【保育士監修】小児救急は子どもの緊急事態に強い味方!相談方法と上手な利用のしかた

「子どもが急に高熱を出したけど、病院に行った方がいいの?」と悩んだ経験のあるママは多いでしょう。「子どもが椅子から落ちたけど、救急車を呼ぶべき?」と心配になったことのある方もきっと少なくはないはずです。子どもの急な熱やケガは、自分だけでの判断が難しく悩んでしまうものです。今回はそんな子どものもしもの時に活用したい、小児救急の上手な利用のしかたについてご紹介します。東京都の小児救急体制や、小児救急を受信する際のポイントなども解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

小児救急は夜間や日曜日に子どもを診療してくれる

 

小児救急とは、病院の外来受診時間外に子どもの体調不良やケガなどで受信できる医療体制です。夜間に急に高熱を出してしまった、土日に大きなケガをしてしまった、という時には、小児救急を上手に活用することで子どものもしもに備えられます。

通常の救急外来や時間外診療はさまざまな科の医師が交代で行っていますが、小児救急は基本的に小児科医が担当してくれるのも特徴のひとつです。

 

小児救急で多い診療理由は?

小児救急での受診で、特に多い診療理由は発熱によるひきつけやけいれんです。また頭をぶつける怪我や火傷、誤飲などでの受診も多い傾向にあります。少しでも受診が遅れると、大きな危険性が伴う場合もあるので、いつもと様子が違うと感じた場合は小児救急を受診してください。

 

東京都の小児救急医療体制

小児救急の医療体制は、その自治体によって大きく異なります。中には小児救急の体制が整っていない自治体もあり、子どもも大人も救急外来でひとくくりになっているケースもあるのです。今回はひとつの例として、東京都の小児救急医療体制について解説していきましょう。

 

救急医療を3つの区分に分けて整備

東京都では、小児の救急医療を3つの区分に分けて整備しています。

  • 初期(一次)救急医療:比較的軽症で入院の必要がない患者
  • 二次救急医療:緊急で入院治療が必要な患者
  • 三次救急医療・生命の危機に瀕する重篤患者

 

二次救急医療は、24時間・365日対応できる緊急指定の病院で治療を受けます。東京都では中野区・杉並区・新宿区を保健医療圏として、以下の病院で小児の二次緊急医療に対応しています。

  • 東京女子医大病院(新宿区)
  • 東京医科大学病院(新宿区)
  • 慶応大学病院(新宿区)
  • 国立国際医療センター(新宿区)
  • 河北総合病院(杉並区)

 

東京都では三次緊急医療として、救命治療の継続が困難な小児重篤患者を必ず受け入れる「こども救命センター」を確保。24時間体制で救命処置が受けられる施設は以下の4つで、都内4ブロックに各1施設ずつ設置されています。

  • 区東ブロック:東京大学医学部附属病院(文京区)
  • 西南ブロック:国立成育医療研究センター(世田谷区)
  • 区北ブロック:日本大学医学部附属板橋病院(板橋区)
  • 多摩ブロック:都立小児総合医療センター(府中市)

 

中野区では準夜間こども救急診療を実施

中野区では小児の初期(一次)救急として、「準夜間こども救急診療」を実施しています。対象は15歳以下の子どもで、一般診療が終了した後に小児科医が診察を行います。実施しているのは、中野区中央にある新渡戸記念中野総合病院です。

診療時間は19時~22時までで、受付時間は18時30分~21時45分まで。基本的には、年中無休で診察を行っています。電話で問い合わせをしてから、保険証や医療証を持って診察を受けてください。

電話番号:03-3382-9991 (午後5時半までは03-3382-1231)

 

自治体の受診制度を確認しておく

小児救急は自治体によって、システムや対応が大きく異なる制度です。その自治体によって、受け入れられる施設の数や小児救急の取り扱いなど、さまざまな点に違いがあります。子どもがいるママやパパは、自分の自治体の救急医療制度を事前に確認しておくと安心です。

