっかりと成長している!」と実感できるはずです。
さらに、保健師や小児科医、保育士といった専門家に相談するときにも記録は役立ちます。言葉だけでは伝えづらい変化や違和感も、具体的な記録があることで、適切な助言を得られやすくなるでしょう。
赤ちゃんの人見知りについて不安が続くときは、一人で悩みを抱え込まず、必要に応じて専門家の力を借りましょう。
特に初めての育児では、赤ちゃんの人見知りがないことについて「この反応は普通なのだろうか」「発達に遅れがあるのでは?」といった不安を抱きやすいものです。どうしても不安が尽きない場合は、専門的な視点を持つ小児科医、保健師、臨床心理士、保育士などの専門家に相談することで、不安を軽減することができるでしょう。第三者の視点から得られる助言は、育児において孤立しがちな親の心を支える存在にもなります。
また、定期健診や育児相談の場でも、赤ちゃんに気になる点があれば相談してみましょう。地域の保健センターでは、その多くが無料で専門家に相談できる窓口を用意しています。事前に日時を確認して、足を運んでみてください。
人見知りは、赤ちゃんが社会性を築いていくために必要な成長過程の一つです。しかし、その表れ方は泣いたり嫌がったりすることだけではなく、表情が穏やかに見える場合や時期がずれてしまうなどの個人差があります。
人見知りの有無ばかりに意識が向いてしまうと、赤ちゃんとのスキンシップや多様な環境での経験など、本来大切にすべき時間を見過ごしてしまうことにもなりかねません。焦らず、赤ちゃんの今の姿を受け入れてあげてください。
赤ちゃんが今日できたこと、昨日と違う反応、ふとした瞬間のまなざしなどは、どれもがかけがえのない成長の証です。人見知りをするかどうかよりも、その子がどのように目の前の世界と関わろうとしているのか、そのプロセスを一緒に楽しむことから始めてみましょう。
ライター名: Masayo.M
修士(教育学)
熊本大学大学院教育学研究科 修士課程 修了
保育者として保育園をはじめ、幼稚園や認定こども園において15年以上の勤務経験があります。
子育て世代のママに向けて、笑顔や価値につながる記事執筆を心がけています。
あわせて読みたい