2024年05月01日 00:00
水通しとは、生まれてくる赤ちゃんを迎える大事な準備の一つです。普段の生活では馴染みのない言葉ですので、「妊娠する前は知らなかった」という方も少なくありません。初めて水通しを行う場合は、「どうして必要なのか?」や「どのように行うの?」などわからないことも多いもの。 この記事では、水通しの方法や準備するものなどを解説します。出産前はお腹が大きくなる中、ベビー用品の買い物や入院準備などやることが多く大変な時期です。体調への不安も大きく、計画的な準備が欠かせません。水通しについて正しい知識を身につけておき、安心して赤ちゃんを迎えられるようにしましょう。
新品のベビー服を購入した場合、赤ちゃんが着る前に水で洗っておく「水通し」が必要です。水通しは、生まれたばかりの赤ちゃんのデリケートな肌を守るために行われます。ここでは、ベビー服の水通しが必要な理由を2つご紹介します。正しい水通しができるように、しっかり理由を把握しておきましょう。
新品の衣服には、シワや縮み防止、防虫対策のために化学物質のホルムアルデヒドが使用されていることがあります。ホルムアルデヒドは一般的によく使用されている身近なものですが、人によっては粘膜刺激やアレルギーを引き起こす化学物質です。
ベビー服に関しては、厳しい基準が設けられているためホルムアルデヒドは安全な濃度に抑えられています。もちろん赤ちゃんに影響が出ないような安全な状態で販売されているため、過度な心配は必要ありません。ただし、ホルムアルデヒドは繊維製品に吸着しやすく、家具や大人の衣服などから移染することも考えられます。ベビー服が販売時に個別に包装されているのも、移染を防ぐための対策の一つです。ホルムアルデヒドは水に溶けやすいため、水通しを行うことで簡単に除去できます。
新品の服や寝具には、見た目をよくするために糊がついていることがあります。しかし、糊はゴワゴワしていて赤ちゃんの肌への負担となることも少なくありません。赤ちゃんの肌は大人の半分程度の厚みといわれています。バリア機能も低く刺激に弱いため、肌トラブルが起きやすいのです。敏感な肌を守るために、糊を水通しで除去して衣服の着心地をよくしましょう。
また、水通しすることで、糊が除去されて吸収性も向上します。汗をかきやすい赤ちゃんのためにも、寝具や衣服の吸収性を高めることが大切です。糊は水に溶けやすい性質のため、水通しをすることで簡単に取り除けます。
水通しには、「洗濯機」と「手洗い」の2つのやり方があります。洗濯機で行う水通しは、まとめて複数の衣類を洗えるため便利な方法です。大きめの寝具も手洗いより楽に水通しすることが可能です。衣服や寝具の洗濯表示を確認して、洗濯機の使用ができるものはまとめて洗いましょう。
水通しを手洗いで行う場合、必要なものは下記の通りです。用意するハンガーは、衣類が干せれば大人用でも問題ありません。ただし、衣服が伸びてしまったり干しにくくかったりするため、いくつか赤ちゃん用のハンガーを用意しておくと便利です。
【水通しに必要なもの】
・洗濯槽クリーナー
・洗濯ネット
・赤ちゃん用の洗濯洗剤(なくても可)
・赤ちゃん用のハンガー
目に見えなくても、洗濯槽の中にはカビや細菌がいる可能性があります。水通しをする前に、洗濯機の中をきれいにすることで安心して衣類を洗えます。洗濯機の中を掃除するときは、洗濯槽クリーナーがおすすめです。比較的低刺激な酸素系の製品を選ぶとよいでしょう。酸素系のものは薬局で入手ができます。
赤ちゃんの衣類は、隅々まで洗えるように紐はすべてほどいておきます。衣類を傷つけないように、洗濯機のコースは「弱洗い」「ソフト洗い」「手洗い」などを選ぶと安心です。
洗濯後は、日光に当てて風通しのよい場所で干します。花粉やPM2.5が気になる場合は室内干しでも問題ありませんが、生乾きにならないように日の当たる場所で扇風機を当てるとよいでしょう。乾燥機は衣類の生地が縮んだり傷んだりするので、洗濯表示が「タンブラー乾燥不可」の場合は控えます。
洗濯表示が手洗いだった場合の水通しの方法をご紹介します。初めて水通しをする場合は、「手洗いだと大変そう……」と躊躇してしまうかもしれません。しかし、衣類の量が少ない場合は、洗濯機より手洗いの水通しの方が早く終わることもあります。量が多い場合は、脱水時のみ洗濯機を使用することで時短になりますよ。
水通しを手洗いで行う場合、必要なものは下記の通りです。水を入れる容器は、あらかじめ掃除してきれいにしましょう。
【水通しに必要なもの】
・洗面器や洗濯桶、バケツなどの容器
・赤ちゃん用の洗濯洗剤(なくても可)
・赤ちゃん用のハンガー
