妊娠中・授乳中のヘアカラーはOK?胎児への影響はあるの?

妊娠中や授乳中は、赤ちゃんへの影響を考えてさまざまなことが「大丈夫かな?」と気になります。 ヘアカラーもそのひとつ。妊娠中や授乳中も髪色のオシャレは楽しみたいけれど、赤ちゃんに悪い影響があるのでは?と不安になってしまう方も多いものです。 そこで今回は、妊娠中や授乳中にヘアカラーをしても大丈夫なのか、胎児への影響や授乳への影響について紹介します。

妊娠中にヘアカラーをしても胎児には影響はない?

妊娠中の女性にとって最も心配なのが、ヘアカラーをした時にお腹の赤ちゃんに悪い影響があるのでは?という点です。

ヘアカラーの化学物質が赤ちゃんに悪い影響を与えてしまうのでは、と心配になる方もいますし、赤ちゃんに悪い!とする情報サイトなどもあります。

妊娠中の女性がヘアカラーをした場合の胎児への影響が出る、という医学的根拠はありません。

例えば、アメリカの大手総合病院であるMAYO CLINICは

「理論的には、お肌は限られた量の染毛剤やその他のヘアグルーミングおよびスタイリング製品しか吸収しません。ただし、皮膚が感染したり炎症を起こしたりした場合、または皮膚に切れ目がある場合は、通常よりも多くの化学物質を染毛剤に吸収する可能性があります。それでも、妊娠中の染毛剤の使用に関する研究は限られています。これらの化学物質は、一般的に発育中の赤ちゃんに害を及ぼすとは考えられていません。」

(引用:MAYO CLINIC Expert Answers 「Is it OK to use hair dye during pregnancy?」

という見解を出しています。

 

また、イギリスの国民保健サービス(NHS)も

「パーマネントおよびセミパーマネント染毛剤に含まれる化学物質は、毒性が高くありません。ほとんどの研究は、限られていますが、妊娠中に髪を着色するのが安全であることを示しています。」

(引用:NHS「Is it safe to use hair dye when I’m pregnant or breastfeeding?」

としています。

ただし、MAYO CLINICは「妊娠中にヘアカラーをしても胎児に影響はないという十分な研究結果がないため、心配な場合は出産後までヘアカラーを延期することを検討してください」としており、心配な場合は妊娠中のヘアカラーを止めることも提案しています。

NHSは「多くの女性は、化学物質が赤ちゃんに害を及ぼすリスクがはるかに低くなる妊娠の最初の12週間が終わるまで、髪を染めるのを待つことにします。」と、心配な場合はヘアカラーする時期を延期することを提案しています。

これらの見解を考えても、妊娠中にヘアカラーをしても胎児への影響を心配する必要はほとんどありません。ヘアカラーをした後に妊娠していることがわかり不安になる方もいますが、ヘアサロンでのカラーリングや市販のカラー剤を使ったカラーリング、どちらの場合も赤ちゃんへの影響はほとんどありませんから、安心してください。

妊娠中の頭皮は敏感になりがち

妊娠中のヘアカラーは胎児にほとんど影響はありませんが、注意したい点もあります。それは「妊娠中は肌や頭皮が敏感になりやすい」という点です。

妊娠中はホルモンバランスが妊娠する前と変化し、肌や頭皮、髪などさまざまなところに影響が出てしまいます。そのため、肌や頭皮に炎症が起きやすくなる、色素沈着が生じやすくなることがあるのです。

妊娠前であれば問題なく使えた化粧品が、妊娠中は使うと赤みが出てしまう、ピリピリと刺激を感じてしまうこともあります。

ヘアカラーに使う薬剤は、化粧品よりも肌への影響が大きく、妊娠前でも頭皮の状態によってはかぶれや発疹が出ることがあるものです。妊娠中はさらに頭皮がデリケートになっていますから、それまで問題なかったヘアカラー剤でかぶれなどのトラブルが起こってしまうことがあるのです。

つわりでヘアカラー剤の匂いが辛くなることもある

妊娠中のヘアカラーでもうひとつ心配なのが、ヘアカラー剤の匂いの影響です。つわりがある場合、今までは平気だった匂いが苦手になり、気分が悪くなってしまうことがあります。ヘアカラー剤は独特の匂いがありますから、つわり中にカラーリングをすると気分が悪くなってしまうことがあるのです。

長時間座っていることが負担になることもある

妊娠中のヘアカラーでは、椅子に座っている時間が長いという点にも注意が必要です。

カラーリングだけでなく、カットやシャンプーも同時に行う場合、施術に長時間かかってしまいます。

お腹が大きくなってくると、長時間同じ体勢で座っていることも身体に負担がかかります。お腹が張ってきてしまったり、気分が悪くなってしまうこともあるのです。

妊娠中でもヘアカラーがしたい時はどうすればいい?

