2021年05月25日 00:00
子どもを育てる家庭が利用できる子育て支援制度やサービスを年齢や状況別に紹介します。 内閣府は2015年に「子ども・子育て支援新制度」をスタートさせました。認定こども園や地域型保育が普及したりして子どもを預けたい家庭の受け皿が増えてきました。 制度の種類や利用条件、料金、特徴、注意点などを知ることは子育てや生活を充実に繋がります。
内閣府が2015年にスタートさせた「子ども・子育て支援新制度」の内容についてみてみましょう。
女性の社会進出、核家族化、都市部では待機児童問題、少子化地域では保育施設の統廃合など、子育ての課題は増え、ニーズは多様化しています。
これらの問題を解決するために打ち立てられたのが「子ども・子育て支援新制度」です。
幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育、一時預かり、放課後児童クラブ(学童)などの支援体制を強化して、利用者が必要に応じて選択でき、安心して子育てができる社会を目指しています。
子ども・子育て支援新制度は「認定こども園の普及」「地域の子育ての充実」「地域型保育」の3つを主な取り組みとして行っています。
認定こども園の普及
幼稚園と保育園の機能と特徴を兼ね備えた施設、認定こども園を増やしています。
認定こども園は、質の高い教育・保育の総合的な提供が目的の施設です。
これまでよりも手続きを簡略化し、幼稚園や保育園から認定こども園への移行を促しています。
地域の子育ての充実
子育て支援センターなど、親子が交流できる拠点を増やします。
急用や短時間就労の受け皿となる「一時預かり」を充実させます。
放課後児童クラブを増やし、小学6年生までを受け入れ対象にしています。
地域型保育
特に待機児童が多い0~2歳を対象とした支援を充実させます。
家庭的保育、小規模保育、事業所内保育、居宅訪問型保育などの事業を増やします。
子育て支援・サービスには様々な種類があり、それぞれの対象年齢や利用条件が違います。
年齢や「保育を必要とする事由」の有無ごとに分けてまとめました。
「〇号認定」など、日常ではあまり使わない用語についてもチェックしましょう。
我が家はどの施設が利用できるのかについて知りましょう。
この場合に記載している「保育を必要とする事由」とは
・就労
・妊娠・出産
・保護者の疾病・障害
・同居人や親族の介護・看護
・災害復旧
・求職活動
・職業訓練を含む就学。
・虐待やDVの恐れがある。
・育児休業取得中で、すでに保育を利用している子ども共 がいて、その継続利用が必要である。
・その他、上記に類する状態として市町村が認める場合。
などを指します。
小学生以降の「放課後に保育の必要性」については自治体ごとに条件が違います。
たとえば、在宅ワークの場合に「保育の必要性」を認める自治体もあれば、認めない自治体もあります。
0~5歳までの子育て支援制度・サービスを利用しようとするときに必ずと言っていい程表記されているのが「〇号認定」です。
年齢や保育の必要性などで分けられます。
1号認定:3~5歳、「保育に必要な事由」なし。通園(希望)施設にて認定手続き。
2号認定:3~5歳、「保育に必要な事由」あり。通園(希望)施設にて認定手続き。
3号認定:0~2歳、「保育に必要な事由」あり。市町村で認定手続き。
認定の必要なし:0~3歳、「保育に必要な事由」なし
保育所や認定こども園などでは一時的に子どもを預かる「一時預かり」制度を実施しています。
「保育の必要な事由」には当てはまらない「リフレッシュしたい時」でも利用可能です。
そのほか、子育て支援センターなどでは地域との交流が持てたり子育ての相談ができたりします。
保育所や認定こども園、地域型保育、幼稚園、学童保育、ファミリーサポートがどんなところなのかについて紹介します。
利用する上での注意点についても知っておきましょう。
「保育を必要とする事由」がある0~5歳の子どもを対象に8時間程度の利用が可能です。
