2021年11月01日 00:00
子どもの様子に合わせながら進めていく離乳食。離乳食が始まる前は「上手く作れるだろうか?」と調理への不安を持っているママもいるかもしれません。さまざまな食材の中で、ヨーグルトは離乳食に取り入れやすいものの一つです。今回は、離乳食でヨーグルトを与えるポイント、選び方やアレンジ方法をご紹介します。
離乳食の時期は、食べ物から栄養を摂取していくための練習の期間です。離乳食を始める時期は、子どもが食べ物に興味を持ち始めた5~6カ月ごろが目安。まずはおかゆから与えて、少しずつ食材を増やしていきます。やわらかくてとろみがあるヨーグルトは、離乳食時期の子どもも食べやすい食材です。では、離乳食のどの時期から、ヨーグルトを与えたらよいのでしょうか。
ヨーグルトを与える時期は、食べ物に慣れてきた離乳食中期の生後7~8カ月ごろが目安です。舌で潰せる固さの食べ物を与える離乳食中期に、やわらかなヨーグルトは適しています。
ヨーグルトは牛乳を発酵させて作られた乳製品です。発酵によって牛乳の一部のタンパク質が分解され、消化吸収されやすくなっています。離乳食時期の子どもは消化機能が未熟なため、消化吸収されやすいヨーグルトは乳製品の中でも離乳食に活用しやすいのです。
初めて子どもにヨーグルトを与える場合は、ほかの食べ物と同様にスプーン1杯から様子をみます。体調に心配なことが起こる可能性も考慮して、かかりつけ医に受診しやすい時間帯に与えることがおすすめです。体調に問題がなければ、少しずつヨーグルトを与える量を増やしていきます。
離乳食中期の乳製品の摂取目安量が厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」に示されています。ヨーグルト以外の乳製品も一緒に与える場合は、合計した量で調整しましょう。
「乳製品の1回あたりの量」
・離乳食中期(7~8カ月ごろ):50~70g
・離乳食後期(9~11カ月ごろ):80g
・離乳完了期(12~18カ月ごろ)100g
参考:厚⽣労働省 授乳・離乳の支援ガイド(2019年決定版)
また、以上に示した量はタンパク質を含む食べ物のうち、乳製品のみを選んだときの量です。魚や肉、豆腐、卵のうちから1つを選んで与えた場合、ヨーグルトを含む乳製品は控えます。
大人がヨーグルトを食べるときは、そのままスプーンで口に運ぶことが多いと思います。しかし、少しずつ食べ物に慣れていく離乳食の時期は、「食べ物を加熱しないで子どもに与えて大丈夫なのか」と思うママもいるかもしれません。
市販されているヨーグルトは、衛生管理された環境で製造されています。そのため、離乳食としてヨーグルトを与えるときも、加熱をしないで食べさせて大丈夫です。
ヨーグルトを初めて食べるときは冷たさに驚く子どももいるため、冷蔵庫から取り出して数分置き、常温にしてから与えたり、電子レンジで10秒ほど温め、人肌くらいの温度になったかを確かめてから与えてもよいでしょう。子どもの様子をみながら、食べやすい温度にしてあげてください。
離乳食の時期は、使われている原材料が気になるママもいると思います。スーパーに行くと、さまざまな種類のヨーグルトが並んでいますよね。無糖や加糖タイプ、低脂肪や無脂肪など、子どもにはどれを選んだらよいのか迷ってしまうかもしれません。離乳食の時期の子どもに与えるヨーグルトは、どれを選べばよいのでしょうか。
離乳食が進むと少しずつ調味料で味付けをしていきますが、基本は食材の風味を活かした薄味にします。離乳食用にヨーグルトを食べさせ始めるときも、砂糖が含まれていないプレーンタイプのヨーグルトを選びましょう。
では、含まれている脂質量はどうでしょうか。厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では「ヨーグルト、塩分や脂肪の少ないチーズも用いてよい。」と記載されており、ヨーグルトの脂質量についての言及はありません。
全脂肪が含まれているプレーンヨーグルトの脂質量は100gあたり3.0g、低脂肪ヨーグルトは1.0g、無脂肪ヨーグルトは0.3gです。プロセスチーズ100gあたりの26.0gと比べると、全脂肪ヨーグルトの脂質量は少ないことがわかります。含まれている脂質量をみると、全脂肪・低脂肪・無脂肪どのタイプのヨーグルトを選んでも大丈夫だといえるでしょう。
