【保育士監修】湯冷ましとは?赤ちゃんに与える安心の理由と作り方

これから温かい季節を迎えていくにあたり、赤ちゃんの水分補給について気になり始めるママも多いのではないでしょうか。特に「湯冷ましって必要なの?」「どんなときに与えればいいの?」と疑問に思うこともあるかもしれません。 湯冷ましは、母乳やミルク以外の水分補給として、赤ちゃんの体調や季節によって役立つこともあります。しかし、安心して赤ちゃんに湯冷しを与えるためには、水の選び方や適切な作り方を知っておく必要があるでしょう。 今回は、湯冷ましを赤ちゃんに与える理由やメリット、適切な作り方について詳しく解説します。

​赤ちゃんに与える湯冷ましとは?

湯冷ましは赤ちゃんの水分補給をサポートするだけでなく、母乳やミルク以外の飲み物に慣れる練習としても役立ちます。まずは赤ちゃんに湯冷ましを与える前に、湯冷ましとは何か、与える理由や時期について理解しておきましょう。

ここでは、赤ちゃんに初めて湯冷しを与える際に役立つ、湯冷ましの基礎知識について解説します。

 

​そもそも「湯冷まし」とは?

 

湯冷ましとは、「一度沸騰させたお湯を適温まで冷ました水」のことです。

この湯冷ましは、一般的に赤ちゃんが母乳やミルク以外に用いる最初の水分補給の一つとして使われています。

特に新生児期の赤ちゃんは、消化器官が未発達であるため、安全で清潔な湯冷ましを与えることが大切です。ただし、湯冷ましは母乳やミルクの代わりとしてではなく、あくまで補助的な水分補給や、離乳食開始前後の飲み物として活用するものであることを理解しておきましょう。

赤ちゃんに湯冷ましを与える理由は?

生後6か月未満の赤ちゃんは基本的に母乳やミルクから必要な水分を摂取しますが、気温の高い日や発汗量が多いときは少量の湯冷ましを与えることで、水分補給のサポートになります。

また、離乳食を始める時期になると、食事の際に湯冷ましを少しずつ与えることで、赤ちゃんが飲み物に慣れる練習になります。哺乳瓶やスプーン、ストローの練習としても湯冷ましは有効で、ミルク以外の飲み物に慣れさせる良い機会にもなるでしょう。

その他にも、赤ちゃんが便秘気味のときに少しずつ湯冷しを与えることで、スムーズなお通じを促すことがあります。赤ちゃんに湯冷ましを与える理由は、成長や体調によってさまざまです。赤ちゃんの様子を観察しながら、必要に応じて少量ずつ与えるようにしてください。

湯冷ましを赤ちゃんに与える時期は?

​湯冷まを赤ちゃんに与える時期は、成長段階や状況に応じて適切なタイミングを見極めましょう。基本的に生後6か月未満の赤ちゃんは、母乳やミルクから十分な水分を摂取できるため、特別に湯冷ましを与える必要はありません。ただし、乾燥や軽い脱水症状が心配な場合は、少量を与えることもあります。

湯冷ましを赤ちゃんに与える際は、一度に飲ませるのではなく、スプーンや哺乳瓶で少しずつ様子を見ながら進めてください。初めて口にするものに対して、赤ちゃんは戸惑うこともあるため、無理に与えず自然に受け入れるのを待ちましょう。

ミルク以外に湯冷しは必要?

 

基本的に生後6か月未満の赤ちゃんは、母乳やミルクから十分な水分を摂取できるため、特別に湯冷ましを与える必要はありません。ただし、体調不良や便秘が続いているときに、少量の湯冷ましを与えることで体調を整える手助けになることがあります。

ここでは、赤ちゃんに湯冷ましを与えるメリットやタイミング、適切な量や温度について解説します。

赤ちゃんに湯冷しを与えるメリット

赤ちゃんに湯冷ましを与えるメリットは、主に赤ちゃんの水分補給として役立つことです。

赤ちゃんにとって母乳やミルクが主な水分源ですが、暑い季節や発熱時には、汗を多くかくことで脱水のリスクが高まるため、少量の湯冷ましを与えることで補助的な水分補給ができます。

また、便秘の解消を助ける効果も期待できます。

母乳やミルクだけでは水分が不足しがちな場合、湯冷ましを適量与えることで腸の動きを促すことができます。特に離乳食が始まると、食事の変化によって便が固くなりやすいため、湯冷ましを取り入れることでスムーズなお通じをサポートできるでしょう。

