2025年10月01日 00:00
「3歳なのにまだオムツが取れない…」そんな悩みを抱えるママは少なくありません。 しかし、その焦りから無理にトイレトレーニングを進めると、かえって子どもにプレッシャーを与えてしまい、オムツ卒業が遠のくことも。 実際にトイレトレーニングは、子どもの発達や精神的な側面が密接に関係しているため、その進み方には個人差があります。そのため、子ども自身が「やってみよう!」と前向きに感じられる進め方や関わりをすれば進みやすくなるのです。 そこで今回は、トイレトレーニングが進まない主な原因やサポート術、保育園との連携を活かした進め方について詳しく解説します。
復職や入園などを踏まえ、3歳までにオムツを外したいママたちが多いことも事実です。しかし、トイレトレーニングを頑張っても進まない背景には、それなりの原因があります。まずは冷静に現状を見つめ直しましょう。
ここでは、子どものオムツが取れにくい主な原因について解説します。
排泄の自立には身体の機能だけでなく、子どもなりのペースが大きく関わってきます。
まず、膀胱に尿をためられる容量、尿意を感じ取る力、そして「今トイレに行くべきだ」と判断して行動に移す力、これらすべてがうまく連携することで、自分の意思でトイレに行く行動が成立します。ただし、これらの発達には個人差があるため、年齢で区切ることは難しいといえるでしょう。
たとえば、2歳半でスムーズにオムツが取れる子もいれば、4歳近くになってから急にトレーニングが進む子もいます。どちらが早い、遅いということではなく、それぞれの子どもにとって最も自然なペースがあるということです。そのため、「3歳=オムツ卒業」は、必ずしもすべての子どもに当てはまるものではありません。
まず、トイレトレーニングが進まない身体的な要因は、排尿・排便に関わる器官の発達状況があります。
たとえば、膀胱の容量がまだ小さい場合や、尿意を脳が適切に感知して「今出そう」と気づく感覚が未熟な場合は、トイレのタイミングをうまくつかめません。これは子どもの努力ではどうにもならないため、自然な成長を待つ必要があります。
また、心理的な要因も見逃せません。
トイレそのものに対する不安や抵抗感を持つ子どもは意外と多く、便器の大きさや音、ひんやりとした感触などが苦手な場合もあります。
こうしてトイレトレーニングが進まない理由には、さまざまな要因が絡み合っています。
焦らず、「どうして今は難しいのかな?」との視点で見守り、子どもが安心できる言葉かけや環境づくりを意識しましょう。
子どもは言葉に出さなくても、親の表情や雰囲気から気持ちを敏感に感じ取ります。
たとえば、トイレに誘って断られたときにママがため息をついたり、下を向いたりするなどの言葉にしない親の「焦り」や「落胆」は、トイレに行くことそのものをネガティブなものとして子どもに印象づけてしまう恐れがあります。
また、成功させようとするあまり、「トイレに行ってみようよ」「そろそろパンツにしようか」と頻繁に声をかけすぎることも逆効果になる場合があるでしょう。
子どもにとってトイレが「親の期待に応える場所」になってしまうと、失敗することへの不安が高まり、ますますトイレに行きたがらなくなるでしょう。その行動にママが焦り、さらに声をかけるという悪循環に陥ってしまうのです。
本来、トイレトレーニングとは親がやらせるものではなく、子ども自身が「自分でできた!」と実感する体験を積み重ねる過程であるともいえます。その日の結果にとらわれすぎず、過程そのものを子どもと笑顔で進める姿勢を持ってください。
トイレトレーニングは、オムツを外すことだけが目的ではなく、子ども自身でトイレに行く生活習慣を身につけるための大切なプロセスです。
このプロセスを子どもに無理なく進めていくためには、親自身が基本的なステップを理解し、段階的に進めていく必要があります。
ここでは、ママが知っておきたいトイレトレーニングの基本的なステップと進め方について解説します。
トイレトレーニングを始める際に大切なことは、まず「トイレに慣れること」です。
排泄の自立は、心理的な安心感や生活リズムとも深く関係しています。だからこそ、最初はできるようになることより、トイレは怖くない、嫌じゃないという気持ちを育てるところから始めてください。
まずは、いきなり子どもに排泄を求めるのではなく、トイレという環境自体に「安心感」を持たせましょう。たとえば、遊びの延長でトイレに立ち寄ったり、補助便座に座って絵本を読む時間を作ったりすることも一つの方法です。
排泄が目的ではなく、子ども自身が「座ってみる」「トイレに入ってみる」という行動自体を肯定的に受け止められるように、その子に合った方法を模索しながら実践してみてください。
子どもが安心して「ここでおしっこをしても大丈夫!」と感じられるようになることで、無理なく次のステップへと進むことができるでしょう。
トイレトレーニングを進めるうえで常に意識しておきたいことは、子ども自身が「できた!」と感じられる小さな成功体験を積み重ねることです。この「できた!」という実感が、次の行動への意欲につながり、ステップアップを促してくれます。
