2023年10月01日 00:00
畑の肉ともいわれている大豆を炒って砕き、粉状にした栄養豊富なきな粉は離乳食期でおすすめの食材です。いざ使ってみようと思っても「いつから与えてもいいの?」「1回で与える量はどのくらい?」「加熱は必要?」など気になりますよね。今回は、きな粉を与えられる時期や量、市販のきな粉の選び方、離乳食での使い方やおすすめのレシピを紹介します。
離乳食でのきな粉は生後5〜6カ月の初期から使えます。下ゆでなどの下ごしらえが必要ないので、離乳食の準備が忙しい時やたんぱく質の食材を用意できなかった時にさっと使えて便利です。また、大豆を挽いて製造されているため、煮大豆よりも消化吸収がよく赤ちゃんに向いています。豆腐に慣れた頃に与えるとよいでしょう。
赤ちゃんの身体を作るたんぱく質、骨の成長や神経の働きを調整するために必要なカルシウム、腸内環境を整えてくれる食物繊維が豊富です。また、赤血球を作る鉄分も多く含まれています。
生後10カ月になると、おなかの中にいた頃にママからもらった貯蔵鉄がなくなってくるため貧血になりやすくなります。きな粉は多量に摂るような食材ではありませんが、日頃からこまめに離乳食で取り入れるようにすると鉄分も補給できていいですね。
きな粉にはスタンダードな黄大豆から作られたものとは別に、青大豆から作られた青きな粉や黒豆から作られた黒豆きな粉があります。どれも大豆を炒って砕き、粉状にしたものですが、離乳食ではどの種類を使っても問題はありません。
ただし、青きな粉には着色料が入っている場合もあるので購入する際は無添加のものを選ぶようにしましょう。
初めて与える際は、多くても離乳食用スプーン1杯分程度からにして徐々に増やすようにしましょう。目安としては、1食当たり最大でも大さじ1程度にするとよいでしょう。
多く使いすぎると口の中でモサモサしてしまい飲み込みにくくなります。きな粉自体の量を多く使用するのではなく、肉や魚、他の大豆製品などのたんぱく質と組み合わせて摂るのがおすすめです。
きな粉は大豆の種類によって色が違います。また、砂糖が添加されていたり、着色料が使われている商品も販売されていたりさまざまです。スーパーや通販などで購入する際には、離乳食で使いやすい商品を選ぶといいですね。選ぶ時のポイントを紹介するので参考にしてみてください。
きな粉には、砂糖や香料、着色料が入っている商品もあります。離乳食で使う際は無添加のものを選びましょう。原材料表示に「大豆」のみであればOK。完了期に入り少量の砂糖を混ぜて使いたい場合は、無添加のきな粉に自分で甘すぎないよう調整しながら砂糖を混ぜて作るといいですね。
1袋100g程度で販売されていることが多いきな粉ですが、開封してしまうと風味や味が落ちやすくなります。普段から大人がよく使う場合であれば問題ありませんが、離乳食で使う程度であれば、なかなか使い切れません。きな粉を選ぶ時は小分けパックになっているものを選ぶとよいでしょう。
きな粉の原材料である大豆は日本での生産量が少なく、アメリカや中国から輸入した大豆から作られているものが多く販売されています。国産大豆が使用されたきな粉は、価格が少し高い傾向がありますが、離乳食の赤ちゃんに与えるにはおすすめです。
北海道や京都府、宮城県や福岡県などの国産きな粉も販売されているので、購入時には原材料表示を確認してみてください。
化学的に合成された農薬や肥料使わずに作られている、有機大豆のきな粉から選ぶのもよいでしょう。安全性を重視したい方で有機大豆のきな粉を選びたい場合は、商品パッケージに「有機JASマーク」が表示されているものを選ぶといいですよ。
また農薬や化学肥料を一切使わずに生産された自然栽培のきな粉から選ぶのもよいでしょう。
