2023年08月01日 19:00
ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素がたっぷり含まれている野菜。「1歳の子どもが野菜を食べてくれない」「野菜を食べないということは離乳食失敗?」「子どもが野菜を食べないのはなぜ?」など疑問に思う方も多いのではないでしょうか。 この記事では、1歳の子どもが野菜嫌いになる4つの理由や野菜を食べない時の調理ポイント、野菜を嫌がる1歳児への食べさせ方について解説します。保育園勤務の管理栄養士ママが野菜嫌いの1歳児に人気の野菜克服レシピも紹介するので、ぜひ参考にして作ってみてください。
1歳の赤ちゃんが野菜を食べなくても、離乳食が失敗したというわけではありません。野菜を食べなかったり好きなものしか食べなかったりする偏食は、1歳後半ごろから多く見られる傾向です。
野菜にはからだの成長に必要なビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養が豊富に含まれています。野菜嫌いは一時的なものの可能性も高いので、野菜を嫌がる原因を取り除いて食べやすく工夫してあげるとよいでしょう。
赤ちゃんが野菜を食べてくれないと、ママやパパは栄養がとれているか気になってしまいますよね。1歳の赤ちゃんが野菜嫌いになる理由には、いくつかの可能性が考えられます。赤ちゃんが野菜を食べない原因について知っておくと、どうやって工夫すればいいかがわかりやすいので理解しておくとよいでしょう。
野菜独特の苦味や酸味、青臭さが苦手な赤ちゃんは多く、甘い味を好む傾向があります。赤ちゃんは舌の上に存在する味を認識する味蕾が大人よりも多く存在しているため、大人よりも敏感に味を感じとる傾向があるのです。野菜が苦手な赤ちゃんは、本能的に「苦味」は毒の味、「酸味」は腐敗した味と感じてしまい、口に入れてはいけないものとして認識してしまうことが原因のひとつであると考えられます。
<苦味や酸味、青臭さを感じやすい野菜>
・トマト
・きゅうり
・ブロッコリー
・ねぎ など
野菜のかたさや形状が赤ちゃんにとって食べにくい可能性もあります。歯が生えそろっていない赤ちゃんにとって、かたい食材は上手に食べられません。
「授乳・離乳支援ガイド2020年版」では、1歳〜1歳半の赤ちゃんには歯ぐきでかみつぶせる肉団子程度のかたさが推奨されています。加熱した食材は、1cm角程度に切ってから与えましょう。
根菜類など加熱してもなかなかやわらかくならない野菜は、すりつぶしてソースに混ぜたり小さめに刻んだりかじりとれる形状にするなどの工夫をしてみるのもおすすめです。
舌の上で散らばりやすい野菜は口の中でまとめにくい特徴があるので、赤ちゃんが嫌がる傾向があります。かたい食材や繊維の多い食材は刻んでも舌の上で散らばりやすいので、とろみをつけてあげたりつぶした野菜類と和えたりする調理法がおすすめです。
<口の中でまとまりにくい野菜>
・にんじんや大根などの根菜類
・りんご
・キャベツなどの生野菜
1歳児が野菜を嫌がる原因のひとつとして、初めて食べる食材や料理への恐怖心が強いことが原因であることも考えられます。野菜は他の食材と比べて独特な風味や味、見た目や食感があります。赤ちゃんにとって馴染みがないことから、見ただけで嫌がる赤ちゃんも多いです。
怖いものではないということを知ってもらうためには、普段から野菜に触れ合う機会を作るとよいでしょう。大人がおいしそうに食べている姿を見せてあげることも大切です。
自我が芽生える1歳児からよく見られる偏食。野菜をなかなか食べてくれない時の調理ポイントについて解説します。赤ちゃんがなかなか野菜を食べてくれないことで悩んでいるという方は、ぜひご家庭でも実践してみてください。野菜を嫌がる原因はいくつか考えられるので、調理ポイントを組み合わせて料理をしてみるとよいでしょう。
パサパサした食べ物には、水溶き片栗粉でとろみをつけて食べさせましょう。じゃがいもやさつまいも、かぼちゃなどの食材は、水分量の少ない野菜類で焼き調理だとパサパサになりやすい食材です。水分を含ませるように煮物にしたり、しっとりとした調理法を取り入れたりするとよいでしょう。
