2021年05月15日 00:00
出産が間近となった妊娠後期は、お腹も大きくなり、妊娠前に簡単に出来たことが難しくなることがあります。 そのため、生活の中で「これは避けた方がいいのかな?」とあれこれ不安になってしまうことがあるのではないでしょうか。 そこで今回は、妊娠後期に避けたほうがいいことと、やっておいた方がいいことについて紹介していきましょう。
妊娠後期とは、妊娠28週から出産までの時期を指します。
月で言うと、妊娠8か月から10カ月までのことです。お腹の中の赤ちゃんは出産が近づいて大きくなり、それに伴いお腹もどんどんと大きくなっていきます。妊娠初期には約7センチほどだった子宮は、およそ36センチと約5倍になるのです。
これだけ大きな体の変化があるのですから、体調にもさまざまな影響が出てきます。お腹の重みで腰痛を感じる方もいますし、子宮に膀胱が圧迫されることにより、尿モレや頻尿に悩む方も出てきます。そのような身体の変化による悩みを少しでも軽くし、元気な赤ちゃんを産むために避けた方がいいこととは、どんなものがあるのでしょうか?
妊娠後期になると大きくなったお腹に圧迫されて、今までの寝る姿勢では苦しく感じてしまうことがあります。さらにホルモンバランスの乱れにより、自律神経が不安定になり、寝つきが悪くなってしまうことがあるのです。
特に仰向けで寝ていると、お腹に圧迫感を感じて息苦しく寝付けないことがあります。そんな時は横向きなど、自分が楽だと感じる姿勢をとりましょう。
自分が寝やすく、圧迫感が少ない寝方であればどんな姿勢でもよいのですが、妊娠後期の妊婦さんにおすすめなのが「シムス体位」です。これは19世紀にイギリスの産婦人科医が提唱した寝方で、妊娠中の体が楽になりリラックスしやすいとされています。
シムス体位を取るには、まず体の左側を下にして横向きに寝転がります。左足はまっすぐに伸ばし、右足は脚の付け根から曲げ、さらに膝も曲げた状態にします。お腹に負担がかからないくらい、少しだけうつ伏せ気味に体をかぶせた状態になればOKです。この状態でもお腹が苦しいと感じた場合は曲げた右足とベッドや布団の間に枕やクッションを入れて高さを調節すると楽になります。抱き枕を使うのもおすすめです。
妊婦さんは仰向けに寝てはいけないと言われることもあります。仰向けでも苦しくなく、自分が寝やすいと思えば仰向けでもかまいません。しかし、仰向けの状態だと、子宮が背骨の右側にある下大静脈を圧迫することにより低血圧を起こす「仰臥位低血圧症候群」になる可能性があります。またお腹が張りやすくなる、足がむくみやすくなる、静脈瘤ができるなどのトラブルが起こることがありますから、圧迫感を感じたら姿勢を変えるようにしましょう。
体を温めて血行を促進できるバスタイムは、リラックスできる時間です。妊娠後期はむくみやすくなりますが、身体を温めて血行を促進することでむくみ解消にもつながります。
しかし、妊娠中は子宮にたくさんの血液を送るため体内の血液量が急激に増えます。そのとき赤血球の増加が追い付かず、血液が薄い「貧血状態」になりやすいのです。そのため熱いお湯に長時間浸かると、脳貧血やたちくらみを起こしてしまう可能性があります。また、身体を温めすぎると子宮収縮を起こす可能性もあるのです。
妊娠後期の入浴では、ぬるめの温度で10分程度にするとよいでしょう。また濡れた浴室の床は滑りやすいため、転倒防止のマットを敷くなどして十分注意してください。
妊娠後期になると、つわりがなくなり食欲が増加する方が増えてきます。特に出産が近づき、赤ちゃんが子宮の下の方に降りてくると、胃の圧迫が解消されて食欲が増してしまうのです。
しかし胃の不調から解放されたといって食べ過ぎてしまうと、体重が急激に増えてしまうことにつながります。またお腹が大きくなり、動きにくくなることによって運動不足にもなりがちです。妊娠後期は赤ちゃんが成長し、用水量も血液量も一番多くなって体重は増えやすい時期でもあります。ここで食べ過ぎてしまうと、体重の増えすぎによるトラブルを引き起こしてしまうのです。
急激な体重増加が起こすトラブルとしては、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などがあります。またお母さんが太りすぎてしまうことで赤ちゃんが巨大児になることや、産道まで脂肪がついてしまい、難産などにもつながってしまうのです。
栄養バランスの整った食事を適正量に抑え、散歩やストレッチなど無理のない範囲で体を動かしてみましょう。また定期的に体重を測り体重管理も心がけましょう。妊娠後期では1週間の体重増加は500gを超えないよう注意してください。
妊娠後期になると、お腹が大きくなり、身体への負担も大きくなります。布団の上げ下ろしやお風呂掃除など、今まで日常的にやっていたことも負担になってしまうのです。大変だと感じることはパートナーや他の家族にお願いするようにしましょう。布団の上げ下ろしをやめてベッドを買う、お風呂掃除はこすらず落とせる洗剤を使うなど、やり方や使うものを変えて負担を減らすことも出来ます。
重いものを持つことも避けた方が◎。重いものを持つと腹圧がかかりますが、特に切迫早産や切迫流産のリスクがある場合は早産の危険性が高まることがあります。また妊娠後期になると出産に備えて靭帯や関節がゆるんでおり、それを支えるために筋肉がはっている状態になっています。その状態で重いものを持ってしまうと、筋肉への負担が大きく、腰痛や筋肉痛になってしまうことがあるのです。