栄養が豊富なきな粉は離乳食に積極的に取り入れたい食材ですね。いつもの離乳食に少量を加えるだけでも風味が変わり美味しくなります。いざ離乳食できな粉を使う際にママたちが疑問に思う加熱の必要性や使い方、きな粉のアレルギーについて説明していきます。
製造時、既に高温で焙煎されているきな粉は開封後そのまま使えます。離乳食で使う食材は加熱が必要なものがほとんどですが、きな粉のように下ごしらえが必要ない食材をストックしておくと忙しい時の離乳食準備に便利です。
きな粉は粉状で水分が少ないため、多量に使うと赤ちゃんが飲み込みにくくなります。使う際は風味付け程度にしましょう。また、上からふりかるだけだと赤ちゃんが飲み込む際にむせてしまい、誤嚥につながる可能性もあるため他の食材と混ぜてから与えるとよいでしょう。
完了期に近づくにつれて、水分が少ない状態でも食べられるようになってきますが、食材の上から振りかける場合は少量のきな粉を使うようにしましょう。
きな粉の原料である大豆は、消費者庁が発表している特にアレルギー症状が出やすい食品の28品目に含まれています。初めてきな粉を与える時間は平日の午前中に1さじから与え、もしアレルギー症状が出てもすぐに対応できるようにしておきましょう。
たんぱく質やカルシウム、食物繊維などの栄養が豊富で、健康にいい大豆製品のきな粉。加熱の必要もないので、離乳食作りで手軽にたんぱく質を取り入れたい方にも向いています。今回は、離乳食の赤ちゃんにおすすめのきな粉を紹介します。どれを選べばいいか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。
出典:Amazon.co.jp
みたけの「北海道産きな粉」は、北海道産の大豆を使用した添加物不使用のきな粉です。1袋あたり12gが入った小分けパックなので、少量しか使わない離乳食作りにも向いています。
砂糖不使用で大豆本来の味を楽しめるので、生後5〜6カ月ごろの離乳食初期から使うのもよいでしょう。離乳食では1食あたり1/2袋を目安に使うといいですね。
出典:楽天市場
エジソンママの「おやさいきなこ」は、生後5カ月ごろの赤ちゃんから食べられる野菜粉末入りきな粉です。
かぼちゃやにんじん、小松菜や白菜など8種類の国産野菜粉末が使用されていますが、野菜独特のえぐみはほとんどなく、赤ちゃんでもおいしく召し上がれます。
赤ちゃんの成長に必要なたんぱく質や鉄分も豊富に含まれているので、離乳食で手軽に栄養を補いたい方にも向いています。
出典:Amazon.co.jp
アストリションの「スクスクダイズ」は、福井県産のきな粉にカルシウムや鉄分、ビタミンを配合した栄養食品です。
大麦や玄米、ハト麦などの国産雑穀が使用されており、生後6ヶ月以降赤ちゃんに向いています。離乳食では1食あたりに小さじ1〜2杯程度を目安に食べるとよいでしょう。
スクスクダイズは、商品パッケージにGMPマークが付いているきな粉です。原材料の受け入れから出荷まで、厳しい品質管理・衛生管理を行うGMP認定工場で製造されています。
金沢大地の「有機きな粉」は、石川県で採れた有機大豆を原材料としたきな粉です。大豆本来の甘みと旨味がしっかりと感じられるように、丸大豆を直火でじっくり焙煎して作られています。
チャック付きのパウチ包装なので、離乳食で少量しか使わない時でも衛生的に保存可能です。家族みんなで分け合って使いたい方や有機JASマーク付きのものを選びたい方、シンプルなきな粉を選びたい方におすすめです。
加熱の必要がなく簡単に使えるきな粉は、和えたりふりかけたりすることでメニューに変化をつけられます。上からふりかけるものは、赤ちゃんが飲み込む時にむせないよう混ぜながら食べさせてあげましょう。今回は栄養が豊富なきな粉を使ったおすすめのレシピを紹介します。
