赤ちゃんと犬の共同生活、本当に大丈夫?

赤ちゃんと犬が一緒に生活するのは大丈夫なのでしょうか?実は、赤ちゃんと犬が共同生活することで得られるメリットがあります。そこで今回は、赤ちゃんと犬の共同生活で得られるメリットや必要な環境についてご紹介します。赤ちゃんを迎える前と迎えてからのポイントもご紹介するので、最後まで読んでみてください。

赤ちゃんと犬が一緒に生活するメリット

赤ちゃんと犬が一緒に生活すればどんなメリットが得られるのでしょうか?

思いやる気持ちを育む

赤ちゃんと犬が一緒に生活すれば自然と犬と赤ちゃんが遊べる環境です。赤ちゃんにとってかけがえのない友達や兄弟となり、思いやりの気持ちを育んでくれることでしょう。

豊かな感情が育まれる

赤ちゃんと犬が一緒に生活することで、一緒に遊び・笑い・時には泣きというように豊かな感情が生まれます。赤ちゃんと親だけの環境ではなかなか味わえない感情が、犬と生活をともにすることで経験できます。

命の尊さを学ぶ

犬は命そのものです。赤ちゃんは犬という命と一緒に生活し、ごくごく自然に命の尊さ・大切さ・かけがえのなさに気が付くことができます。そうした経験ができるのは、赤ちゃんの頃から犬のいる生活をしていなければ学べません。

赤ちゃんの免疫力強化

赤ちゃんと犬が一緒に生活すればアレルギーになる確率が低くなるという専門家もいます。2008年に行われたアメリカの研究によると、生後1年以内にペットを含む動物と接触することで、免疫系の発達が促されるという発表がなされています。免疫系の発達が促されることで、アトピー性皮膚炎の発症予防になるという見方も。ほかにも、2019年にイギリスで発表された、生後3ヵ月の時点で犬と一緒に暮らしている家庭では、乳幼児の食物アレルギーの発症も低いという研究があります。ただ、ペットにアレルギーがあれば、喘息(ぜんそく)・アレルギー性鼻炎・湿疹(しっしん)のある食物アレルギーをもっている場合が多いことや、動物を飼育すれば既存のアレルギーを悪化させるという研究報告もあります。

引用:日本皮膚科学会:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2018, CQ26 ペットの飼育,動物との接触を回避する指導はアトピー性皮膚炎の発症予防や症状改善に有用か

妊娠中に新たに犬は飼うのはおすすめしない

赤ちゃんと犬が一緒に生活するメリットは大いにあります。だからといって妊娠がわかってから犬を飼うのはおすすめできません。犬と赤ちゃんの共同生活を成功させるためには何より犬と飼い主との信頼関係が重要です。10ヵ月という短い期間でその信頼関係を構築するのは不可能です。ある程度、犬との信頼関係を築いた上で赤ちゃんを迎える必要があります。

私の知人に犬を飼い始めて1ヵ月してから奥さんの妊娠がわかったという方がいます。その方によると、赤ちゃんが生まれてからのお散歩やお世話などかなり大変だったそうです。できれば、犬との信頼関係をしっかり育んでから赤ちゃんを迎えるのがベストでしょう。

 

赤ちゃんと犬との共同生活で気をつけるべきポイント

それでは、赤ちゃんと犬が共同生活する上において気をつけるポイントをご紹介します。

犬との信頼関係が築けていること

赤ちゃんと犬が一緒に生活するために、犬のしつけをしておく必要があります。しつけをするには何より犬と飼い主との信頼関係がないと成立しません。また、赤ちゃんがやってくることは犬にとって大きな変化です。多少なりともストレスになる場合もあるので、犬のストレスにすぐに対処してあげられるしっかりとした信頼関係を構築しておきましょう。

最低限の衛生管理と掃除は必要

掃除がさっとできるように掃除道具が楽に取り出せる環境にしておくと後々掃除が簡単です。あまり神経質になる必要はありませんが、最低限の衛生管理ができる環境にしておきましょう。

犬にとってストレスになっていないか配慮する

赤ちゃんを迎えると犬にとって嬉しい反面ストレスになることもあります。犬にストレスがたまると、赤ちゃんに嫉妬してしまう傾向があるといわれています。犬がストレスを感じているようであれば、犬との時間を作ってあげたり一緒に遊んであげたりしてストレスを発散できるようにしましょう。そのためにも、犬がストレスを抱えているサインを見逃さないことが大切です。