施設によって差異はありますが、7時半から18頃までなど、比較的長時間開所しています。
夏休みや年末年始のお休みも短めです。
園によっては延長保育や休日保育などを実施している場合もあります。
行事は週末に行われることが多く、共働き家庭などが利用しやすいスタイルです。
短時間パートやリフレッシュ目的での一時預かりを実施している施設もありますが「空き」があることが前提なので利用する場合は早めに問い合わせましょう。
地域によってはすぐに定員に達してしまうので子どもが生まれる前から「保活」に精を出したり本当は1歳過ぎから預けたいけれど確実に入れるために0歳から入園させたりする家庭も珍しくありません。
幼稚園との大きな違いは保育所が「福祉施設」、幼稚園が「教育機関」である点です。
とはいえ、近年の保育園では「教育」に力を入れているところは多く、英語やリトミックなどに取り組んでいる園もあります。
子どもがある程度大きくなっても「お昼寝」の時間を設けている保育園は多く、「子どもが保育所でお昼寝をしてくるから夜寝なくて困っている」という家庭も……。
カリキュラムや保育方針などを見学や説明会の折にチェックしましょう。
教育と保育を一体化した施設です。1~3号認定の子どもが通えます。
「幼稚園と保育園のいいとこどり」を目指している施設です。1号認定として入園し、仕事を始めて2号認定に移行することも可能ですし、2号認定として入園したのちに退職をした場合も通園し続けることができます。
生活スタイルが変わっても子どもは認定子ども園に通い続けられるのがメリットです。
幼稚園ではなかなない、0~5歳の幅広い年代の子が触れ合う機会も多くあります。
また、幼稚園としての顔も持つので教育にも力を入れている点も、いままで保育園しか選択肢がなかった家庭が期待するポイントです。
一方で、認定こども園も保育園同様に入園の優先順位があり、「希望すれば必ず入れる」とは限りません。
また、幼稚園のように平日に行事が行われたり保護者の集まりが頻繁にあったりする場合もあります。
認定子ども園の中にはしっかり1カ月以上夏休みをもうけているところもあるので、特に保育所と同等の利用をしたいと考えている人は早めの情報収集を心がけてください。
0~2歳の「保育を必要とする事由」がある子どもが対象になります。
19人以下と、保育所よりも少人数で保育をする施設です。
代表的なものは家庭的保育(保育ママ)、小規模保育、事業所内保育、居宅訪問型保育の4種類になります。
詳細は施設や市町村によって異なります。
家庭的保育(保育ママ)
3人以下の小人数、家庭的な雰囲気の保育が特徴です。
一定の条件(育児経験や研修を受けるなど)を満たした保育ママが「自宅で自分の子と一緒に他の子どもの面倒を見る」のが一般的なスタイルになっています。
小規模保育
6~19人の規模で保育を行います。
家庭的な雰囲気のある「ミニ保育園」をイメージしてください。
小さなスペースでも開所ができるため、ビルのワンフロアなどで運営されている場合も多くあります。
園庭を設けているところはほぼありません(近隣の公園などにお散歩に行きます)。
事業所内保育
「企業が運営する保育所」です。
従業員の子どもを中心に、地域の子どもを保育します。
2015年の「子ども・子育て支援新制度」施行から増えてきました。
しかし、それまで保育所の開設・維持運営の経験がなかった事業所にとって運営は一筋縄ではいきません。
なかなか認定がおりなかったり、スタッフや保護者の意向を汲めずにスムーズな運営が出来なかったりしている場合もあります。
口コミ情報をチェックしましょう。
居宅訪問型保育
保育する場所に子どもを連れていくのではなく、保育する人が家庭に赴くスタイルです。
子どもの自宅にてワンツーマンのお世話をします。
対象は障害・疾患などできめ細やかなケアが必要な場合や保育園が閉鎖してしまったけれど保育を維持する必要がある場合などです。
3~5歳の子どもが対象です。
小学校以降の教育の基礎作りを目的として教育を行うことが目的です。
標準の保育時間は1日4時間、夏休み、冬休み、春休みなど長期休みがあります。