東京都で夜間や土日祝日の医療機関案内を知りたい場合は、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」の利用がおすすめ。場所や診療科目から、病院を検索することができます。

救急車を呼ぶべきか悩んだ時には、「東京消防庁救急相談センター」に電話して指示を仰ぐことも可能。電話番号は♯7119 で、24時間・365日受付可能です。小児救急を受信したいけど、どこに行けばいいのかわからないという方は、参考にしてみてください。

 

受診に悩んだら#8000で電話相談

 

子どもが外来の受診時間外に熱を出したり、ケガをしたりした時、「明日でいいか」と考えてしまう方は多いでしょう。また「こんなことで救急外来を受診していいのかな」と受診するかどうか悩む方もいますよね。

子どもの救急外来受診で悩んだ時や、対応などを相談したい時には、ぜひ「#8000」を活用してみてください。#8000とは子ども医療電話相談事業として、看護師や小児科医師に電話で相談ができる、全国同一の短縮番号です。電話でこの番号をプッシュすると、都道府県の相談窓口に自動転送される仕組みになっています。固定電話からはもちろん、スマートフォンからの発信も有効です。

  • 「頭をぶつけてたんこぶになっているがどう対応したらいいか」
  • 「子どもが発熱してぐったりしているが受診した方がいいか」
  • 「腹痛や下痢で受診の必要はあるか」

など、新生児から中学生までの子どもの、気になる症状や受診について相談できます。ただし受診の判断をすることが主な目的なので、電話口で診断や薬のアドバイスができる訳ではありません。あくまでも子どもの症状や状況を伝えて、自宅で対応するか、すぐに受診するかのアドバイスをもらう場として活用してください。

 

対応時間は都道府県によって異なる

#8000の対応時間は18時または19時~翌朝8時までと、都道府県によって時間が異なります。自分が住んでいる都道府県の対応時間は厚生労働省のHPから確認できるので、一度チェックしておくのがおすすめです。

子ども医療電話相談事業(♯8000)について

 

Webで確認するなら子どもの救急

18時〜21時頃は利用者が多く、#8000が繋がりにくい時もあります。その場合は、Webサイト「子どもの救急」で受診の必要性があるか、ケガなどにどのような対応をすればよいのか、確認しましょう。厚生労働省研究班/公益社団法人 日本小児科学会に監修されているサイトなので、いざという時でも安心して利用できます。

子どもの救急は、受診の判断の目安をチェックできるサイト。対象年齢は生後1ヶ月~6歳までの子どもで、気になる症状をクリックするだけで、受診するべきか自宅で待機するべきかを確認できます。

たとえば38℃以上の発熱がある場合、「あやすと笑う」にチェックを入れると、「おうちで様子を見ましょう」と表示。「無表情で活気がない」にチェックを入れると、「自家用車・タクシーで病院に行く」と表示されます。けいれんで「何度も、繰り返しけいれんが起きる」をチェックすると「救急車で病院に行く」との表示が。

救急車を呼ぶべきかどうかの判断もできるので、#8000につながらない時には、慌てずこちらのサイトをチェックしてみてください。もしもの時のために、ブックマークしていつでも開けるようにしておくと安心ですね。

 

ファストドクターは自宅に医師がかけつけてくれる

子どもが急に発熱などの体調不良を起こした際、自宅に医師がかけつけて診察してくれるサービスもあります。「ファストドクター」は、自宅で診察を受け、その場で薬まで渡してもらえる便利なサービス。

健康保険が適用でき、費用は診察費と交通費のみしかかかりません。サービス料やシステム料などで追加費用を請求される心配がないので、小さい子どもがいて上の子を救急に連れて行くのが大変な場合などにおすすめです。

1日90~120人ほどの医師が勤務しており、症状に合わせて担当医や専門医が往診してくれます。電話かフォームで診察を依頼し、往診可能と判断されればすぐに医師が自宅を訪問。面倒な手続きもありません。

 

  • 発熱
  • アレルギー
  • 目の痛み
  • 溶連菌検査
  • インフルエンザ検査

など、さまざまな症状に対応してくれます。

 

