2024年05月15日 12:00
6月4日の「虫歯予防デー」と、6月4日〜6月10日の「歯と口の健康週間」はポスターやCM、地域のイベントなどで見聞きすることが多いですよね。この活動には、歯と口の健康を見直し、国民の健康を増進する目的があります。 この記事では、「虫歯予防デー」や「歯と口の健康週間」の詳しい説明や、子どもにとって予防歯科が大切な理由を解説します。赤ちゃんの大切な歯をきれいに保つためには、身近な大人が正しい知識を持つことが重要です。ママやパパは虫歯から歯を守る方法や歯磨きの始め方を理解して、赤ちゃんの白い歯を守りましょう。
「虫歯予防デー」と「歯と口の健康週間」の目的は、予防虫歯に関する知識を普及することです。虫歯や歯周病の早期発見、早期治療を促し歯の寿命を延ばすために、正しい歯磨きや虫歯の知識を広めています。虫歯予防デーと歯と口の健康週間は、厚生労働省・文部科学省・日本歯科医師会・日本学校歯科医会などが実施しています。
もともと「虫歯予防デー」は、1928年から1938年まで日本歯科医師会により実施されていました。日付は「6(む)4(し)」にちなんで、6月4日に設定されました。その後、名前の変更が繰り返され、現在は6月4日~10日までの1週間を「歯と口の健康週間」としています。
「歯と口の健康週間」の期間には、都道府県歯科医師会や郡市区歯科医師会により独自に啓発イベントが行われます。たとえば、歯磨き指導や歯並び相談、キャラクターショーなどです。また、全国の保育園や幼稚園、認定こども園では、子どもに虫歯に関するお話をしたり、歯磨きの重要性を伝えたりしています。5~6月には、多くの園で歯科健診が行われます。
子どもの歯が虫歯になる前に、予防することは非常に重要です。特に、小さな子どもはまだ歯磨きの習慣がありません。また、歯磨きをしても上手く磨けないため、身近な大人の理解やサポートが大切です。ここでは、子どもの乳歯を虫歯から守るべき理由を2つご紹介します。
乳歯は永久歯と違い、虫歯になりやすい傾向があります。なぜなら、歯の表面を覆うエナメル質が大人の約2分の1と薄く、歯質が柔らかいため歯が薄く弱い状態だからです。
また、子どもは痛みの感覚が未熟であり痛みに気づけないこともあります。痛みに気づけず発見が遅れた場合、虫歯が進行し大きくなってしまいます。乳歯の虫歯の多くは、大人のように黒色ではなく白色であり見つけにくいことも特徴です。さらに、白い虫歯は黒い虫歯に比べて進行が早く、放っておくとすぐに虫歯の範囲が広がってしまいます。虫歯になりやすく進行しやすい乳歯は、大人がよく見守ってあげなければなりません。
乳歯は成長とともに永久歯に生え変わります。ママやパパの中には、「生え変わるならば虫歯になっても大丈夫なのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、乳歯が虫歯になると、後から生えてくる永久歯も虫歯に感染するリスクが高くなります。生え変わるからと油断せず、乳歯の頃からしっかり歯のケアをすることが大切です。
ママやパパは、「子どもの歯を虫歯から守ってあげたい」と思うものの、どのように守るべきか悩む方もいるでしょう。ここでは、子どもが虫歯にならないように大人ができる4つの方法をご紹介します。すぐ行動に移せるものばかりですので、取り入れてみてくださいね。
虫歯にならないためには、毎日の歯磨きが重要です。赤ちゃんの頃はママやパパが歯磨きをしてあげますが、2歳半~3歳頃から自分で歯磨きをします。また、保育園や幼稚園、認定こども園でも、小学校へ上がる前には自分で歯磨きをするようになります。
子どもの将来を考えると、自分から歯を磨く習慣をつけることが大切です。習慣になるまで長期間かかりますが、子どもの頃の積み重ねが重要です。歯磨きは毎日同じ時間に行うと、習慣化しやすくなります。子どもにとって、「食後や寝る前は歯磨きをすること」が自然になるように繰り返しましょう。
子どもだけの力では、しっかり歯磨きはできません。虫歯を予防するためには、大人による仕上げ磨きが大切です。特に、虫歯になりやすい歯の溝や、歯と歯茎の間などを優しく磨いてあげましょう。特に寝る前の歯磨きは、しっかり仕上げ磨きをしてあげてください。唾液の分泌が減る時間に虫歯菌が増殖するのを防げます。
仕上げ磨きをしていると、子どもの歯の小さな変化に気づくきっかけになります。虫歯を悪化させないためは早期発見が大事ですので、歯をよく見てあげてください。とはいえ、ママやパパにとって毎日の仕上げ磨きは大きな負担です。仕上げ磨きをする際は、子どもとのふれあいの時間として楽しんでできることが理想ですね。