出産前に旅行や買い物に行っておきたいと思うこともありますが、身体への負担が大きくなります。特に長時間の運転は避けて、無理をせずゆっくりと過ごすようにしましょう。
妊娠後期は出産が近づき、済ませておいた方がいいことも様々あります。その中でも特にやっておいて欲しいことが、入院準備と出産準備です。赤ちゃんが生まれてしまうと買い物に出ることは難しくなります。出産準備品は何か必要かをチェックし、買いそろえておきましょう。
入院準備品は買いそろえるだけでなく、カバンに入れていつでも持ち出せるように準備しておきます。赤ちゃんの肌着やおしり拭きなど必要な物は、産院によっては備えられている場合もありますから、自分が入院する産院の持ち物リストを確認して、何を持って行けばいいのかチェックしておきましょう。
またコロナ禍により、今までとは違うアイテムが必要になることもあります。面会が制限され、赤ちゃんの顔を家にいる家族に見せるためにスマートフォンに付ける三脚や、充電しながらスマホが使えるよう延長コードが便利だったという声もあります。産院での過ごし方も考えて持ち物を準備しておくことがおすすめです。
自宅に戻ってから使う出産準備品は、わかりやすい場所に整理しておきます。自分だけでなく、他の家族もわかるようにしておくと◎。使うかどうかわからず購入を迷う時は、実際の商品を店舗で確認しておき、買うならコレ!というものの目星をつけておくと、いざ欲しいと思ったときスムーズにネットで購入できます。
自宅のインテリアを赤ちゃん仕様に整えておくことは出産後でもできますが、育児に時間がとられて、なかなかじっくり時間を取ることができない場合もあります。妊娠後期の体調のよいときに、家の中を赤ちゃん仕様にしておくとよいでしょう。
特に大人だけで生活していると、低い位置にガラスなどの壊れやすいものが飾ってあったり 、誤飲しやすいものを置いてしまっていることがあります。高さ1メートルくらいは赤ちゃんの手が届きますから、誤飲しやすいものや壊れやすいものはそれ以上の高さにしまうようにしておきましょう。
赤ちゃんのものが増えますから、収納を整理してスペースを作っておくのも大切です。パートナーや他の家族に頼めるよう、わかりやすいところに収納場所を確保し、ラベリングしておくと育児や家事の協力がスムーズになります。
家具の角がとがっている場合はクッションなどを取り付けておくと安心です。赤ちゃんがハイハイするようになってから慌てて取り付けるよりも、出産前の時間がある時に好みのものを探しておくと余裕が持てます。
ただし重いものを移動するのはお腹に負担がかかりますから避け、パートナーや他の家族 に頼んでください。
出産後は赤ちゃんのお世話に追われ、なかなか美容院に行くことができなくなります。体調が良ければ出産前に美容院に行き、自分で扱いやすい髪型にしておくと便利です。
ただし、妊娠中は皮膚がデリケートになっており、カラーリングやパーマの薬剤でかぶれるおそれがあります。またお腹が大きくなると長時間座っていることも身体に負担になりますから、カラーやパーマはやめてカットのみにしておきましょう。
美容院のシャンプーにも注意が必要です。妊娠後期でお腹が大きい状態だと、仰向けが苦しくシャンプー台で髪を洗ってもらうのが辛い場合もあります。あらかじめ家で髪を洗ってから美容院に行くなどして対策するとよいでしょう。その場合、予約時に妊娠中であることを伝えて、シャンプーのないメニューを相談しておくと安心です。
実家に里帰りして赤ちゃんを出産する場合は、なるべく余裕をもって移動するようにしましょう。医師によって推奨している時期は異なりますが、妊娠32週から35週まで、妊娠9か月ごろがおすすめされている移動時期です。臨月に入ってしまうと、いつ赤ちゃんが生まれてもおかしくはない状態ですから、長時間の移動中に陣痛が起きてしまう可能性があります。長時間の移動は、飛行機や車など移動手段に関わらず妊婦さんの体に負担がかかりますから、早めの時期に余裕を持って移動するとよいでしょう。
また、コロナ禍により、里帰り後は、自宅待機をしてからでないと産院の検診が受けられない場合もあります。流行地から里帰りした場合、帰省後2週間以上経過してから受診となるのです。出産する産院でもしっかりと妊婦検診が受けられるよう、早めに里帰りしておくと安心できます。
出産後は、赤ちゃんに掛かり切りになり、なかなかパートナーや上のお子さんとの時間もとれなくなります。赤ちゃんが生まれてくる前に、夫婦二人だけの時間や、上のお子さんとの時間を楽しんでおきましょう。
食事をゆっくりと楽しんだり、公園で子どもと遊んだりするなどしながら、これからのことを話しておくのもおすすめです。
妊娠後期に避けた方がいいことと、やっておいた方がいいことをご紹介しました。
出産が間近になる妊娠後期は、身体の変化も大きく、妊婦さんにかかる負担も大きくなる時期です。
妊娠後期に一番大切なのは、無理をせず、体調を大切にするということ。
元気な赤ちゃんに会うためにも、まずは身体の負担を考え、無理をしない範囲で動くようにしましょう。
また、コロナ禍により外出を控える妊婦さんも多いかと思います。立ち合い出産も難しい場合が多く、より不安を感じてしまうことも。そんな時は家でゆっくりとリラックスできる時間を取りましょう。好きなドラマを見たり、読書をしたり、音楽を聴くなどして安心して過ごせる時間を取ることで、不安が和らぎます。自宅で過ごす時間が多くなると運動不足になりやすくなりますから、軽めのストレッチやマタニティヨガを行うのもおすすめです。
妊娠後期の時間を大切にして、元気な赤ちゃんに会えるよう、素敵なマタニティライフをお過ごしください。