2022年12月01日 00:00
新年各家庭に来てくれる歳神様へ、五穀豊穣、子孫繁栄、家内安全などを祈ってお供えするおせち。年に1回の行事なので、赤ちゃんと一緒にお正月気分を楽しみたいですよね。 「離乳食おせちはどうやって作ればいい?」「大人のおせちは取り分けられる?」「簡単にできる離乳食おせちレシピは?」など気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 今回は赤ちゃんと一緒にお祝いができる離乳食おせちを作るポイントや、取り分け可能なメニュー、赤ちゃんの月齢別おすすめの離乳食おせちレシピをご紹介します。
お正月に食べるおせちは、本来日持ちがするように味を濃く作っています。そのため、離乳食には向いていません。
赤ちゃんにおせちを与える場合は、手作りの離乳食おせちがおすすめです。手軽に作れる簡単なメニューもあるので、離乳食おせちを作る際はポイントを押さえておくとよいでしょう。
離乳食おせちを作る際は、赤ちゃんの月齢に合わせた形状やかたさのものを作りましょう。
初期はヨーグルトやポタージュ状のペースト、中期は舌でつぶせるかたさのものに仕上げます。後期は歯茎でつぶせる程度のかたさ、完了期では歯茎で噛めるかたさにしましょう。
例えば、きんびらごぼうのように赤ちゃんには「かたすぎるもの」、こんにゃくのような「弾力があって噛み切りにくいもの」、黒豆のような「丸くてツルっとしたもの」は誤嚥による窒息の可能性があるので避けましょう。
初めて食べる食材を与えるのには注意が必要です。今まで食べたことのない食材は、アレルギー症状を引き起こしてしまう可能性があります。
年末年始は医療機関が休診のことも多いので、離乳食おせちは普段から食べ慣れた食材を使うように気をつけましょう。
事前に年末年始でも受診できる病院を探しておくのもいいですね。離乳食おせちを食べて皮膚のかゆみや湿疹、じんましん、ゼーゼーと鳴る呼吸などのアレルギー症状が現れた場合は、すぐに病院を受診しましょう。
大人用のおせちは味が濃いので、離乳食期の赤ちゃんには向いていません。大人用のおせちを赤ちゃんに与える場合は、水やお湯などでゆで直してから与えましょう。
ただしメニューによっては味を薄められないものもあります。栗きんとんや伊達巻はやわらかく食べやすいイメージですが、ゆで直しができないので与える量には注意が必要です。
ゆで直すことは味を薄められるメリットもありますが、よりやわらかく仕上げられるのでおすすめです。
大人用のおせちを、赤ちゃんに取り分けたいと思う方も多いのではないでしょうか。おせちの中でも、比較的赤ちゃんに取り分けやすいメニューをご紹介します。
濃い味付けで仕上げられているおせちは、そのままでは赤ちゃんには向いていません。おせちを赤ちゃんに与える際はゆで直して味を薄めたり、与える量に気をつけたりして食べさせましょう。
鶏肉や根菜などの野菜が使われている「筑前煮」や「煮しめ」は、比較的赤ちゃんにも与えやすいメニューです。使える調味料の幅が増える、生後9〜11カ月の後期以降に与えるとよいでしょう。
ただし、やわらかさや形状には注意が必要です。水やお湯でしっかりゆで直して、月齢ごとの形状に合わせたものを与えるように気をつけましょう。
里芋や大根、にんじんなどは、煮直すと比較的やわらかくなりやすいのでおすすめです。
鶏肉や大根、にんじん、かまぼこなどの食材が使われている「お雑煮」も、赤ちゃんに取り分けやすいメニューです。
具材をしっかりやわらかくなるまで加熱した後、調味料を入れる前に離乳食の分だけ取り分けて、月齢ごとの形状に合わせて与えるとよいでしょう。味付け前のものを取り出す場合は生後5〜6カ月の初期から食べられます。
ただし、噛む力や飲み込む力が弱い赤ちゃんに、おもちを与えないように気をつけましょう。弾力が強く粘着性のあるおもちは、窒息事故につながる恐れがあります。
「鯛の塩焼き」や「ぶりの照り焼き」は、自分で作る場合は味を薄めて離乳食分を作るとよいでしょう。出来上がっているものを食べさせる場合は、味の濃い表面部分を避けて、内側の身を使用します。
後期以降であれば味の薄い部分をほぐしてそのまま与えられますが、初期や中期で鯛を使いたい場合は、水やお湯でしっかり煮直してから食べさせましょう。ぶりは後期以降に与えられる食材です。