またにんじんやごぼうなどの根菜類も水分量が少ないので、口の中でパサパサしやすい特徴があります。しっかり加熱したあとに、水溶き片栗粉でとろみをつけてあげると食べやすくなります。
歯が生えそろっておらず、咀嚼力が未発達の赤ちゃんにとって、かたい野菜や繊維が多い野菜は噛み切りにくい食材です。にんじんや大根などの根菜類は加熱しても比較的かたさが残ってしまうので、飲み込みづらく苦手という赤ちゃんもいるでしょう。
さつまいもの皮やごぼうなどの繊維が多い野菜も、歯が生えそろっていない時期には食べにくいため、小さく刻んでから与えるとよいでしょう。
赤ちゃんが好きな食材と苦手な野菜を混ぜて調理すると、野菜嫌いでも食べてくれる可能性があります。納豆が好きな場合は、加熱して刻んだ野菜を混ぜてごはんにのせて食べさせてあげるとよいでしょう。甘いさつまいもやかぼちゃが好きな場合は、つぶしたものに和えてポテトサラダにして与えるのもいいですね。
好きな味付けが決まっている場合は、野菜の味付けを好みの味にしてあげるのも効果的です。
赤ちゃんは食べ物の見た目に敏感です。鮮やかな色や興味を引く形状の食べ物を好む傾向があるので、好きなキャラクターや形などの見た目に仕上げてみるのもよいでしょう。独特な色合いや食べにくい形状の野菜は、見た目に敏感な赤ちゃんにとって魅力的に見えない可能性があります。
野菜を星やハートの形にカットするなど、食事を楽しめる見た目に工夫するのもおすすめです。
1歳の赤ちゃんは、自分で食べることに興味を持ち始める時期です。赤ちゃんが自分で手づかみできるレシピを取り入れてみるのもよいでしょう。手づかみ食べは食べ物の触感や食べる感覚を楽しめるため、苦手な野菜でも食べられるようになる可能性もあります。
野菜をハンバーグに入れてみたり、おやきにして食べさせたりしてみるのもいいですね。手づかみさせると丸ごと口に放り込んでしまうという赤ちゃんには、かじりとる必要がある楕円形やスティック状のものにしてあげるとよいでしょう。
自我が芽生える1歳児は、食べ物や遊びなどさまざまなものに好奇心旺盛な時期です。しかし野菜は酸味や苦味、青臭さなど、食品に対しても拒否反応を起こしやすい時期。しかし、親としては色々なものを食べて欲しいと考えるでしょう。ここでは偏食が強い1歳児へのおすすめの野菜の食べさせ方をご紹介します。赤ちゃんが野菜嫌いで好きなものしか食べてくれないと悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
野菜を嫌がる場合は、しっかりおなかを空かせたタイミングで与えるのもよいでしょう。おなかが空いていない状態だと、野菜に限らずごはんを嫌がる可能性もあります。食欲がある時間帯で赤ちゃんのおなかが空いているタイミングを選んで、野菜から口に運んであげるのもよいでしょう。
大人や兄弟姉妹がおいしそうに野菜を食べている姿を見せてあげるのもよいでしょう。1歳の赤ちゃんは、野菜に対して警戒心が強い時期でもあります。野菜を食べておいしそうにしている様子を見せることで、野菜に対する警戒心が薄れる可能性もあるので試してみてください。
また食事環境や周囲の雰囲気も、野菜を食べる意欲に影響を与えることがあります。忙しいママやパパは赤ちゃんに食事を摂らせることに必死になってしまいがちですが、できるだけ一緒に食べることを心がけてみましょう。
好奇心旺盛な1歳の赤ちゃんには、野菜と触れ合う機会を増やすのもおすすめです。赤ちゃんは野菜の色や形、触感を自分で感じることで、食べ物に対する興味が増します。野菜の皮むきなど調理を手伝ってもらうことは、野菜に対する興味関心を深めるメリットもあるので、ぜひ取り入れてみてください。野菜が登場する絵本を読んであげるのもいいですね。
野菜嫌いの赤ちゃんに人気のレシピを知りたいという方も多いのではないでしょうか。今回は保育園の管理栄養士であり、1児の母でもある私が1歳から食べられる野菜克服人気レシピをご紹介します。
材料(4回分)
・焼き芋 1/2本(約70g)
・ブロッコリー 25g
・マヨネーズ 小さじ2
