2022年05月24日 00:00
水分が多く、実がやわらかいトマトは離乳期の赤ちゃんから食べやすい食材。ただ、「湯むきはいつまで必要?」「アレルギーはある?」など疑問に思うママも多いのではないでしょうか。今回は、栄養満点のトマトを離乳食で使う時の選び方や注意点、トマトが苦手な赤ちゃんでも食べやすくする工夫や調理方法、おすすめ離乳食レシピを紹介します。
トマトは生後5〜6カ月の初期から使えます。栄養満点のトマトには、紫外線から肌を守る抗酸化作用を持つ「リコピン」が豊富に含まれています。また、ビタミンCなども豊富です。
トマトの皮と種は硬いので、離乳食では取り除いて与えるとよいでしょう。ただし、後期以降で赤ちゃんが嫌がらないようであれば、皮と種はつけたままでも大丈夫です。
食べられる時期・1回に使える目安量・下ごしらえと形状
※野菜・果物類の中で1食のうちに使う食材がトマトだけである場合の目安量です。他の野菜・果物類の食材と組み合わせる場合は記載されている目安量を減らしてもよいでしょう。
出典:NIH(アメリカ国立衛生研究所) トマトペーストの食事による紫外線誘発性紅斑の予防効果
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11340098/
出典:厚生労働省 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html
離乳食期には、酸味が弱く、糖度が高いトマトが向いています。トマトを選ぶ時は、赤みが濃くハリとツヤがあり、ヘタがピンと張っているものを選びましょう。おしりの八方に白い筋が入っていると糖度が高い証拠です。
初期や中期の赤ちゃんは食べる量が少ないため、1個当たり約10〜15g程度のミニトマトが使いやすくて便利です。また、ミニトマトは大玉トマトに比べると甘みが強く、皮がむきやすい特徴があるので離乳食に向いています。
下ごしらえが面倒だと感じる場合は、トマト缶やトマトジュース、トマトピューレなどを使うと手間が省けて便利です。購入時には食塩不使用のものを選びましょう。
また、トマト缶に皮や種がある場合は、裏ごししてから使うとよいでしょう。
離乳食でトマトを与える時は、皮むきと種取りが必要になります。トマトの皮や種は硬く、消化が悪いので取り除いてあげましょう。種は特に酸味が強いので離乳食には向いていません。
それでは、基本のトマトの湯むきの方法、電子レンジや冷凍トマトを使った皮のむき方、種の取り方を紹介していきます。
沸騰したお湯を使う湯むきは、トマトの表面を均一に加熱できるので、短時間で皮がむけます。長時間加熱し続けると実が潰れてしまい、皮がむきにくくなるので気をつけましょう。
ミニトマトを電子レンジで皮むきする場合
※5個以上を使う場合は加熱時間を長めに設定するとよいでしょう。
冷凍トマトの作り方
1)トマトのヘタをくり抜く
2)冷凍保存袋に入れて密封し、冷凍保存しておく
使う時にラップから冷凍トマトを取り出して、そのまま水に浸けると簡単に手で皮をむくことができます。ミニトマトも同様に冷凍できます。
皮むきをしたトマトを横半分に切り、小さめのスプーンを使って種をくり抜くと簡単に種を取り出せます。もしくは皮を湯むきしたあと、裏ごしして種を取り除く方法もあります。
トマトの種はゼリー状の部分が酸味を強く感じさせます。種と一緒にしっかり取り除きましょう。
トマトは、皮と種を取り除けば初期から使えて赤ちゃんにおすすめの食材ですが、離乳食で使う際には注意する点があります。「トマトで起こりやすい事故」や、調味料として使われる「ケチャップはいつから食べられるのか」「トマトのアレルギー」について説明していきます。
ミニトマトを皮付きのまま生で食べられるようになっても、丸ごと与えないようにしましょう。消費者庁より、ミニトマトによる赤ちゃんの窒息・誤嚥事故の注意喚起が発表されています。ミニトマトだけではなく、ブドウなど球状の食品を丸ごと食べるのは避け、離乳期に使用する場合は必ず4等分にしてから与えるようにしましょう。
出典:消費者庁 食品による子どもの窒息・誤嚥事故に注意
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_047/
ケチャップの原材料には、トマトだけでなく砂糖や食塩、酢、香辛料なども使われています。
味が濃いので、ケチャップを使いたい場合は後期以降に与えるようにして、薄味を心がけましょう。普段大人が使っているものでも問題はありませんが、食塩無添加の商品を選ぶと安心です。