髪の根元だけが黒くなってきてしまって恥ずかしい、カラーリングをしたい、という場合はどうすればいいのでしょうか?

美容院でカラーリングする場合は、妊娠中であることを伝えて頭皮に刺激の少ないカラー剤を選ぶのがおすすめです。あらかじめ、パッチテストを行ってもらうなどしておくとよいでしょう。施術中、かゆみや刺激を頭皮に感じた時はすぐに美容師さんに伝えて洗い流してもらいましょう。

つわりで匂いに敏感になっている時は、カラーリングやパーマは避けた方が無難です。つわりがおさまり、体調が回復してからカラーリングしましょう。

施術が長引きそうな場合は、妊娠中であることを伝えて、カラーの放置時間に立ち上がらせてもらうなどして体勢を変えるのがおすすめです。また、カットを別の日にするなどして、施術時間を短くしても◎。体調を一番に考えて、無理なく行ってください。

自分で市販のカラーリング剤を使って染める場合は、必ずパッチテストを行います。市販のヘアカラー剤は誰でも染められるよう、薬剤が強めのものもあります。少しでもかゆみや刺激を感じた場合は使用を中止しましょう。特に「ジアミン」という成分が入っているものは刺激が強い可能性があります。市販のヘアカラー剤を選ぶ際は、ジアミンが入っていないものを選ぶのがおすすめです。

頭皮にはヘアカラー剤を直接つけないように気を付けます。また髪の生え際や耳などには保湿クリームを塗って、ヘアカラー剤がつかないようにしましょう。

頭皮への刺激が心配な場合は、ヘアカラーではなくヘアマニキュアやカラートリートメントを使うのも◎。髪を染める力はヘアカラーよりも少ないですが、頭皮や肌への刺激が少なく、比較的安心して使えます。

授乳中のヘアカラーの影響は?おっぱいに影響はあるの?

授乳中のヘアカラーについても、胎児への影響と同様に影響はないとされています。先ほど紹介したNHSの見解でも

「染毛剤に使用されている化学物質はほとんど血流に入らないため、母乳にかなりの量が伝わる可能性はほとんどありません。」

(引用:NHS「Is it safe to use hair dye when I’m pregnant or breastfeeding?」

とされています。

授乳中であっても、ヘアカラーが母乳に影響を与える心配はありませんが、肌や頭皮が敏感になっている点には注意が必要です。

産後はホルモンバランスも整っておらず肌も乾燥しがち

産後の女性の身体はホルモンバランスがまだ整っておらず、肌や頭皮がデリケートになりがちです。妊娠中と同じく、デリケートな頭皮にヘアカラーの薬剤を使うことで、かゆみや発疹などのトラブルが起きてしまう可能性があります。

授乳中でなくても、出産後は肌や頭皮がデリケートであることを頭に入れておき、なるべく刺激の少ないカラー剤を使うなどしておくのが安心です。また、肌や頭皮の調子が悪いと感じている時は、ヘアカラーをするのをやめておきましょう。

産後の抜け毛には影響がある?

出産後、抜け毛に悩まされる女性も多いものです。産後の抜け毛にヘアカラーは影響があるのでしょうか?