2022年現在の対応エリアは東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、大阪、兵庫、京都、奈良、福岡の10エリア。平日は18時~6時まで、土曜日は14時~6時まで、日・祝日は24時間対応できます。エリア内で救急外来に子どもを連れて行くのも大変という方は、ぜひファストドクターの利用を検討してみてください。

 

小児救急の診療で覚えておきたいポイント

子どもの急な発熱やケガなどで小児救急を受診する際、保護者が覚えておきたい受診のポイントについていくつかご紹介します。気を付けるべき点を事前に知っておけば、いざという時に慌てることもなく受診の準備を整えられるはず。ぜひチェックして、覚えておいてください。

 

動画や写真などを撮影しておく

子どもの発熱時にせきや呼吸がおかしいと感じたり、発疹が出たりした場合は、動画や写真に残しておくと受診の際にスムーズに情報を共有できます。せきや呼吸の様子を口頭だけで伝えるのは難しいので、実際の様子をそのまま確認できると医師も診察しやすいです。

もちろん子どもへの対応が最優先なので、無理して撮影をする必要はありません。両親が揃っているなど、手に空きがある場合は動画や写真でより正確な情報を医師に共有できるように準備しておきましょう。

 

救急車を呼んだ方がいいケースを把握しておく

子どもの様子に異変が起きると、パニックになってしまう方もいるかもしれません。そんな中でも、救急車は呼ばない方がいいと考えて、自家用車やタクシーで病院へ向かう方もいるでしょう。でも子どもの緊急事態には、1分1秒を争うケースも少なくありません。

子どもの異変で救急車を呼んだ方がよいとされるケースは以下の通りです。

  • 意識がない
  • けいれんが止まらない
  • 高いところから落ちた など

 

子どものケガや症状で、すぐに救急車を呼ぶべきケースを事前に把握しておくことはとても大切です。日ごろからケガや病気に対する情報収集を行い、もしもの時には#8000や子どもの救急を活用して、救急車を呼ぶべきかの判断をできるだけ早く下せるように行動しましょう。

 

子どもの症状をしっかりと確認する

自家用車やタクシーで受信する際は、子どもがどのような状態なのか、どういう状態から現在の状態に経過したのかなどをきちんと確認して伝えられるようにしておきましょう。息苦しそうにしていたから受診したけど、小児救急に着く頃には治まっていたというのはよくあるパターンです。でもそれも一時的な物かもしれません。

写真や動画に撮るのは難しくても、スマホにメモを入れておくなどはできるはず。もちろん手書きでも構いませんが、子どもの症状の経過や、症状が出始めた時の様子はしっかりと観察して覚えておきましょう。

 

持ち物は慌てずに準備して

 

小児救急を受診する際、慌てすぎて必要な荷物を忘れてしまう方もいるかもしれません。受診に必要なものや、長時間になる可能性も考えて、子どもの年齢に合った必要な荷物を準備しましょう。母子手帳や保険証などは慌てていると忘れやすいので、日ごろからひとつにまとめておくのがおすすめです。

下痢や嘔吐などで汚してしまうかもしれないので、着替えもあると安心です。小さい子どもならおむつやおしりふきのセットなども忘れずに準備してください。「必要かもしれない」と思ったものは、とりあえず荷物にまとめておくと、何があっても安心ですよ。

 

まとめ

子どもが高熱を出したりケガをしたりすると、つい焦ってしまうのは、ママやパパであれば当然のことです。ですが、いざという時のために取るべき行動や連絡先などを知っていると、安心感が違いますよね。初めての小児救急でパニックにならないためにも、普段からもしもの時のためのイメージトレーニングをしっかり行うことが大切です。1分1秒を争う子どもの緊急事態に、しっかり対応できるよう準備しておきましょう。


ライター名:yuzuko

元保育士で3人の子どもを育てるママライターです。

現在7年ぶりの赤ちゃん育児を楽しんでいます。

毎日笑って過ごせればOK!をモットーに、家族5人で仲良く暮らしてます♪


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