筑前煮や煮しめ、雑煮など、大人用のおせちを薄めて赤ちゃんに与えるのもよいですが、やはり味の濃さや食材のかたさが気になります。
おせち離乳食は手軽に作れるレシピもあるので、ぜひ手作りでお正月を楽しんでみてください。
今回は赤ちゃんの月齢別に、おすすめのおせちレシピをご紹介します。ぜひおせち作りの参考にしてみてください。
生後5〜6カ月の初期は、なめらかな形状にして飲み込みやすくしてあげるのがポイントです。まだ試したことのある食材が少ない時期なので、今までに食べたことのある食材のみを使用して作るように気をつけましょう。
おかゆの上にお正月気分が味わえるイラストを描いてみると、気分が盛り上がります。イラストには、鮮やかな色の食材を使うと華やかになりますよ。
材料(1回分)
・10倍がゆ 40g
・ブロッコリー 小さじ1
作り方
1)10倍がゆを作ったらつぶす前に米粒を3つ程よけておく
2)残った10倍がゆをつぶしてなめらかになるよう湯冷しなどで伸ばす
3)ブロッコリーはしっかりゆでて裏ごしする
4)2)を皿に盛り付け、上から3)を落として松の葉を作る。松の葉の上に1)を乗せる。
ポイント:10倍がゆはなめらかな状態に、ブロッコリーは水分が多くなりすぎないように気をつけると模様が簡単に描けますよ♪食べさせる際は、ブロッコリーとおかゆを混ぜてブロッコリーがゆにしてあげてください。
材料(1回分)
・さつまいも 20g
・育児用ミルク(調乳済み) 小さじ2
作り方
1)さつまいもは皮をむいて、しっかりゆでてつぶす
2)1)に育児用ミルクを加えてしっかり混ぜ合わせ、ペースト状になるように調整する
ポイント:さつまいもや育児用ミルクのやさしい甘みが美味しいメニューです。さつまいもは色鮮やかなので、ペーストにするだけでも栗きんとんのように黄色く仕上がります。
生後7〜8カ月の中期では、もぐもぐしやすい形状にしてあげましょう。やわらかさの目安は豆腐程度です。具材をしっかりゆでて、舌でつぶしやすいように調理してあげましょう。
まだ水分量が多いメニューの方が、赤ちゃんでも食べやすいので、パサつきやすい食材には水溶き片栗粉などでとろみをつけてあげるといいですね。
材料(1回分)
・たい(刺身) 1切れ
・にんじん 10g
・だし汁 大さじ2
・水溶き片栗粉 少々
作り方
1)にんじんは皮をむき、しっかりゆでてつぶしておく
2)たいの刺身もゆでて細かくほぐしておく
3)鍋にだし汁を加え加熱し、1)を混ぜて水溶き片栗粉を加えとろみをつける
4)皿に2)を盛り付け、上から3)をかける
ポイント:鯛は離乳食向きの魚ですが、脂肪分が少なくパサパサしやすいので、とろみをつけると食べやすくなります。鯛の塩焼きを使う場合は、一度ゆで直してから作るようにしましょう。
材料(1回分)
・さつまいも 30g
・りんご 1/8切
作り方
1)りんごは5mm角に刻み、耐熱容器に移す。ひたひたになる程度の水を加え、ふんわりラップをして電子レンジ500Wで2分加熱する
2)さつまいもは皮をむいてしっかりゆでてつぶす
3)2)に1)のりんごと汁を加え、ぽったりする程度の水分に調節する
ポイント:さつまいもの鮮やかな黄色が、栗きんとんの見た目に仕上がります。りんごは電子レンジで煮りんごにすることで、甘みが増して赤ちゃんもおいしく食べられます。
材料(1回分)
・しらす 15g
・だし汁 大さじ2
・しょうゆ 数滴
・すりごま 少々
作り方
1)しらすは沸騰したお湯にさっとくぐらせて塩抜きをして、細かく刻む
2)耐熱容器に1)、だし汁、しょうゆを加えてふんわりとラップをし、電子レンジ500Wで40秒加熱する。
3)2)を皿に盛り付けて、上からすりごまをふりかける
ポイント:赤ちゃんにはかたすぎる田作りですが、しらすで作ることで食べやすくなります。ふりかけたすりごまは、食べさせる際にしらすと混ぜて与えてください。
生後9〜11カ月の後期は、バナナ程度のやわらかさにしてあげましょう。後期では調味料の幅も広がるので、大人用のおせちを薄めて食べさせることも可能ですが、離乳食を作って食べさせてあげるのもよいでしょう。
赤ちゃんが手づかみで食べられる時期なので、手づかみ食べができるおせちを用意してあげるのもいいですね。
材料(1回量)
・大根 20g
・にんじん 5g
・酢 数滴
・砂糖 少々
・だし汁 大さじ1
作り方
1)大根、にんじんは皮をむいてやわらかくなるまでゆでて、薄く5mm角に刻む。