出典:楽天市場
消費者庁が発表している、アレルギー症状が出やすい食品の28品目にトマトは含まれていませんが、食べる量や赤ちゃんの体質によってはアレルギー症状が出る場合もあります。食後に口周りや口内が赤く腫れるなどのアレルギー症状が出た場合にすぐ病院に行けるように、初めてトマトを与える時は平日の午前中にしましょう。
出典:消費者庁 別添アレルゲンを含む食品に関する表示(2ページ目本文6行目)
トマトの特徴でもある酸味や青臭さが苦手な赤ちゃんは多いです。もし赤ちゃんがトマトを嫌がるようであれば、無理に食べさせる必要はありませんが、酸味や青臭さを軽減させてあげることで食べられるようになるかもしれません。
トマトを購入する際は、ミニトマトやフルーツトマトなど糖度の高い種類を選ぶとよいでしょう。大玉トマトの場合は、赤みが濃くハリと重みがあるものがおすすめ。また、加熱することで酸味が抑えられ甘みが増すため、しっかり加熱調理するようにしましょう。
トマトを選ぶ際は、赤みが濃くしっかりと熟しているものを選びましょう。また、加熱することで青臭さを抑えることが可能。油を使って炒めることでも青臭さを軽減させられます。少量の油が使えるようになる後期以降であれば、炒め物などにトマトを使うのもいいですね。
トマトは冷凍保存が可能です。月齢ごとの形状に切ったあと、冷凍保存容器に入れて冷凍しましょう。もしくは冷凍保存袋に入れて、1回量ずつに割り箸などで上からすじ目を付けて冷凍保存してもよいでしょう。
1回では使い切りにくいトマト缶やトマトジュース、トマトピューレも同様に冷凍保存ができます。
大玉トマトでもミニトマトでも丸ごと冷凍保存ができます。
トマトのヘタをくり抜き、冷凍保存袋に入れて密封し冷凍。皮むきの際は、凍ったトマトを水に浸けるだけで簡単に皮がむけるのでおすすめです。
耐熱容器に各月齢の形状で冷凍された1回量のトマトを入れ、ふんわりラップをして電子レンジ500Wで30秒加熱しましょう。
丸ごと冷凍したトマトも電子レンジで解凍できます。丸ごと冷凍したトマト1個を耐熱容器に入れてラップをかけずに電子レンジ500Wで2分加熱すればOKです。
調味料が使いにくい赤ちゃんの食事の味付けにもなるトマトは、肉や魚のソースに使ってみたり、ケチャップの代わりに使ったりとアレンジがしやすい食材です。
今回は大玉トマトやミニトマト、トマト缶など様々なトマトの種類を使った離乳食のレシピを紹介します。
材料(1回分)
・ミニトマト 2個
・水溶き片栗粉 少々
作り方
ポイント:初期の食材は少量しか使わないので、1個当たり約10〜15gのミニトマトが便利です。片栗粉を加えることでゼリーのような食感に変わります。
材料(2回分)
・トマト 1/8切れ(約20g)
・玉ねぎ 10g
・にんじん 10g
・水 大さじ3
作り方
ポイント:アレンジが効くので多めに作って冷凍保存しておくのもおすすめ。鍋でしっかり加熱するので、酸味が抑えられてトマトが苦手な赤ちゃんにもおすすめのレシピです。
材料(1回分)
・スパゲティ(ゆで) 40g
・ツナ(水煮) 15g
・アスパラガス(穂先) 1/2本(約10g)
・トマト缶 大さじ1
・育児用ミルク(調乳済み) 大さじ1
作り方
ポイント:調味料を使わなくても、トマトの味で美味しいスパゲティが出来上がります。育児用ミルクは牛乳に置き換えて作ってもよいでしょう。
材料(1回分)
・たら(切り身) 15g
・ミニトマト 1個(約10g)
・ブロッコリー 10g
・オリーブオイル 少々
・しょうゆ 数滴
作り方
ポイント:味付けはしょうゆ数滴だけですが、たらの旨味が引き立って美味しくなります。ミニトマトの皮は嫌がるようでなければ湯むきせず、皮付きのままでもOKです。
トマトは缶詰やピューレ、トマトジュースなどを使うことで簡単に離乳食に取り入れられます。私も娘の離乳食作りにはトマト缶が役立ちました。トマト缶は長期保存が可能で、使い切れなくても冷凍して保存ができる魅力的な食品ですね。栄養満点なトマトをぜひ離乳食に取り入れてみてください。
ライター名:谷岡友梨
保育園で管理栄養士として5年間勤務し、離乳食・アレルギー食・幼児食の献立作成、調理に携わる。現在では離乳食のレシピ考案、コラム執筆などを行いながらママたちへの離乳食相談を行っている一児の母。
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