しかし、早朝保育や延長保育、長期休暇や土曜日の預かりなどを実施している幼稚園も多いです。
2号認定ならば延長保育などの保育料は幼児保育無償化の対象になります。
とはいえ、平日に行事や保護者の会合が行われる場合も多くあるで、フルタイム・共働き家庭が幼稚園を考える場合、延長保育制度だけでなく保護者と幼稚園のかかわり方についてもチェックしましょう。
一部の人気幼稚園を除き、定員オーバーで入園を断られることはありません。
保育を必要とする小学生が対象になります。
保護者に代わって放課後や長期休みなどの間、子どもを預かるサービスです。
公営・民営・公民営などがあり、保育内容に差があります。
公営は17時に閉まってしまうところもあり「子どもが成長したのに、保育園時代よりも働きにくい!」と嘆く保護者もいるほどです。
待機児童問題が多い地域もあります。いわゆる「小1の壁」です。
一方で、20時くらいまで預かってもらえ、勉強や芸術、スポーツなどを指導してくれたり自宅の近くまでスタッフが送ってくれたりする学童保育もあります。
以前は学童保育の利用期間が「おおむね10歳まで」とされていましたが、今は児童福祉法の改定で6年生まで利用可能です。
とはいえ、学年が上がるにつれて「つまらない」「1人で留守番できる」などの理由で利用しなくなっていきます。
乳幼児から小学生などの児童が対象です。
市町村が「援助を受けたい会員」と「援助を行いたい会員」のマッチングを行います。
主なサポート内容は子どもの送迎や預かりです。
リフレッシュ目的などでも利用できます。利用したい場合は市町村に問い合わせ、会員になりましょう。
短時間から利用でき、料金も手ごろなのでベビーシッターやキッズシッターなどよりも小回りの利くサービスが受けられます。
しかし、マッチングが成立しないと利用ができません。「援助を行いたい会員」の都合もあるので早めに打診しましょう。
病児保育、ベビーシッター、キッズシッター、子育て短期支援、地域子育て支援拠点、児童相談所、保健所などでも子育ての支援やサービスが受けられます。
「支援が欲しいけれど、どこに相談したらいいのか分からない」「とても困っているから一刻も早くどうにかしたい」「重い家庭内問題を抱えている」などの場合は市町村に相談してください。
ケースワーカーなどが対応に当たってくれます。
子ども・子育て支援新制度に加えて2019年から「幼児教育・保育」の無償化がスタートしました。
制度やサービスの金銭的負担について見てみましょう。
市町村が独自に打ち立てている軽減措置もあります。
0~2歳
・保護者の収入によって変わります。
・住民税非課税世帯は無料です。
・第2子は半額、第3子以降は無料です。
3~5歳
・無料です(子ども・子育て支援新制度の対象外の幼稚園は月額2.57万円まで)。
・通園バス第、食材料費、行事費用などは対象外です。
・最大月額1.13万円まで無償です。
・預かり保育の日数と幼稚園が定める利用料によって変わります。
・「保育の必要性の認定」が必要です。
認可外保育園、認証保育園、ベビーシッター、ファミリーサポートなどのことを指します。
保育所や認定こども園などを利用できておらず、「保育の必要性の認定」を受けていることが条件です。
0~2歳
・住民税非課税世帯は月額4.2万円まで無償。
3~5歳
・月額3.7万円まで無償。
・施設によって利用料の差が大きく、月額5,000円~30,000円程度の開きがあります。
・公的な放課後児童クラブの場合は月1万円以下が主流です。
子育てを支援する制度やサービスは多々ありますが、知らなければ利用できません。
「保育を必要とする事由」に当てはまるのか、在住の市町村はどんな制度なのかなどを調べたり相談したりしましょう。
特に保育所や幼稚園、認定こども園などは入園がゴールではなく、スタートです。
支援制度やサービスを利用しながら無理のない子育てをしていきましょう!
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