【保育士監修】サイレントベビーって何?特徴や原因を正しく知って気にしすぎない子育てを

「サイレントベビー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。一般的に「サイレントベビー」とは、あまり泣かない・笑わない、表情や反応が乏しい赤ちゃんのことを呼びます。 いったいなぜ赤ちゃんの反応が乏しくなるのでしょうか。泣かない・笑わない赤ちゃんに理由や問題があるのでしょうか。 この記事では「サイレントベビー」となってしまう原因を解き明かしながら、赤ちゃんの育児についてさまざまな視点をご紹介します。 「うちの子、あまり泣かないな……」「あまり笑わないかも?」と、悩んでいるパパやママは、参考にしてみてください。

「サイレントベビー」ってどんな赤ちゃんのこと?

「サイレントベビー」とは、赤ちゃんらしく泣いたり笑ったりせず、表情が乏しく、語りかけにも反応が薄いと感じる赤ちゃんのことを指します。

しかし「サイレントベビー」とはどういう状態の赤ちゃんのことを指すのか、具体的な定義は特になく、発達の遅れや育児の仕方が問題なのではないかと感じるパパやママも少なくありません。

実は医学的な根拠はない

「サイレントベビー」という名称は、ある小児科医の著書に書かれた言葉の一つであり、医学的な根拠や診断名はなく、いわゆる「俗語」です。

そのため、明確な根拠や症状、対処方法などはありません。また、赤ちゃんや小さな子ども特有の病気や障害でもありません。

語りかけたり抱っこをしたりすると、笑顔になったり声を上げて笑ったりする。また、おむつが濡れたり寂しくなったりした時などは泣くというのが、赤ちゃんのイメージでしょう。

そういった様子がないと不安になるかもしれません。

では、なぜ赤ちゃんの反応が薄かったり、泣かなくなったりするのでしょうか。

なぜ「サイレントベビー」になるの?

時代が進むにつれて、少しずつ育児の方法や赤ちゃんへの保護者の対応が変わってくるのは自然なことです。

いつかの時代では、泣くとすぐに駆け付け赤ちゃんを抱くことで「抱き癖がつく」「泣いても少し放っておく方がいい」と言われたこともありました。

今の時代はまた違ってきており「赤ちゃんが泣いた時に母親がすぐ対応をしないのはよくない」といわれるようになってきました。「スマホばかり見ていて赤ちゃんを見ていない・話しかけないのはダメ」「赤ちゃんがぐずったり泣いたりしてもすぐに関わってもらえないと、あきらめてしまう子に育つ」など、さまざまな保護者の姿が「問題である」として、取り沙汰されています。

しかし、時代によって移り変わる社会の目は、本当に正しいことなのでしょうか。

ママやパパがすぐに対応しないからではありません

赤ちゃんが泣きだした時、すぐにそばに駆け付けて抱っこしたりあやしたりすることができない場合もあるでしょう。

家事をしていたり、赤ちゃんの兄弟姉妹に手を取られていたり、パパやママがお手洗いに行っていたり、育児に心が疲れてしまっていたりと、日常生活の中ではいろいろな状況があるはずです。

しかし、すぐに赤ちゃんにかまってあげられないからといって「サイレントベビー」になることはありません。医学的な根拠は全くないので、心配しないでください。

これは、赤ちゃんが泣いたらすぐに駆け付けて抱っこをすることで「抱き癖」が付かないのと同じ。赤ちゃんにべったりと寄り添わなければ「サイレントベビー」になるかというと、そうではないのです。

相手の表情や行動から気持ちを読み取るのは3歳以降から

「赤ちゃんがぐずったり泣いたりしてもすぐに関わってもらえないと、あきらめてしまう子に育つ」という人もいます。

しかし、実際に相手の表情や行動からその人の気持ちを読み取ったり、気持ちを汲んで自分が行動したりするようになるのは、早くても3歳以降といわれています。

厚生労働省の保育所保育指針にも、自分の思うことや感じることを伝えるだけの姿から、相手の気持ちに気づき、気持ちや言葉のやりとりを通じて思いやりや相手の気持ちを汲むようになるのはとの記載があります。

0歳児の赤ちゃんには、まだ相手の気持ちを汲んだり空気を読んだりする感情は育っていません。

出典:保育所保育指針/厚生労働省

赤ちゃんが泣いても焦らなくてOK!原因と対処法をご紹介

赤ちゃんが泣いても、すぐにあやしたり抱っこしたりしなくて大丈夫。赤ちゃんは自分の状況や気持ちを、まだ「泣く」ことでしか伝えられないのです。

すぐに抱っこできなければ、少し離れたところから声をかけたり名前を呼んだりするだけでも大丈夫ですよ。もちろんすぐに抱っこしてあげるのもOK!