犬がストレスを抱えているサイン

  • トイレの失敗
  • 家具や靴をかじる
  • 無駄に吠えるなど

犬の健康状態が良好であること

犬の予防接種・ワクチンは必ず打っておきましょう。

  • 心臓病、がんの治療
  • 外部の寄生虫の予防
  • 内部の寄生虫の予防
  • 被毛のお手入れ

についても定期的なケアが必要です。

赤ちゃんと犬が安全な環境にする

赤ちゃんが安全に生活できる環境は、犬にとっても安全な環境です。

  • タバコ
  • ボタン電池

といった口に簡単に入ってしまう小さいものは大変危険です。常にそういった物がないか確認できる環境を整えておきましょう。

赤ちゃんと犬から目を離さない

赤ちゃんと犬の痛ましい事故は、飼い主が目を離した瞬間に起こっています。赤ちゃんと犬が一緒に過ごしている時間は、必ず一緒にいて目を離さないようにしましょう。たとえば、赤ちゃんが好奇心で犬のしっぽや耳を引っ張ることがあります。そうしたときに犬がびっくりして、かんでしまうこともあるでしょう。犬と赤ちゃんが一緒にいる空間には必ず飼い主がいるという環境にしてください。もしも短時間でも離れなければいけないのであれば、犬はケージやサークル、赤ちゃんはベビーベッドというように分かれて過ごせるようにしておきましょう。

 

赤ちゃんと犬が一緒に過ごす環境

それでは、具体的にどんな環境が赤ちゃんと犬が一緒に過ごすのによい環境なのかご説明していきます。

赤ちゃんにはベビーベッド

赤ちゃんにはベビーベッドを用意してあげましょう。犬には、ここには入らないということを何度もしつけておきます。少しの間赤ちゃんから目を離す時間ができたら、赤ちゃんはベビーベッドで寝かせてあげましょう。

犬にはサークルやゲージ

赤ちゃんを迎える前から犬にはサークルやゲージに慣れさせておきましょう。赤ちゃんが無邪気に犬と遊ぶ姿は見ていてかわいいもの。しかし、犬にとっては脅威に感じる場合もあります。犬が「ここは自分にとって安全な場所だ」と思えるような基地を作ってあげましょう。

すぐに掃除ができる環境

おうちの中はできるだけ、すっきりと物のない状態をキープしておきましょう。そして、汚れたらすぐに掃除ができるように掃除道具が取り出しやすい場所にあるのも有効です。

 

赤ちゃんを迎える前にしておきたいポイント

それでは、赤ちゃんを迎えるにあたって準備しておいた方がいいことをご説明していきます。

犬のしつけ

犬のしつけとして、

  • ソファやベッドの上に乗らない
  • 顔をなめない
  • 指示をきく

ができるようにしておきましょう。

赤ちゃんと犬が濃厚な接触をすると、犬の75%が口腔内にもっているとされる「パスツレラ菌」が赤ちゃんに感染してしまう危険性があります。これにより、肺炎やひどい炎症を引き起こす場合があります。犬が赤ちゃんの顔をなめないように普段からしつけておきましょう。

信頼関係の構築

何度もいいますが、赤ちゃんと犬が安全に快適に生活するためには飼い主との信頼関係がなくては成り立ちません。赤ちゃんを迎える前にこの信頼関係ができているかいないかで、その後の生活はまったく違ったものになるでしょう。

産前産後の犬の預け場所の確認

赤ちゃんを出産する際に犬をどこに預けるのかという確認をしておきましょう。ペットホテルに預けるのであれば、いつも利用している慣れたところが安心です。

赤ちゃんがくることを伝えておく

言葉が話せなくても、犬は赤ちゃんがやってくることに気が付いています。これからどんな生活になるのか・赤ちゃんはどんな存在なのか・どういう振る舞いをしてほしいのか犬に伝えておきましょう。

おすすめの方法として、

  • 赤ちゃんの動画を見せる
  • 赤ちゃんの泣き声を聞かせるなど

こういったことをしておけば、犬が赤ちゃんとの生活を迎える心の準備に役立ちます。

 

赤ちゃんを迎えてからのポイント

赤ちゃんが生まれてから、どんなことに注意すればいいのかご説明します。

犬と赤ちゃん2人きりは避ける

赤ちゃんと犬が2人きりで過ごせるようになるのは、子供が小学3~4年生になるまでは控える方がいいでしょう。痛ましい事故は犬と赤ちゃんが2人きりになったタイミングで起きています。赤ちゃんと犬が2人きりになるシチュエーションは絶対に避けるようにしてください。