水通しを手洗いで行う場合は、清潔な容器に水またはぬるま湯を入れて行います。汚れを落とすわけではありませんので、ゴシゴシと衣服をこする必要はありません。優しくもみ洗いするイメージで大丈夫です。もみ洗いが終わったら容器の水を捨てて、新しい水ですすぎましょう。洗剤は使用しなくても問題ありませんが、使用した場合は洗剤が残らないようにしっかりすすぎます。
手で絞るとシワになりやすく時間がかかります。洗濯ネットに入れて洗濯機で脱水をしてもよいでしょう。ただし、衣服のシワや傷みを防止するため、洗濯ネットに入れて30秒前後の短い時間で脱水してください。
手洗いをした後は、日光に当てて風通しのよい場所で干すとしっかり乾きます。洗濯機のときと同様に、花粉やPM2.5が気になる場合は室内干しでも問題ありません。ただし、生乾きにならないように扇風機を使用して素早く乾かす工夫が必要です。
水通しは、基本的に洗剤は不要です。なぜなら、衣類の糊やホルムアルデヒドは水だけで簡単に除去できるものだからです。もしも汚れが気になるときは、「赤ちゃん用」や「ベビー用」と表記された専用の洗濯洗剤を使用しましょう。
大人用の洗濯洗剤には合成界面活性剤や蛍光増白剤が使用されているものが多く、赤ちゃんの肌に負担がかかります。たとえば、合成界面活性剤は油汚れに効果があり洗浄力は高い一方で、デリケートな肌には刺激が強い可能性もあります。配合されている成分を確認して、安心できるものを使用しましょう。柔軟剤も肌荒れを起こす可能性がありますので控えておくことをおすすめします。
せっかく水通しをしても、保管方法によってはホルムアルデヒドが移染してしまいます。水通しした衣類は、大人用とは分けて保管しましょう。
赤ちゃん用のタンスを用意するほかに、ジッパーやビニール袋に入れて保管する方法もあります。サイズや種類ごとに袋に小分けしてマスキングテープでラベリングしておくと、使うときに便利です。透明な袋を使用すれば、中身の確認がしやすくなります。
水通しは産休に入ったタイミングや、妊娠8ヶ月~9ヶ月頃のタイミングで行う方が多いようです。天気のよい日は洗濯日和ですので、晴れた日にできるように準備を進めておきます。出産前はお腹が重く体調の変化も不安ですので、家族と協力しながら進められるとよいでしょう。
水通しは出産前だけ行う方もいれば、新生児の時期だけ行う方もいます。新しい洋服のゴワゴワ感が気になる方は、大人になっても一度洗濯してから着ています。そのためいつまで水通しを行うべきか決まっているわけではありません。
目安としてホルムアルデヒドの基準が厳しい生後24ヶ月の間は、必要に応じて行ってもよいでしょう。
赤ちゃんの肌に触れるものや口に入れる可能性がある衣類は、水通しをしておくと安心です。ここでは、水通しすべき赤ちゃんの衣類とを一覧にしています。スタイやミトンなどのアイテムも一覧にしました。退院後すぐ使用するものを優先的に水通ししておきましょう。
【水通しをした方がよいベビーアイテムの例】
・肌着
・おくるみ
・スタイ
・スリーパー
・靴下
・ミトン
・バスタオル
・布団カバー
・ブランケット
・ガーゼ
・布製のおもちゃ など
赤ちゃんはよく汗をかいたりミルクを戻したりするため、多くの衣類が必要です。衣服や寝具など目の前にすると多く感じますが、無理せずできる範囲で行いましょう。洗濯表示を確認しながら水通しの準備を進めてみてくださいね。布製のおもちゃは洗うと縮んだり型崩れしてしまったりする場合もあるため、洗えるかどうかを購入前に確認するとよいでしょう。ない可能性がありますのでお気をつけください。
赤ちゃん用の衣類の中には「水通し不要」と記載されているものや、ホルムアルデヒドが使用されていないものもあります。安全性に気をつけて販売されているため、基本的に水通しは不要です。ただし販売時に安全に配慮されていても、前述した通りホルムアルデヒドは布に吸着しやすく保管方法によっては移染している可能性もあります。気になる場合は、水通しを行いましょう。
水通しは、生まれてくる赤ちゃんを迎えるための大事な準備です。初めての作業で戸惑うかもしれませんが、小さな衣服を洗濯することでもうすぐ赤ちゃんが生まれてくることを実感できるでしょう。お腹が大きくなってから行うことは大変ですが、赤ちゃんとの生活を想像しながら楽しめるといいですね。
体調がよくお天気の日に水通しできることが理想ですが、妊娠中はいつ何が起きるかわかりません。予定よりも早く入院するケースもありますので、出産後に慌てないよう計画的に準備を進めましょう。家族で一緒に作業することで、水通しの大切さややり方を共有できる機会になります。
ライター名:神戸 のどか
保育士として保育園で5年半勤務し、0歳~6歳の子どもたちと関わってきました。現在は、ライターとして主にママ・パパや保育士向けの記事を執筆しています。
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