ヘアカラー剤は通常の状態でも頭皮に影響を与えて抜け毛の原因になるとされています。産後、頭皮の状態が整っていない時にヘアカラーをして頭皮に刺激を与えてしまうことで、より抜け毛を悪化させてしまうこともありますから、抜け毛が気になっている場合はヘアカラーを避けた方がいいでしょう。

出産後、抜け毛が増えるのはホルモンの影響です。妊娠中は女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が増えます。すると髪の成長期が通常よりも長くなり、抜け毛を防いでしまうため、いつもなら抜けてしまう毛もそのまま残った状態になります。

出産後、エストロゲンの分泌量が減ると、妊娠中に抜けなかった髪が一気に抜けていきます。すると一時的に髪のボリュームが減ってしまうのです。

ホルモンバランスが産後に整い、ヘアサイクルが元に戻ると髪のボリュームも元に戻るので心配することはありません。ほとんどの場合は3カ月から6カ月以内に元に戻るとされています。

抜け毛が気になる場合は、ヘアサイクルが元に戻り、髪のボリュームが気にならなくなってからヘアカラーをするのがおすすめです。

授乳中は長時間の施術が体に負担になってしまうこともある

授乳中にヘアカラーを行う場合、施術が長時間になることで、産後の身体に負担がかかってしまうということにも注意が必要です。

授乳中は、長時間赤ちゃんに授乳しないとおっぱいが張ってしまいます。カットとカラーで2時間以上施術にかかってしまうなど、授乳時間が空いてしまうことで身体に負担がかかります。特に乳腺炎になりやすい方は注意が必要です。

また授乳をしていなくても、産後は腰痛などに悩まされる方も多いため、長時間同じ姿勢で座っていると辛いこともあります。

授乳中はもちろん、産後にヘアカラーを行う場合は、あらかじめ美容師さんに相談しておき、施術時間を短くしてもらう、途中で立ち上がって体勢を変えるなどの工夫をするのがおすすめです。

カットとカラーを別日にするなどして、施術時間を分けておくのも身体への負担が軽くなります。

セルフカラーは誤飲に注意!換気にも注意して!

 授乳中は赤ちゃんを置いてヘアサロンに行く時間が取りにくく、自宅で市販のヘアカラー剤を使い、セルフでヘアカラーをしたいと思う方も多いものです。

市販のヘアカラー剤を使って自分で髪を染める場合は、まずは刺激の少ないカラー剤を選びましょう。妊娠中と同じく、授乳中も頭皮や肌はデリケートになっています。市販のヘアカラー剤は染ムラができないよう、強めの薬剤になっている場合もあり、肌や頭皮にトラブルが起きてしまう可能性があるため注意が必要です。特に「ジアニン」が入っているヘアカラー剤は刺激が強いため避けましょう。

ヘアカラー剤は頭皮に直接つかないようにし、保湿クリームで生え際や耳を保護します。塗る時は必ず手袋を使ってください。少しでもかゆみや刺激を感じたらすぐに洗い流しましょう。

また、自宅でヘアカラー剤を使う場合は、赤ちゃんや子どもの手の届かないところに置き、誤飲しないよう気を付けなくてはなりません。赤ちゃんの肌はデリケートですから、間違って薬剤がついてしまわないよう気を付けましょう。匂いも強いため、換気しながら使うようにしてください。

頭皮や肌への刺激が心配な場合は、ヘアマニキュアやカラートリートメントなど、刺激の少ないカラー剤を選ぶのもおすすめです。

妊娠中や授乳中も上手にヘアカラーを楽しみましょう!

髪の色を変え、ヘアスタイルを変えることで気分も変わります。妊娠して、出産してもオシャレをすることはとても楽しいことです。

ヘアカラーが胎児や母乳に影響を与えることはほとんどありません。しかし、妊娠中や産後の肌や頭皮はデリケートになっています。妊娠中は特にさまざまな身体の変化がありますから、妊娠前には問題なかったヘアカラー剤が使えなくなってしまう、施術のために座っていること自体が辛い場合もあります。

同じく授乳中も、おっぱいが張ってしまう、腰が痛いなど、産後の身体ならではの不調やトラブルが起きてしまう可能性があるのです。

まずは自分の体調を大切にして、無理のない範囲でヘアカラーを行うことが大切です。心配な場合は、美容師さんにあらかじめ相談し、刺激の少ないカラー剤を選んでもらう、施術時間を短くするなど工夫してみましょう。

自分でヘアカラーを行う場合は、刺激の少ないヘアカラー剤を選んだり、ヘアマニキュアやカラートリートメントなどを使うなどするのもおすすめです。

ママになったとしても、オシャレを我慢する必要はありません。髪色を変えるだけで、妊娠中も授乳中も気分が変わってリフレッシュできます。自分の体調を大切にしながら、上手にオシャレを楽しんでみてくださいね。


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