さらに、飲む練習としても湯冷ましは有効です。

ミルク以外の味に慣れるきっかけにもなるため、食事と一緒に飲む習慣をつけるための第一歩としても適しています。ただし、湯冷ましは栄養を補うものではないため、赤ちゃんの様子を見ながら、必要に応じて与えていくようにしてください。

​湯冷しを与えるタイミング

まずは生後6か月を過ぎ、離乳食のスタートと並行して食事と一緒に湯冷ましを与えることから始めてみましょう。赤ちゃんが食事と飲み物をバランスよく摂る練習ができます。ただし、生後6か月未満の赤ちゃんでも軽い脱水が心配なときには、少量の湯冷ましを与えてもよいでしょう。

また、赤ちゃんの便秘や体調不良の際にも湯冷ましは役立ちますが、特に夏場や冬の暖房が効いた室内では水分不足になりやすいため、様子を見ながら与えるのもタイミングの一つです。

その他にも外出時やお風呂上がりなど、赤ちゃんが水分を欲しがることがあれば、体調や欲しがる様子を見ながら少しずつ与えるようにしてください。

​赤ちゃんに適した湯冷ましの温度と量

赤ちゃんに湯冷ましを与える際は、適切な温度と量を意識しましょう。

まず、赤ちゃんは熱すぎる飲み物をうまく飲むことができません。そのため、湯冷ましの適温は人肌程度の35℃〜37℃を目安にしてください。母乳やミルクと同じくらいの温度にすると、赤ちゃんも違和感なく飲めるようになるでしょう。

また、湯冷ましの量は月齢や状況によって調整することが必要です。

生後6か月未満の赤ちゃんには、基本的に湯冷ましは必要ありません。ただし、暑い日や便秘のときなど、少しだけ与えたい場合は5〜10ml程度から与えましょう。最初はスポイトやスプーンで少量ずつ飲ませると、むせる心配も少なくなります。

赤ちゃんが湯冷ましを嫌がる場合は、無理に飲ませる必要はありません。赤ちゃんの成長や状況に合わせて無理なく与えてください。

​赤ちゃんの湯冷しに適したおすすめの水

 

​赤ちゃんに湯冷ましを与えるといっても、実際にどのような水を与えたらよいのかを悩むママも多いことでしょう。基本的には家族で使っている水道水でも問題ありませんが、湯冷ましとして赤ちゃんに与える際には、おさえておくべきポイントがあります。

ここでは、安心して赤ちゃんに湯冷ましを与えるためのポイントや、おすすめの水についてご紹介します。

​【湯冷しにおすすめの水①】水道水

赤ちゃんの湯冷ましに使用する水として、水道水は最も手軽で安全性の高い水の一つです。

日本の水道水は厳しい基準のもとで管理されているため、品質的には問題ありませんが、赤ちゃんに湯冷ましとして与える場合は、煮沸後に冷ましたものを使用してください。

水道水には、消毒に必要な塩素が含まれています。この塩素は雑菌の繁殖を防ぐ役割を果たしていますが、沸騰をさせることで飛ばすことができます。目安は、やかんや鍋で沸騰させた後、そのまま10分ほど加熱を続けるとよいでしょう。残留塩素だけでなく、水道管を通る間に混入する可能性のある不純物や微生物も取り除くことができます。

水道水は手軽に利用でき、コストもかからないため、赤ちゃんの湯冷ましとして多くのママが取り入れています。正しく煮沸し、安全に管理をすれば安心して赤ちゃんに与えることができるでしょう。

 【湯冷しにおすすめの水②】ミネラルウォーター

ミネラルウォーターには、硬水と軟水の種類があります。赤ちゃんにはミネラル成分が少ない「軟水」を選びましょう。特に、消化器官が未発達な赤ちゃんがミネラル分の多い硬水を摂取すると、下痢や便秘を引き起こす可能性があります。赤ちゃんの湯冷ましとしてミネラルウォーターを使用する場合は、その種類をしっかりと確認してください。

また、ミネラルウォーターを選ぶ際は、ラベルに記載されている「硬度」にも注目しましょう。一般的に硬度100mg/L以下のものが軟水とされ、赤ちゃんにも安心して使用できます。

