2024年02月15日 20:00
育児をしているママやパパは「授乳の後はゲップをさせてあげる」というアドバイスを色々な方などから聞いたことがあるでしょう。しかし、なぜゲップをさせるのか疑問に思う人もいるかもしれません。特に、まだ授乳を始めたばかりの新米ママやパパは、「毎回ゲップさせることが大変……」と苦痛に感じたり、「ゲップが出ないことで、赤ちゃんに悪い影響があったらどうしよう」と心配になったりすることもありますよね。 この記事では、赤ちゃんにゲップをさせる理由や方法、コツについてご紹介します。また、ゲップが出ないときの対処法や病院受診の目安も解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
赤ちゃんが授乳後にゲップをする大きな理由は、赤ちゃんの胃を余分な空気で圧迫しないためです。生まれたばかりの赤ちゃんは自分で上手にゲップを出せないため、ママやパパのサポートが欠かせません。
ここでは、胃に空気が溜まることで赤ちゃんに与える影響を交えながら、ゲップを出させる詳しい理由を解説します。
赤ちゃんは授乳したときに、ミルクや母乳と一緒に空気を飲み込んでしまうことがあります。飲み込んだ空気で胃がふくれてしまうことを防ぐためには、ゲップをさせて余分な空気を出してあげるお手伝いが必要です。
授乳中に空気を飲みやすいかどうかは、授乳の仕方や赤ちゃんの飲み方、飲む量によって異なります。たとえば、哺乳瓶は傾け具合によっては乳首から空気が入りやすい形状のため、赤ちゃんが空気を飲み込む原因となります。さらに、ミルクを飲み切った哺乳瓶を、そのまま吸い続けることで空気を飲み続けてしまう可能性もあるのです。
一方、母乳を飲むときは哺乳瓶に比べて赤ちゃんとおっぱいが密着しやすいため、空気を飲みにくい傾向があります。ただし、母乳であっても授乳の際にチュパチュパと音を立てている場合は、空気を飲んでしまっている可能性があります。
授乳の際に飲み込んだ空気が原因で胃がふくれてしまうと、赤ちゃんは吐きやすくなります。そのため、ゲップをして余分な空気を出してあげる必要があります。
そもそも赤ちゃんは、大人と比べて胃の入り口の締め付けが緩く未熟です。そのため赤ちゃんの胃の構造上、授乳後にミルクや母乳が口からダラダラ出たり、些細なことで吐いてしまったりすることは少なくありません。ときには、ゲップのタイミングでミルクや母乳が口から溢れることもあります。
赤ちゃんの口からダラダラとミルクや母乳が出てくる現象は「溢乳(いつにゅう)」といい、病的なものではありません。
また、赤ちゃんは大人と違い満腹中枢が未発達です。「お腹いっぱい」という感覚がわからずたくさん飲んでしまい、多かった分をゲホッと吐き戻すことがあります。赤ちゃんは成長とともに、「お腹いっぱい」という感覚がわかるようになり、自分にちょうどいい量を学んでいきます。
小さな赤ちゃんは、まだ自分で上手にゲップを出せません。生後3~4ヶ月頃までは忘れずにゲップを出させてあげましょう。個人差はありますが成長とともに徐々に吐き戻しは少なくなります。赤ちゃんは大きくなるにつれてミルクの飲み方が上手になるため、首や腰がすわる時期には空気を飲む量自体が減りゲップが出ないこともあります。
赤ちゃんのゲップを上手に出すためには、胃の空気が出やすい方法を知っておく必要があります。ここでは、赤ちゃんにゲップを出させる方法を3つご紹介しますので、ママやパパがやりやすい方法を採用してみてくださいね。赤ちゃんはゲップが出るときと出ないときがあるので、まずは授乳後5分くらい試してみましょう。
1つ目は縦抱きでゲップを出す方法です。優しく抱っこし、ママやパパの肩に赤ちゃんの顎をのせるようにします。縦抱きするときは片手で赤ちゃんのお尻あたりを支えて、もう片方の手で背中を下から上にさすり上げましょう。もしくは、赤ちゃんの背中を軽くトントンしてあげても問題ありません。生後3ヶ月頃までは首がすわっていませんので、赤ちゃんの首を支えながら姿勢を整えてあげましょう。
縦抱きは赤ちゃんのお腹がママやパパの身体に接触するため、胃の中の空気が押し出されやすい方法です。
3つ目は、ママやパパの膝の上で赤ちゃんに腹ばいになってもらいゲップを出す方法です。ママやパパの膝の上で赤ちゃんを腹ばいの姿勢になるようにして、優しく背中をさすったり優しく赤ちゃんの背中を軽くトントンと叩いてあげたりしましょう。腹ばいでゲップを出す方法は、縦抱きと同様に赤ちゃんのお腹がママやパパの身体に接触するため空気が押し出されやすい方法です。
