2018年08月25日 11:00
「出生前診断」は、妊娠中に任意で受けることができる検査のことです。出生前診断では、赤ちゃんがお腹の中にいるうちから、精密に先天性や遺伝性の病気がないかを調べることができます。出生前検査にはいくつか種類があり、検査方法や内容も異なります。 今回は、そんな出生前検査の概要をご紹介し、検査の種類と内容、費用や問題点、リスクと確率、いつから受けられのかについてまとめました。
出生前診断とは、妊娠9週~18週くらいまでの間に、胎児に異常がないかを調べるために行う検査のことです。
出生前診断では、染色体異常や奇形、先天性の病気などを調べることができます。
出産前に知ることができるため、赤ちゃんを迎えるときに心の準備をすることができますし、高齢出産や染色体異常の子どもを出産したことがあるなど心配な場合は、その不安を解消することもできます。
出生前診断にはいくつか種類があり、検査内容なども種類によって異なります。
中には、高額な費用がかかってしまう検査や、リスクがあるもの、検査を受けることができる人が限られているものもあります。
そこで、6つの出生前診断の種類ごとに、検査内容と時期、費用の目安、リスクをまとめました。
超音波(エコー)検査は一般的な検査で、大抵の妊婦さんが受診します。
経腟超音波で胎児の首のうしろ側のむくみを測定し、染色体異常の可能性がないか調べたり、お腹の上から発育状態や形態異常等を調べたりします。
妊娠9~11週から各妊婦検診
2~3万円ほど(補助券使用可)
流産のリスクなどはなく、安全な検査方法です。
絨毛検査は、妊婦さんのお腹の上から針を刺し、胎盤の一部である絨毛組織を採取して、胎児の細胞を培養し、染色体の構造や数を調べる検査です。
染色体異常や遺伝子異常がほぼ100%発見できると言われています。
妊娠9~11週
10~20万円ほど
約1%の確率で、流産のリスクがあります。
検査後には出血や腹膜炎、破水、ウイルス感染などのトラブルが起こる可能性も稀にあります。
※高リスクのため、受診できる方は限られています。
羊水検査は、妊婦さんのお腹の上から針を刺して羊水を採取し、その成分から染色体や遺伝子に異常がないかを調べる検査です。
羊水検査も、絨毛検査と同様にほぼ100%の精度です。
妊娠14~16週
10万円ほど
約0.3%~0.5%の確率で、流産のリスクが伴います。
検査後には出血や腹膜炎、破水、ウイルス感染などのトラブルが起こる可能性も稀にあります。
※高リスクのため、受診できる方は限られています。
母体血清マーカーテストは、妊婦さんの血液を採取し、血中のホルモンやタンパク質の濃度などの成分を分析することで、染色体異常がないか調べる検査です。
染色体異常があるかどうかは、70%~80%の確率でわかると言われています。
妊娠16~18週
1~3万円ほど
採血だけの検査のため、母子ともにリスクのない安全な検査方法です。
母体血胎児染色体検査・新型出生前診断(NIPT)は、妊婦さんの血液を採取し、遺伝子情報を解析して胎児の染色体異常の可能性を検出する検査です。
結果が陰性であれば、99%の確率で染色体異常ではないと判断することができます。
妊娠10週以降
20万円ほど
妊婦さんの身体への負担や、流産のリスクはほとんどありません。
※新型出生前診断にはリスクはありませんが、検査受診のためには、絨毛検査や羊水検査などと同じ条件を満たしている必要があります。
胎児スクリーニング検査(胎児ドック)は、任意で受けることができる、より精密な超音波検査です。
一般的に、妊娠初期と妊娠中期に1回ずつ受けることができます。
胎児スクリーニング検査(胎児ドック)では、染色体異常や形状異常、臓器の異常などを調べることができますが、全国的に実施している病院は多くありません。
2~5万円ほど
流産のリスクはなく、安全な検査方法です。
出生前診断の中で、検査を受けることにより流産のリスクがあったり、母体に負担がかかったりする検査には、検査を受けるために条件があります。
通常、羊水検査や柔毛検査などのリスクの高い検査は、リスクが低い検査を行った後に、異常の疑いが強い場合にのみ行われています。
上記の受診条件のほかにも、医師から十分な説明を受け、内容や意義、リスクを理解していることも大事です。
出生前診断は受診することによって染色体異常などがわかりますが、解説したようにリスクがある検査もあります。
出生前診断を受ける前には、医師とよく相談するようにしましょう。
また、出生前診断の結果によっては、赤ちゃんや家族の人生をも左右してしまう可能性もあります。
出生前診断を受ける前は、夫婦でよく話し合いをしておくことも大事ですよ。
いかがでしたでしょうか?
出生前診断の種類と検査内容、費用の目安とリスクについて解説しました。
それぞれの検査を受けることでわかる内容とリスクをしっかり理解し、医師に相談してから受診するようにしましょう。