さらに、ミネラルウォーターには加熱処理されているものと、非加熱のナチュラルウォーターがあります。赤ちゃんに与える場合は、なるべく加熱処理されているものを選び、一度沸騰させて冷ましたものを使用しましょう。

 【湯冷しにおすすめの水③】純水(ピュアウォーター)

赤ちゃんの湯冷ましとして、純水(ピュアウォーター)を使用するのもおすすめです。

純水とは、不純物やミネラルを取り除いた水のことで、一般的なミネラルウォーターとは異なり、硬度がゼロに近いのが特徴だといえます。赤ちゃんの未熟な消化器官に負担をかける成分が含まれていないため、ミルクの調乳や湯冷ましとして安心して使用できるでしょう。

市販の純水は、その多くが逆浸透膜(RO膜)や蒸留などの高度な技術でろ過され、不純物をほぼ完全に取り除いています。そのため、無味無臭でクセがなく、赤ちゃんが違和感なく飲みやすいのもメリットの一つです。

この純水は、外出時に便利なペットボトルタイプもあるため、持ち運びもしやすいでしょう。ただし、開封後は雑菌が繁殖しやすくなるため、なるべく早めに使い切ってください。

​知っておきたい!湯冷ましの与え方と注意点

赤ちゃんに湯冷ましを与える際には、適切な準備のもと、体調や水分補給の必要性に応じて与えることが大切です。ただし、単に湯冷ましを与えればよいということではなく、適切な与え方や注意点についても理解しておきましょう。

ここでは、赤ちゃんに湯冷ましを与える際に、知っておきたい適切な与え方と注意点について解説します。

湯冷ましを与えすぎるとどうなる?

まず、湯冷ましを過剰に飲ませると、赤ちゃんの腎臓に負担がかかることがあります。

赤ちゃんの腎機能は未熟で、大量の水分を一度に処理するのが難しいため、水分の取りすぎによって体内のナトリウム濃度が低下する「水中毒」のリスクが高まるでしょう。

水中毒になると、むくみや倦怠感、ひどい場合にはけいれんを引き起こすこともあるため、注意が必要です。特に月齢の低い赤ちゃんほど影響を受けやすいため、必要以上に与えないようにしてください。

また、湯冷ましの飲みすぎはお腹がふくれてしまい、食事やミルクを受け付けなくなる原因にもなります。発育や体重増加に影響を及ぼす可能性があるため、適量を意識しながら与えましょう。

湯冷ましを与える目安としては、生後6か月未満であれば基本的に必要ないか、与えても1日数十ミリリットル程度に留めてください。

湯冷ましを活用して赤ちゃんの水分補給をサポート

赤ちゃんの水分補給をよりサポートするために、湯冷ましを上手に活用しましょう。

特に暑い季節や汗をかきやすい環境では、赤ちゃんの体内の水分が失われやすくなるため、湯冷ましが役立ちます。その他、お風呂上がりや外出後にも少しずつ与えることで、のどの渇きを癒し、脱水を防ぐことができるでしょう。

赤ちゃんによっては湯冷ましを嫌がることもありますが、その場合は無理に与えず、様子を見ながら少しずつ試してみてください。母乳やミルクの量がしっかりと確保できているのであれば、焦って与える必要はありません。

大切なことは、赤ちゃんの体調や欲しがるサインを見極めながら、適切に水分補給をサポートすることです。湯冷ましを上手に活用し、赤ちゃんの健康的な成長を支えていきましょう。

まとめ

​湯冷ましは、赤ちゃんの水分補給をサポートしながら、ミルク以外の飲み物に慣れるステップとしても役立ちます。ただし、与える時期や量には注意し、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ取り入れていくことが安心して与えられる理由にもつながるでしょう。

特に初めての育児では、何が正解なのかを迷うことも多いかもしれません。しかし、一つひとつの選択を大切し、試行錯誤しながらも実践を重ねていくことで自信もついてくるはずです。湯冷ましもその一つの手段として、赤ちゃんの健康を支えるために上手く活用してくださいね。


ライター名: Masayo.M
修士(教育学)
熊本大学大学院教育学研究科 修士課程 修了
保育者として保育園をはじめ、幼稚園や認定こども園において15年以上の勤務経験があります。
子育て世代のママに向けて、笑顔や価値につながる記事執筆を心がけています。


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