2つ目は、ママやパパの膝の上に座ってもらいゲップを出す方法です。ママやパパの膝の上や授乳クッションの上に、横向きに座らせてあげて背中をさすります。片手で赤ちゃんの首や胸部などの上体を支え、もう片方の手で下から上にさすってあげます。もしくは、赤ちゃんの背中を軽くトントンと優しく叩いてあげましょう。縦抱きよりも赤ちゃんの顔が見えやすいので、安心してゲップを出してあげられますよ。
赤ちゃんのゲップを上手に出してあげるコツとして、こまめにゲップを出してあげる方法があります。なぜなら、空気を飲みやすい赤ちゃんはたくさんの空気を飲み込んでしまい、途中でミルクや母乳が飲めなくなってしまうことがあるからです。
飲んでいるときに無理にゲップさせる必要はありませんが、こまめにゲップさせてあげると安心です。母乳の場合は、左右のおっぱいを替える際に様子をみてあげましょう。哺乳瓶の場合は、赤ちゃんが落ち着いているときがおすすめです。ミルクや母乳の飲み方には個人差がありますので、ゲップが出やすいよう赤ちゃんに合うタイミングを見つけてみてくださいね。
また、赤ちゃんのゲップを出すときは、ママやパパの肩や膝の上にガーゼやタオルをのせておくとよいでしょう。ゲップと一緒にミルクや母乳が出てきたときに、服が汚れることを防いでくれます。
赤ちゃんの胃に空気が溜まっている様子は実際にみられないため、ママやパパは心配になるでしょう。赤ちゃんの変化を見逃さないように、胃に空気が溜まっているときの様子を知っておくと安心です。
赤ちゃんの胃に空気がたまっているときのサインは下記の通りです。
・口をパクパクさせる
・うなる
・いきむ
・グズグズと機嫌が悪い
赤ちゃんは胃に空気が溜まると、お腹が張り苦しくて泣くことがあります。授乳中に泣くと、「どうしたのだろう……」と焦ってしまいますが、胃に空気が溜まっている可能性があることを覚えておきましょう。赤ちゃんの胃に空気が溜まっているときは、優しく背中をさすってゲップを出してあげます。
赤ちゃんが上手にミルクや母乳を飲めたときは、胃に空気が入り込まないこともあります。5~10分試してみてゲップが出なければ、胃に空気が溜まっていないのかもしれません。ただし、ゲップが出ても出なくても、授乳後10分くらいは縦抱きしてあげると安心です。
無理にゲップさせようと長時間対応することは、赤ちゃんやママ、パパの負担になってしまいます。赤ちゃんからゲップが出にくくでも、「機嫌が悪い」「泣いている」などの様子がみられないときは問題ないでしょう。空気がゲップとして出なかった場合は、オナラとして出ることもありますので、無理に出させなくても大丈夫ですよ。
また、授乳の直後にゲップが出たとしても、赤ちゃんが不快そうであればもう少し背中をさすってあげましょう。なぜなら、1回のゲップでは十分に空気を出し切れてない可能性があるからです。赤ちゃんによっては、「ゲップが出ないから寝かせよう」と横にした後にゲップすることもあります。授乳後に寝かせるときは、頭を横向きにして吐いたミルクが気道に入らないようにしてあげることが大切です。赤ちゃんの背中側に、クッションやタオルをおいて支えると横向きの姿勢を保てます。腰から頭にかけて、バスタオルや座布団で傾斜を作ってあげてもよいでしょう。
ミルクや母乳を吐く回数が1日数回くらいならば様子をみましょう。吐き戻してしまっても、機嫌がよく苦しそうでなければ問題ない可能性が高いからです。
ただし、毎回噴水のように吐く場合は、肥厚性幽門狭窄症という病気が原因かもしれません。肥厚性幽門狭窄症とは、胃の出口の筋肉が厚くなり狭くなってしまうことで、ミルクや母乳が通りにくくなる病気です。主に生後2週間から2ヶ月頃に発症し、赤ちゃんの1000人に1〜2人にみられるといわれています。飲んだミルクや母乳を噴水状に吐く、頻繁に吐いてしまい体重が増えない場合は医師に相談しましょう。
授乳に慣れていない頃は、生まれたばかりの赤ちゃんにミルクや母乳を飲ませてあげるだけでも大変なことです。授乳のたびに、「ゲップ出さなきゃ」と考えたり、「ゲップが出ない……」と不安になったりしてはママやパパが疲れてしまいますよね。
赤ちゃんの胃から余分な空気を出すことは大切ですが、無理に出さなきゃと思いつめなくても大丈夫です。赤ちゃんによってはミルクや母乳の飲み方が上手でゲップが出ないこともあります。ゲップさせる方法やコツを試してみて出なければ様子をみましょう。授乳は小さな赤ちゃんとママやパパの特別な時間です。赤ちゃんの成長を楽しみながらスキンシップを楽しめるとよいですね。
ライター名:神戸 のどか
保育士として保育園で5年半勤務し、0歳~6歳の子どもたちと関わってきました。現在は、ライターとして主にママ・パパや保育士向けの記事を執筆しています。
あわせて読みたい