顔をなめあうのはNG

顔をなめあうのはいけないことだとしつけておきましょう。赤ちゃんを寝かせる場合も、犬が近づけない場所に寝かせてあげます。日頃から飼い主の顔をなめさせるのもやめておきましょう。

犬の健康管理の徹底

犬の健康管理は徹底させるようにしてください。予防接種や定期的なケアを行うことで、赤ちゃんへ感染リスクを抑えられます。

赤ちゃんの肌のケア

赤ちゃんの肌はとても薄く、トラブルを起こしやすい状態です。こまめな保湿は、アレルギー予防になるとされています。湿疹(しっしん)などの炎症があると、そこからアレルギーの原因物質が入り込んでアレルギーが発症してしまうこともあります。赤ちゃんの肌は常に清潔に、保湿して、気になる肌トラブルはすぐに専門家に診てもらうようにしてください。

 

赤ちゃんと犬の共同生活での事故

目を背けたくなりますが、赤ちゃんと犬が一緒に生活することで痛ましい事故が起きています。気を引き締める意味もこめて、頭に入れておきましょう。

大型犬にかまれて乳児死亡

富山市と八王子市で乳幼児の死亡事件が起きています。犬の特性や行動を理解した上で赤ちゃんと犬が暮らすことを考えていきたいものです。

引用:ヤフーニュース

犬のストレスからかんでしまった

犬にとって赤ちゃんという存在は、大きなストレスになる場合もあります。赤ちゃんは、ただ好奇心で触ったとしても犬にとっては「たたかれる」と脅威と感じているかもしれません。そういったストレスに飼い主が気付いてあげて適切にケアする必要があります。

狩猟スイッチが入ってしまった

どんなにおとなしい犬でも狩猟本能が備わっています。犬が自分でコントロールすることは難しく、赤ちゃんの動きによって狩猟スイッチが入ってしまう場合もあります。また、赤ちゃんの目線の位置も犬にとっては威嚇されている対象になる場合も。やはり飼い主が常に赤ちゃんと犬の間に入って、目を離さないことが重要です。

悲しい事故を防ぐために知っておきたい犬のストレス表現

犬へのストレスが事故の原因になる場合があります。もしも、犬がこういう行動を見せているならそれはストレスサインであることも。すぐにケアを始めましょう。

  • 耳を伏せている
  • しっぽが下がっている
  • 白目が目の端に見える
  • 呼吸が荒い
  • 舌なめずりを何度もする
  • あくびをする
  • 目を合わせない
  • そっぽを向く
  • 口元が硬く結ばれている

飼い主はこういった行動がないか常にチェックしておきましょう。そして、どんなに短時間であっても、赤ちゃんと犬を2人きりにさせてはいけません。

犬のストレスを感じたら試してほしいこと

犬がストレスを感じていると思ったら、試してほしいことをご紹介します。

  • 犬と赤ちゃんとの距離を保つ
  • 犬との付き合い方において飼い主は常に赤ちゃんのお手本となる
  • スキンシップ
  • 散歩をする

犬は飼い主の心の変化をすぐにキャッチします。飼い主が慣れない育児でイライラしていると、犬が不安になってしまう場合もあります。心に余裕が持てないなら、家族に相談したり、ペットシッターさんにお願いしたりして飼い主1人で抱え込まないようにしましょう。

赤ちゃんにも犬との接し方を伝える

赤ちゃんは、飼い主である親の行動を見て犬との接し方を学びます。親は常に赤ちゃんのお手本であるという意識をもって犬と接するように心がけましょう。また、赤ちゃんには犬と生活するために、はたかない・上に乗らない・えさをとらない・しっぽを引っ張らないといった、やってはいけないことを年齢に応じて伝えていきましょう。

 

まとめ

赤ちゃんと犬との共同生活における注意点をご紹介しました。赤ちゃんと犬が一緒に生活することはかけがえのない経験となるでしょう。その経験がより素晴らしいものになるために、飼い主は赤ちゃんと犬が快適に生活できる環境を整える必要があります。

 


ライター名:大河内麻衣

子供を3人育てています。私の子育ては夜泣きや人見知り、トイレトレーニング、母乳育児、指吸い、産後クライシスといった子育てお悩み系は全て制覇しています(笑)今は、全員小学生になり少しゆとりがもてるようになりました。振り返ってみると本当にささいなことばかり。でも、そのときは必死でした。私の経験が少しでも役に立ってくれればという想いでつづります。


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