2)耐熱容器に1)、酢、砂糖、だし汁を加えてふんわりとラップをして、電子レンジ500Wで40秒加熱する
3)2)を軽く絞って皿に盛り付ける
ポイント:大根とにんじんの紅白なますです◎やわらかくゆでた後に、薄切りにすることで食べやすく仕上がります♪
大人用のなますは、塩につけておくだけで加熱しないレシピがほとんどです。後期の赤ちゃんは胃腸が未発達なので、食べさせる食材は加熱してから与えるようにしましょう。
材料(1回量)
・ぶり(刺身) 1切れ
・サラダ油 少々
・しょうゆ 数滴
・砂糖 少々
・だし汁 大さじ1
<飾り用>
・ブロッコリー 少々
作り方
1)ブロッコリーはゆでて刻んでおく
2)フライパンに油を熱し、中火〜弱火でぶりを両面焼く
3)2)に火が通ったらだし汁、しょうゆ、砂糖を加え煮詰める
ポイント:鮮度のいい刺身は離乳食期におすすめです。皮や骨もついていないので、離乳食で手軽に使えます。刺身で作るぶりの照り焼きは、刻まずにそのまま与えることで、赤ちゃんが手づかみで食べられるメニューに仕上がります。
生後1歳〜1歳半の完了期では、形がしっかり残っているものも食べられるようになります。食材は肉団子程度のやわらかさになるように調理しましょう。
自分で大人用のおせちを作る方は、調味料を加える前に離乳食分を取り分けて作るのもいいですね。
ごぼうなどのかたい食材を使用する場合は、しっかりゆでて細かく刻んであげたり、とろみをつけてあげたりすることで食べやすくなります。
材料(1回分)
・鶏もも肉 15g
・大根 10g
・にんじん 10g
・ごぼう 5g
・さやえんどう 2枚
・だし汁 大さじ3
・しょうゆ 数滴
・砂糖 少々
・水溶き片栗粉 少々
作り方
1)さやえんどうは筋をとってゆで、細かく刻む
2)大根、にんじんは皮をむいてゆで、5mm角にきる
3)ごぼうは皮をむいてゆで、細かく刻む
4)鍋に1)〜3)、だし汁、しょうゆ、砂糖を加えて熱し、水溶き片栗粉でとろみをつける
ポイント:根菜類などの野菜と鶏肉の筑前煮は、ゴロゴロしているので水溶き片栗粉でとろみをつけてあげると食べやすくなります♪
材料(1回分)
・冷凍里芋 1個
・片栗粉 小さじ1
・大根 10g
・にんじん 10g
・鶏もも肉 15g
・ほうれん草 葉2枚
・だし汁 大さじ3
・しょうゆ 数滴
作り方
1)里芋はゆでてつぶし、片栗粉と混ぜて丸く丸めておく
2)大根、にんじん、鶏肉は皮をむいてやわらかくなるまでゆでて、5mm角に切る。
3)ほうれん草はゆでて1cm幅に切る
4)鍋にだし汁、1)2)、しょうゆを加えて加熱して、皿に盛り付けてからほうれん草を乗せる
ポイント:つぶした里芋と片栗粉を合わせて、里芋団子に◎おもちよりも弾力が弱いので、お餅の代用としてもおすすめです!野菜や鶏肉がとれるので、1品でもしっかり栄養が補えます。
材料(2回分)
・卵 1個
・木綿豆腐 50g
・片栗粉 小さじ1/2
・砂糖 小さじ1
・しょうゆ 数滴
・サラダ油 少々
使用したもの
・巻きす
作り方
1)木綿豆腐は水切りしておく
2)ボウルに卵、くずした木綿豆腐、片栗粉、砂糖、しょうゆを加えしっかり混ぜる
3)卵焼き器に油を熱し、2)を流し入れて弱火〜中火にかけ、両面焼く
4)フライパンから取り出し、巻きすにのせて奥から手前に巻いていき、しっかり形をつける
ポイント:伊達巻風に作った卵焼き。卵白が含まれている可能性のあるはんぺんや、1歳まで食べられない食材のはちみつは使用せず、木綿豆腐で作れます♪ハンドブレンダーで生地しっかり混ぜるとよりふわっと出来上がります。
最近では通販でも手軽に楽しめる離乳食おせち。通販の離乳食おせちは、手作りが面倒くさい人や手軽に取り入れたい方におすすめです。
メニューによっては、大人のものから取り分けることも可能ですが、味の濃いおせちは赤ちゃんには向いていません。また、黒豆やこんにゃくのように、窒息事故につながる可能性のある食材や、アレルギー防止のため、食べたことのない食材は避けましょう。
簡単にできる離乳食おせちで、赤ちゃんと一緒にお正月気分を楽しんでみてください。
ライター名:谷岡友梨
保育園で管理栄養士として5年間勤務し、離乳食・アレルギー食・幼児食の献立作成、調理に携わる。現在では離乳食のレシピ考案、コラム執筆などを行いながらママたちへの離乳食相談を行っている一児の母。
あわせて読みたい