少しずつ赤ちゃんとの生活に慣れてくると、なぜ泣いているのか、その対処法もわかってくるものなのです。

それでも、泣き止まない時、迷ってしまう時もあるでしょう。そこで、赤ちゃんの泣く原因と対処方法をご紹介していきます。

①「おむつ・空腹・眠い・暑い・発熱」生理的な理由の対処法

赤ちゃんが泣く理由の中で一番多いのは、生理的な不快がある時でしょう。

おむつが汚れていたり、おなかがすいていたり、寝ぐずりしていたりする時は、パパやママもなんとなく想像がつき、対応をしてあげられるのではないでしょうか。

しかし意外と気づきにくいのが、「暑い・寒い・熱がある・痛い」などの理由で泣いている時です。

赤ちゃんは意外と暑がり。着せすぎてはいないか、部屋が暑くないか確認してみましょう。

また、発熱があり体調がよくない時、おむつかぶれでお尻が痛い時も、はじめのうちはなかなか気づかない場合があります。

泣き止まない時は、これらのことにも注意してみましょう。

②「退屈・甘えたい・遊んでほしい」情緒的な理由の対処法

首や腰が座っていない時期や、寝返りがまだできない赤ちゃんは、基本的に寝たまま。そのため、視界が変わらず退屈から泣くこともあります。

また、パパやママの姿が見えなくなった時、抱っこをしてほしい時、遊んでほしい・声をかけてほしい時も泣くことがあります。

このような情緒的な理由で泣く場合は、しっかりと要求に応えてあげましょう。そうすることによって赤ちゃんとの信頼関係が強くなり、赤ちゃんは愛されていると感じて情緒が安定します。また、パパやママも赤ちゃんと関わることでさらに赤ちゃんへの愛情を感じ、子育てに自信が付いたり楽しくなったりします。

もちろん、常に赤ちゃんと遊んであげなくてもかまいません。疲れている時は、声をかけるだけでも大丈夫ですよ。

泣いてもすぐに対応しなくても大丈夫!

赤ちゃんが泣く理由については、生理的な理由と情緒的な理由があるということをお話ししました。家事や他の子どもの育児で手が離せない時は、「どうしたの?」「ママここにいるよ」「ちょっと待っていてね」などの声かけをしてあげるだけでもいいのです。

すぐに駆け付け、あやさなくても大丈夫。少し放っておいただけで「サイレントベビー」になるような心配はありません。

しかし、赤ちゃんにとってパパやママは一番の大好きな存在です。赤ちゃんとの関わりは、信頼関係を強くし、愛情を注がれていることを感じ心も体も安定することでしょう。たっぷり愛されたと感じることで、赤ちゃんは脳に刺激が伝わりどんどん成長していくのです。焦り過ぎず、でもこの時期にしかできない関わり方を楽しみながら、親子ともに笑顔で過ごしていきたいですね。

心配な様子がある時は、小児科医や健診の時に相談

「サイレントベビー」でなくても、心配な様子はあるかと思います。たとえば、このような場合です。

・いつも機嫌が悪く泣き続けている

・いくらあやしても泣き止まない

・声をかけても反応が感じられない

・視線が合わない

・抱いても体をそらして嫌がる

赤ちゃんの様子で気になる姿がある場合は、お医者さんや保健師さんに相談してみましょう。どんな小さなことでも大丈夫ですよ。パパやママの不安な気持ちが解消できれば、子育ても安心し楽しくできるはず。

自分で調べたり、周囲のママ友やSNSに相談したりするのもいいのですが、余計に不安になってしまうこともあります。お医者さんや保健師さんなどプロの目でしっかり赤ちゃんを見てもらった方が、不安が消えるのではないでしょうか。

まとめ

「サイレントベビー」という言葉は俗語であり、育児の仕方や赤ちゃんの気持ちの問題ではないということをお話ししました。

赤ちゃんが泣いた時、すぐに駆け付けてあやさなければ「サイレントベビー」になるということはありません。声をかけるだけでもいいですし、少しくらい泣かせておいても大丈夫です。

しかし、パパやママのことが赤ちゃんは大好き!ぜひ抱っこや声かけ、あやす時間も大切にし、親子双方が愛情を持ち笑顔の育児ができるといいですね。

心配なことはお医者さんや保健師さんに遠慮なく聞いてみましょう。

 

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・ライター名:炭本まみ
・プロフィール:幼稚園教諭・保育士として10年勤務後、シングルマザーとして二人の子どもを育てながら保育士や保護者向けの記事を執筆するフリーライター。保育士経験と子育て経験から、赤ちゃんから中学生・高校生の子育ての悩みを抱える保護者に寄り添う記事を書いています。
また、長男が発達障害・自閉症であり、「障害者コミュニケーション指導者」資格を取得し、障害児の子育てについても記事を執筆しています。