まずは、子どもが「やってみたい!」と感じられる環境づくりをしてみましょう。
たとえば、トイレにお気に入りのステッカーを貼ったり、補助便座に好きなキャラクターを取り入れたりすると、子どもにとってトイレが親しみやすい空間に変わっていきます。
また、トイレトレーニングは段階を追ってステップアップしていきましょう。
最初は「トイレに座る」「パンツを履いてみる」「トイレに行く時間を決める」など、子どもにとって達成しやすい目標を一つひとつ設定します。
目標が達成できたら結果だけでなく、「座れたね!」「パンツはけたね!」と具体的な行動を肯定することがポイントです。小さな達成感を何度も味わうことで、子どもの中に「次もやってみよう!」という気持ちが芽生えていきます。
ただし、ここで注意したいことは、決して焦らないことです。
トイレトレーニングが進んでいても、ときにはおもらしをすることもあります。その際は叱ったり問い詰めたりせず、「次はトイレでできるといいね!」と笑顔で優しく受け止めてあげましょう。
「おしっこサイン」とは、子どもが排尿の前後に見せるしぐさや表情の変化のことを指します。たとえば、急に静かになったり、落ち着かずにモジモジしたり、股間を手で押さえたりする行動はその一つです。
なかには、「出ちゃった!」と自分から言える子もいます。こうしたサインは子どもによって個人差があるため、日々の様子を観察しながら「うちの子は、どんなおしっこサインを出してしているのかな?」と意識を向けてみてください。子どもの「おしっこサイン」を把握し、そのタイミングでトイレに誘うことができれば、成功体験につながりやすくなるでしょう。
しかし、どんなに注意深くタイミングを図っていたとしても、ときにはサインを見逃したり、ママが気づかずに失敗することもあります。
失敗もまた、トイレトレーニングの大切な過程です。
その際は「出ちゃったね。でも大丈夫!」と、子どもに対して肯定的な声かけを心がけましょう。
トイレトレーニングにおいて、子どもが安心してトイレに向かえるためには、「安心できる空間」と「心のよりどころ」をつくることです。子どもの気持ちに寄り添い、ときには思い切って休息も取り入れながら、無理なく進めていきましょう。
ここでは、子どもが安心してトイレに向かうために、親が踏まえておきたいサポート術について解説します。
トイレトレーニングは、子どもの発達や性格によって進むペースもさまざまです。
すぐにうまくいく子もいれば、時間をかけて少しずつ進む子もいます。だからこそ、「進まなくても焦らない!」というママの姿勢は、子どもの心に大きな安心感をもたらします。
実際に多くのママたちが、同じ年齢の子どもたちと比べて「うちの子は遅いのでは?」と不安になりがちです。その焦りから無理に急がせたり、叱ったりすると、子どもは自信をなくし、せっかくのトレーニングも後退してしまうでしょう。
トイレトレーニングが思うように進まないときこそ、親の穏やかな見守る姿勢が子どもの心を支えます。
進み具合が遅く感じても、子どもの「できる日」を信じて、今の頑張りを認め続けることです。トイレトレーニングは子どもの自信を育て、親子の信頼関係を深める貴重な機会でもあることを心に留めておきましょう。
トイレトレーニングの過程において、失敗は避けられないことです。ただし、失敗した直後の親のリアクションは、子どもの気持ちに大きな影響を与えることを覚えておきましょう。
特におもらしに対して、多くの子どもは「いけないことをしてしまった!」と感じるものです。その際にママが穏やかな声で「大丈夫だよ」「次は間に合うといいね!」と伝えることで子どもは安心し、また挑戦しようという気持ちが芽生えます。
また、声かけのタイミングも大切です。トイレに誘うとき、「そろそろ行こうか?」と優しく促すのは効果的ですが、「もうおしっこ出てるんじゃない?」などと問い詰めるような言い方は避けてください。
声かけのタイミングは、食後や起床後など排尿しやすい時間帯を選ぶと習慣化しやすく、成功率も高くなるでしょう。
トイレトレーニングは順調に進むこともあれば、思うようにいかない時期もあります。そんなときに大切なことは、続けなければという思い込みを一度手放し、「休む勇気」を持つことです。
トレーニングがうまくいかない背景には、環境の変化や体調不良、弟妹の誕生など子どもなりのストレスが隠れていることも少なくありません。
また、親の焦りや期待を敏感に感じ取り、プレッシャーを抱えてしまう子もいます。
こうした中でトレーニングを続けていくと、子どもはトイレそのものにネガティブな印象を持ってしまい、かえって意欲が低下するでしょう。
だからこそ、うまくいかない時期には思い切ってトレーニングを中断し、しばらくオムツに戻るという選択も立派な方法です。長い目で見れば、子どもにとって必要な「心の充電期間」になることもあります。
再開のタイミングを見極めるためには、子どもの様子にしっかりと目を向けてください。