材料(1回分)
・さつまいも 10g
・きな粉 小さじ1/2
・湯冷し 小さじ2
作り方
ポイント:甘みのあるさつまいもと香ばしいきな粉の相性は抜群。とろとろのペースト状にならない場合は湯冷しで調節してください。
材料(1回分)
・バナナ 1/4本
・きな粉 小さじ1
・ヨーグルト(無糖) 大さじ1
作り方
ポイント:離乳食でヨーグルトを使う際は無糖のものを使用しましょう。バナナの甘みで食べやすくなります。全て加熱の必要がなく食べられる食材なので簡単です。
材料(2個分)
・薄力粉 50g
・ベーキングパウダー 小さじ1
・きな粉 大さじ2
・砂糖 小さじ1
・牛乳 80cc
作り方
ポイント:電子レンジで作れる簡単なレシピ。牛乳は育児用ミルクや、豆乳で代用しても美味しく出来上がります。加熱後竹串などで生地を刺してみて中に火が通っていないようであれば1〜2分再加熱してみてください。
材料(1回分)
・食パン8枚切り 1枚
・卵 1個
・牛乳 大さじ1
・きな粉 小さじ1
・バター 少々
作り方
ポイント:スティック状に切ることで手づかみして食べられます。食パンの耳は硬く、赤ちゃんは食べにくいため耳を残したまま作る時はコロコロのひと口大にしてあげるとよいでしょう。
栄養価が高く、水分と交わると滑らかな食感に変わるきな粉は、離乳食の赤ちゃんにおすすめの食材です。ふりかけるだけで簡単に使えるので、離乳食作りが負担を感じている方や料理のバリエーションを広げたい方はぜひ取り入れてみてください。
離乳食できな粉を使う際に、ママやパパが疑問に感じやすい内容についてお答えしていきます。
たんぱく質やカルシウム、食物繊維など栄養が豊富なきな粉は、離乳食で赤ちゃんに毎日食べさせてもいい食品です。大豆本来の味が楽しめるので赤ちゃんにも人気の食材。
ただし一度に多量に与えると口の中の水分を吸収して、飲み込みにくくしてしまいます。少量のきな粉をおかゆやヨーグルト、果物ペーストなどに和えて与えるとよいでしょう。
赤ちゃんにきな粉を初めて与える時は、平日の午前中に1さじから与えましょう。きな粉は粉末で与えるとパサパサして飲みにくい特徴があります。水分を加えてなめらかにしたものをスプーンで与えましょう。おかゆにしっかり混ぜたものを与えるのもいいですね。
きな粉パンやきな粉がゆは冷凍保存も可能です。調理済みの食品は粗熱をとり、ラップや冷凍保存袋に入れて密閉してから冷凍しましょう。
冷凍保存したきな粉パンやきな粉がゆなどの離乳食は、1週間以内に使い切るように心がけましょう。衛生的に離乳食を与えるためにも、ラップや冷凍保存袋に冷凍した日にちを記載しておくといいですね。
大豆が原料のきな粉は、大豆アレルギーを発症する可能性がある食品です。離乳食で赤ちゃんに初めてきな粉を与える際は1さじ程度から与え、徐々に増やしていくとよいでしょう。1さじ与えても皮膚のかゆみや湿疹、じんましんなどのアレルギー症状が出ていなければ、次回は与える量を増やしてもよいでしょう。
赤ちゃんの成長に必要な栄養がたくさん含まれているきな粉。私自身も娘の離乳食作りでは加熱しなくていいきな粉ヨーグルトや、レンジで作れるきな粉蒸しパンなどよく作りました。普段の離乳食にさっと和えるだけで、簡単にたんぱく質が摂れるので日頃からストックしておくといいですね。
ライター名:谷岡友梨
保育園で管理栄養士として5年間勤務し、離乳食・アレルギー食・幼児食の献立作成、調理に携わる。現在では離乳食のレシピ考案、コラム執筆などを行いながらママたちへの離乳食相談を行っている一児の母。
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