大人が歯磨きをしてほしいと願っていても、子どもは同じように思えるわけではありません。歯磨きよりも、おもちゃやテレビに夢中になることはよくあることです。子どもの歯を虫歯から守るためには、「虫歯になるとどうなるのか?」や「なぜ歯磨きが大事なのか?」ということを子ども自身が理解することが大事です。絵本を活用すれば、絵があるため子どももイメージしやすいでしょう。また、歯科医師会が行っているイベントや、地域の施設が行っているイベントに参加することもおすすめします。
まだ言葉で意思疎通が難しい赤ちゃんの時期でも、「歯をきれいにしようね」と声を掛けたり、「さっぱりして気持ちいいね」と共感したりすることは大切です。歯を磨くことは大切で気持ちいいことだとじっくり伝えていけるとよいですね。
どんなに歯磨きをしても、虫歯を完全に防ぐことは難しいものです。子どもの歯が生えたら、歯科検診を検討しましょう。小さな頃から歯医者に通うことで下記のようなメリットがあります。
【子どもが歯医者に行くメリット】
・虫歯の早期発見ができる
・子どもの歯に関する相談をできる
・正しい歯磨きの方法を教えてもらえる
・歯医者の環境に慣れることで「歯医者嫌い」を軽減させる
また、保育園や幼稚園、認定こども園では定期的な歯科健診があります。治療が必要な場合はそのままにせず、早めに処置をしてもらってください。
赤ちゃんはじっとしていることが難しく、なかなか歯磨きをスタートさせるイメージが湧きませんよね。また、「いつから始めるの?」や「いきなり歯ブラシを使うの?」など、分からないことも多いもの。ここでは、赤ちゃんの歯磨きを行う時期と方法を解説します。
乳歯が生える月齢は、6ヶ月~1歳頃です。赤ちゃんの歯磨きは、乳歯が1本生えてきたら開始しましょう。
赤ちゃんの歯は下から生えてくることが多く、唾液に守られている下の歯は虫歯になりにくいといわれています。しかし、歯が生える時期は離乳食も始まっているため、歯磨きをせず放っておくと虫歯につながることもあります。まずは眠る前に、1日1回の歯ブラシタイムを取り入れてみましょう。
赤ちゃんは歯ブラシに慣れていないため、嫌がることがあります。まずは顔や口周りに触れることに慣れてもらいましょう。ママやパパは、「〇〇ちゃんのほっぺ、なでなで」と優しく触れるふれあい遊びを取り入れてみてくださいね。
いきなり歯ブラシを使用する前に、ガーゼや綿棒で歯の汚れを拭きとるとよいでしょう。ガーゼや綿棒に、慣れてきたら歯ブラシへとステップを進めてみてください。しっかり磨かなきゃという気持ちは大事ですが、初めての歯ブラシでゴシゴシ磨いては赤ちゃんがびっくりしてしまいます。最初は少し触れるくらいにして、口に歯ブラシを入れることに慣れるようにしてみてくださいね。初めは抱っこで行い、1歳くらいから寝かせて歯磨きをすると磨きやすくなります。
また、家族が歯磨きをする姿を見てもらうことで、赤ちゃんも興味を持ちます。歯磨きに興味を持ってきたら、赤ちゃん用の歯ブラシを用意してママやパパの真似をできるようにしましょう。
歯磨きは、生涯にわたって必要なものです。子どもにとって、「怖い」や「痛い」というマイナスのイメージにならないように心掛けましょう。少しの工夫で子どもが楽しめるきっかけになりますので、以下のコツを参考にしてみてください。
【歯磨きを楽しい時間にするコツ】
・子どもに合った大きさや毛先の歯ブラシを使う
・ママやパパが歌を歌いながら仕上げの歯磨きをする
・子どもの好きな色やキャラクターの歯ブラシを使う
・歯磨きの後は、子どもを褒める
・歯磨きの後は、「歯がきれいになって気持ちいいね」と共感する
大人が教えても、初めから完璧に歯磨きをできる子どもはいません。会話やスキンシップを楽しみながら、子どもの成長を見守ってあげましょう。
「虫歯予防デー」や「歯と口の健康週間」は、歯や口の健康を考える大事なきっかけとなります。歯質が柔らかい赤ちゃんの歯は、正しいケアや定期的な歯科検診を積み重ねて虫歯を防ぐ必要があります。ママやパパは予防歯科について理解して、子どもの歯を守りましょう。
歯は何十年も長く使うものであり、歯磨きは楽しく習慣化させることがなによりも大切です。歯磨きの時間が楽しくなるように、子どもとの会話やふれあいを充実させてみてくださいね。「虫歯予防デー」や「歯と口の健康週間」の機会に、今一度歯や口の健康を見直してみましょう。
ライター名:神戸 のどか
保育士として保育園で5年半勤務し、0歳~6歳の子どもたちと関わってきました。現在は、ライターとして主にママ・パパや保育士向けの記事を執筆しています。
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