トイレに興味を示したり、自分から「トイレに行きたい」と言えるようになったときが、再開の合図です。
トイレトレーニングを進めるうえで、保育園との連携を築くことは、ママにとって大きな助けになります。家庭と園が情報を共有することで、一貫した方針や流れのもとにトレーニングを進められるため、子どもが戸惑わずに済むでしょう。
ここでは、保育園と連携してトイレトレーニングを進める利点やポイントについて、解説します。
保育園で行っている主なトイレトレーニングは、子どもの発達や生活リズムに合わせて、段階的かつ無理のない方法で進められています。また、集団生活の中で進めることが子どもにとって大きな刺激となり、トイレへの関心や意欲につながっているともいえるでしょう。
まず、保育士は一人ひとりの排泄のタイミングや身体的な発達の状況を丁寧に観察します。
排尿感覚が安定していない子どもには、決まった時間にトイレへ誘導することで、排泄リズムを整えるきっかけづくりに努めているのです。
その際、無理に座らせたり急かしたりすることはありません。
「行ってみようか」と優しく声をかけ、子ども自身が安心してトイレに向かえる雰囲気を大切にしています。たとえトイレで排泄ができなくても、「座れたね!」「今日はトイレに行けたね」といった肯定的な言葉かけを通じて、成功体験を積み重ねていくのです。
その他にも、保育園では衛生面にも配慮しながら、子どもの好きなキャラクターのトイレシールや手洗いソングを取り入れるなどして、やる気を高める関わりや工夫も行われています。
保育士は、こうして子どものやる気と自信を引き出す関わりや環境づくりを大切にしているのです。
保育園で実践しているトイレトレーニングを家庭で活かすためには、園との連携を土台に、家庭での「補完」と「共有」に努めましょう。ここで大切なことは、親と保育士が同じ方向性で子どもの成長を見守る意識を持つことです。
園では子どもの様子を客観的に観察し、トイレのタイミングや進み具合などを日々記録しています。こうした情報を日誌や連絡帳、口頭でのやりとりを通じて受け取り、家庭でも同じような取り組みを行うことで、子どものリズムが整いやすくなるでしょう。
特に失敗の状況、トイレに行きたがらないときの対応方法などについては、細かく「共有」しましょう。園では失敗の際にも、「トイレに座れたことをまず認め、明るく、短く声かけをしている」といった実践があるかもしれません。そのような情報を受け取ったら、家庭でも同様の声かけを実践してみてください。
また、家庭での排泄の様子を保育士に伝えることが「補完」にもつながります。
たとえば、「最近はお風呂前にトイレに行く習慣がついてきた」など、家庭でのちょっとした変化や工夫も、園での対応に活かされる貴重な情報になるのです。
子どもがトイレトレーニングに前向きになれるかは、「自分を認めてもらえているか」という実感が大きく左右します。そのため、保育園と家庭が連携し、一貫したトレーニングを行うことは子どものやる気を育むうえで重要なポイントです。
園でのトイレトレーニングの様子を聞く際は、単に「できたかどうか」ではなく、「どういう声かけをしているのか」「失敗したときはどんな対応をしているのか」といった背景も含めて尋ねてみましょう。
その内容をもとに、家庭でも同じような声かけやリアクションを心がけることで、関わりに深みが増し、子どものやる気をさらに引き出しやすくなります。
トイレトレーニングの進み方は一人ひとり異なり、順調に進む日もあれば、停滞する時期もあるのが自然です。だからこそ、親と保育士が同じ方向を向いて子どもを見守ることが、やる気を後押しする土台になります。
「今日はちょっと嫌がっていた」「最近トイレの話題をすると表情が曇る」といった細かな変化も、家庭と園で共有することにより、子どもにとって最適な関わり方を模索しやすくなるでしょう。
トイレトレーニングは子どもだけでなく、親にとっても多くの悩みや迷いを抱えやすいものです。特に「3歳までにオムツを外さなければならない」といった周囲の声に影響されてしまうと、大切にするべき子どものペースを見落とすことにもなりかねません。
本来、排泄の自立には心理的・身体的な準備が必要であり、それが整う時期は個人差があるということを忘れないでください。
また、オムツを外すことだけが、トイレトレーニングの目指すべきゴールではありません。
子どもの心理的・身体的な発達状況を踏まえ、信頼できる大人の存在を感じながら少しずつ成長していくことこそが、トイレトレーニングの本質なのです。
子どもの小さな一歩を共に喜びながら、今日できたことを明日への励みに変えていきましょう。
ライター名: Masayo.M
修士(教育学)
熊本大学大学院教育学研究科 修士課程 修了
保育者として保育園をはじめ、幼稚園や認定こども園において15年以上の勤務経験があります。
子育て世代のママに向けて、笑顔や価値につながる記事執筆を心がけています。
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