市販のヨーグルトには、さまざまなサイズがありますよね。家族用として購入することが多い400gパックのヨーグルト、4つほどの小分けになっているヨーグルトなど種類も豊富です。ヨーグルトの開封後はパッケージに表示されている日付に関係なく、開封すると空気中の雑菌がヨーグルトに入ってしまう可能性があるため、早めに食べ切ることが推奨されています。
1歳未満の子どもは、大人と比べると病原菌への抵抗力が弱いため、ヨーグルトを加熱しないで与える場合は、開封直後のものがおすすめです。もしも大人がヨーグルトを食べない場合は、離乳食用に容量の小さなものを選ぶことも選択肢の一つとなります。
家庭によっては、ヨーグルトメーカーなどで温度管理をして牛乳からヨーグルトを作る場合もあるでしょう。家庭でしっかりと衛生管理をしていたとしても、空気中の雑菌が入ってしまう可能性があります。離乳食で与えるヨーグルトは、市販のものを選ぶと安心です。
プレーンヨーグルトはほのかに酸味があるため、子どもによっては食べてくれない場合もあるかもしれません。ほかの食べ物と組み合わせることで風味が変わり、食べてくれることもあります。加熱しないでも使えるヨーグルトは、離乳食の味や食感を手軽に変えられる食材です。
果物はヨーグルトと相性が良く、ヨーグルトの酸味が気になって食べない子どもも、果物の甘味で酸味がやわらいで食べる可能性があります。果物とヨーグルトを組み合わせる場合は、果物を子どもが食べやすい大きさや固さにしましょう。
離乳食中期のころなら、バナナを電子レンジで加熱してからスプーンなどで潰し、ヨーグルトを混ぜ合わせます。加熱したバナナと冷たいヨーグルトと合わせることで、食べさせやすい温度まで下がりやすくなります。また、すりおろした果物の舌触りが苦手なら、ヨーグルトを加える事で口当たりが滑らかになり、食べやすくなるためおすすめです。果物とヨーグルトの甘みでデザートのような雰囲気にもなるでしょう。
果物を食べやすく調理する時間がない場合はベビーフードを利用するのもあり。ベビーフードとヨーグルトを使うと、お皿に盛り付けるだけで手軽に離乳食が作れます。
果物だけでなく、野菜もヨーグルトと組み合わせやすい食材です。離乳食の進み具合に合わせて調理した野菜に、ヨーグルトをソースとしてかけると、舌触りと風味が変化して食べやすくなります。
例えば、さつまいもを電子レンジで加熱すると、さつまいもの状態によってはパサついてしまう場合があるかもしれません。パサついたさつまいもは水分が少ないため、一般的にはお湯や温めた牛乳を加えて食べやすくします。お湯や牛乳の代わりに、加熱なしでも与えられるヨーグルトを使うと離乳食作りが手軽になるでしょう。
そのほかにも、かぼちゃやじゃがいも、にんじんなど、さまざまな野菜にヨーグルトを組み合わせることができます。茹でたままの野菜を子どもが食べない場合、ソースとしてヨーグルトを加えてみると見た目もかわり食べてくれるかもしれません。
ヨーグルトにはちみつをかけると甘くて濃厚になりますが、1歳未満の子どもに与えるのは避けましょう。はちみつには、土壌など自然の中に広く存在している「ボツリヌス菌」が含まれている可能性があるからです。
腸内環境が整っていない1歳未満の子どもがはちみつを食べると、腸内でボツリヌス菌が増えて毒素を出します。ボツリヌス菌の毒素により、便秘や元気がなくなるなどの症状が現れることがあります。
一方で、一般的な食中毒菌と同様に「はちみつを加熱したら大丈夫なのでは?」と思うかもしれません。実は、ボツリヌス菌は熱に強く、家庭で行う加熱調理では生き残ってしまいます。はちみつヨーグルトは、1歳以上になってから与えましょう。
子どもの発達に合わせて作る離乳食は、時期によっては調理に時間がかかってしまうこともあります。調理の手間がなくそのまま食べさせられるヨーグルトは、手軽に使える食材です。離乳食作りにちょっと疲れてしまったとき、作り置きの離乳食がなくなったときなどに、ヨーグルトを活用してみてはいかがでしょうか。
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