作り方
1)耐熱容器に小房に切ったブロッコリーとひたひたの水(分量外)を加え、電子レンジ600Wで7分加熱する
2)水気を切って手でほぐしながら軽くつぶし、ボウルに入れる
3)皮をむいた焼き芋、マヨネーズを2)に加え、スプーンで和える
ポイント:甘みの強い焼き芋は、ブロッコリーの青臭さを抑えられるのでおすすめです。パラパラと口の中で散らばりやすいブロッコリーも、さつまいもと和えることでまとまりやすくなるのでぜひ試してみてください。
材料(麺:1回分 具:4〜5回分)
・スパゲティ(乾麺) 30g
・鶏ひき肉 70g
・にんじん 1/2個
・玉ねぎ 1/2個
・ピーマン 1個
・みそ 大さじ1
・砂糖 小さじ2
・しょうゆ 小さじ2
・水 200ml
・水溶き片栗粉 適量
作り方
1)にんじん、玉ねぎ、ピーマンはみじん切りにする
2)熱した鍋で鶏ひき肉、1)を加え、肉に火が通るまで炒める
3)水200mlを加えて蓋をし、弱火〜中火で野菜がやわらかくなるまで煮る
4)みそ、砂糖、しょうゆを加えて味付けする
5)水溶き片栗粉でとろみをつける
6)沸騰したお湯でスパゲティを表記時間ゆで、1cm程度の長さに切る
7)皿にゆでて切ったスパゲティを盛り付けて、上から5)をのせる
ポイント:麺は記載されている時間よりも長めにゆでることで、赤ちゃんが噛み切りやすくなります。肉みそにはたっぷりの野菜が使われていますが、片栗粉でとろみをつけているのであんかけのようになって食べやすくなります。
材料(大人2回分+子ども2回分)
・豚ひき肉 200g
・にんじん 1/2本
・玉ねぎ 1/2個
・小麦粉 大さじ2
・カレー粉 小さじ1/2
・砂糖 小さじ1
・ウスターソース 大さじ1
・水 100ml
・ごはん 子ども1人80g
・焼きのり 適量
作り方
1)にんじん、玉ねぎはみじん切りにする
2)熱したフライパンで豚ひき肉と1)を炒める
3)ひたひたになる程度の水を加えて、弱火〜中火で野菜がやわらかくなるまで炒め煮する
4)水分がなくなったら火を止めて、小麦粉を加え混ぜ合わせる
5)カレー粉、砂糖、ウスターソース、水を加えてとろみがつくまで加熱する
6)皿に5)を盛り付け、上からごはんでクマの形を作ってのせる。焼きのりはハサミで目と耳、鼻と口を切ってごはんの上に飾る
ポイント:カレー粉を少量加えることで、カレーの風味がほんのり楽しめるキーマカレー。くまさんの形を作るので、かわいらしくて赤ちゃんも喜んで食べてくれます。冷凍保存もできるので、多めに作っておくのもいいですね。
材料(1回分)
・ごはん 1合(360g)
・ほうれん草 1/2束
・しらす 20g
・ごま油 適量
・いりごま 大さじ1
作り方
1)ほうれん草は7mm角程度に切っておく
2)フライパンにごま油を熱し、1)と水大さじ2(分量外)を加え炒め煮する
3)しらす、しょうゆを加えて水分がなくなるまで炒める
4)ごはんに3)といりごまを加えてしっかり混ぜ合わせ、おにぎりの形に握る
ポイント:小松菜よりもやわらかい食感のほうれん草を使った混ぜごはん。ごまの風味で青臭さが抑えられて、赤ちゃんでも食べやすいレシピに仕上がります。
自我が芽生える1歳の赤ちゃんは、野菜を嫌がって食べないことも多い時期。この時期の赤ちゃんは食材の好みが変わる可能性も高いので、特定の野菜を食べなくても繰り返し食事のタイミングで出してあげることも大切です。
野菜を食べてくれなくても離乳食が失敗したわけではありません。野菜を嫌がる原因を探ってみて、食べられるようになる工夫を取り入れてみるのもよいでしょう。ただし無理に食べさせようとすると、かえってママやパパの負担が大きくなってしまいます。野菜は急に食べ始める可能性もあるので、長い目で見守ってあげるとよいでしょう。
ライター名:谷岡友梨
保育園で管理栄養士として5年間勤務し、離乳食・アレルギー食・幼児食の献立作成、調理に携わる。現在では離乳食のレシピ考案、コラム執筆などを行いながらママたちへの離乳食相談を行っている一児の母。
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