2022年03月20日 00:00
離乳食を始めておかゆに慣れると、野菜を足して食べられる食材を増やしていきますよね。離乳食初期から食べられる野菜の一つがほうれん草です。さっと火が通るほうれん草は調理がしやすく、離乳食にも大活躍。今回は、ほうれん草の調理方法、離乳食時期に合わせた食べやすい大きさやレシピをご紹介します。
まずは、ほうれん草から摂取できる栄養素を確認していきましょう。ほうれん草は緑黄色野菜に分類され、βカロテンを豊富に含む野菜です。また、野菜の中では鉄も多く含まれています。
しかし、ほうれん草に多く含まれる鉄は「非ヘム鉄」であり、レバーなどに多く含まれる「ヘム鉄」と比べると吸収率が低いです。非ヘム鉄の吸収率をアップするには、野菜や果物などのビタミンCを含む食品と組み合わせます。
離乳食に使う野菜は、できる限り鮮度が良いものを選ぶことがおすすめです。収穫されてから時間が経つにつれてほうれん草に含まれる栄養素の一部は減少していくため、鮮度の良いものを選び、できるだけ早く使い切りましょう。
鮮度が良いほうれん草は、葉先までピンと張っています。また、葉が厚く、根元に近い部分から葉が密集しているものが良品です。保存する場合は冷蔵庫の野菜室に、根元を下にして立てて置きましょう。
ほうれん草は一年中出回っている野菜ですが、本来の旬は冬です。旬の時期に収穫されたほうれん草のほうが、そのほかの時期に収穫されたものよりも栄養価が高いことが分かっています。
大人が食べるほうれん草は、一般的にさっとゆでて歯ざわりを残しますよね。しかし、離乳食では、ほうれん草が柔らかくなるまでゆでることが基本です。また、ほうれん草にはアクがあり、ゆでることでアクが抜けて食べやすくなります。離乳食用ほうれん草の基本のゆで方を見ていきましょう。
離乳食初期の5~6カ月ごろは、飲み込む練習をしていく時期です。柔らかいほうれん草の葉先のみを使い、口に入ったらそのまま飲み込めるようにペースト状にします。ほうれん草の繊維をすりつぶしてなめらかにしたものを与えますが、初めて食べさせる場合は、裏ごしをするとさらに食べやすくなります。
離乳食初期に合わせたほうれん草ペーストの作り方をご紹介します。ペーストのとろみの目安は、プレーンヨーグルトと同じくらいです。作りやすい分量でのご紹介となるため、子どもが食べる量に合わせて小分けし、冷凍保存してみてはいかがでしょうか。また、葉先のみを使うため、残ったほうれん草の茎は大人が食べるお浸しや味噌汁の具などに活用することができます。
<材料(作りやすい分量)>
・ゆでたほうれん草:1~3株
・湯冷まし、またはだし汁:適量
<作り方>
子どもによっては、ほうれん草の風味が苦手な可能性もありますよね。ほうれん草に甘いりんごを加えると食べやすくなり、子どもが食べ進める可能性があります。使用するりんごは少量のため、ベビーフードを活用しても良いでしょう。
<材料(1回量)>
・離乳食初期の基本のほうれん草ペースト:10g
・りんご:5g
<作り方>
※裏ごしのほうれん草を与えている時期は、りんごも裏ごしします。
離乳食中期の7~8カ月ごろは、飲み込むことに慣れてきます。舌が上下にも動くようになり、そのまま飲み込めないものは舌でつぶして食べる時期です。食材も少しずつ形状を変化させていく時期ではありますが、離乳食初期と同様に柔らかいほうれん草の葉先のみを使います。
離乳食中期に合わせた、刻みほうれん草の作り方をご紹介します。形状の目安は、ほうれん草を細かく刻み、少し粒が残るようなジャム状です。湯冷ましやだし汁を加え、子どもの食べやすい固さにします。
<材料(作りやすい分量)>
・ゆでたほうれん草:1~3株
・湯冷まし、またはだし汁:適量
<作り方>
離乳食中期は、豆腐や白身魚などタンパク質を多く含む食材を使えるようになる時期です。牛乳も飲料としては1歳を過ぎてからですが、調理用としては使用できます。刻みほうれん草は、食パンでとろみを付けたクリーム煮にすると食べやすくなりますよ。牛乳をまだ与えていない場合は、育児用ミルクを湯で溶かしたもので代用可能です。
<材料(1回分)>
・離乳食中期の基本の刻みほうれん草:15g
・牛乳:大さじ1
・食パン:5g
<作り方>
離乳食後期の9~11カ月ごろになると、母乳や育児用ミルクよりも離乳食から栄養を摂取する割合が増える時期です。口まわりの筋肉が発達して、舌でつぶせない食材は歯ぐきでつぶせるようになります。離乳食後期でほうれん草は、葉先だけでなく茎も使用可能です。
離乳食後期に合わせた、刻みほうれん草の作り方をご紹介します。形状は離乳食中期よりも少し大きくした粗みじん切りが目安です。柔らかくゆでたほうれん草を使用し、縦と横に刻みましょう。刻みほうれん草をそのまま食べさせる以外は、湯冷ましやだし汁は加えず、おかゆと混ぜるほか、ほかの食材と組み合わせると食べやすいです。
<材料(作りやすい分量)>
・ゆでたほうれん草:3株
<作り方>
離乳食後期には1日3回食になり、食事の準備にも時間が掛かりますよね。具を一緒に煮込んだうどんなら、何品も用意する必要がないため調理も手軽です。うどんは柔らかく煮ると食べやすくなりますよ。
<材料(1回分)>
・ゆでうどん:1/4玉分(50g)
・離乳食後期の基本の刻みほうれん草:20g
・卵:1/2個分
・だし汁:150ml
<作り方>
離乳食完了期の1歳~1歳6カ月ごろは食べられる食材が増え、味付けをする前の大人の食事からの取り分けもしやすくなります。口の動きは大人と変わらなくなりますが、噛む力はまだ弱い時期です。引き続き、ほうれん草はやわらかくゆでることを基本にします。離乳食後期と同様に、ほうれん草の茎と葉を使用可能です。
離乳食完了期に合わせた、刻みほうれん草の作り方をご紹介します。離乳食後期と比べてサイズをさらに大きくしましょう。大きなほうれん草が残っていると、子どもは飲み込みにくくなるため、縦と横にしっかりと刻みます。
<材料(作りやすい分量)>
・ゆでたほうれん草:3株
<作り方>
離乳食完了期には、手でつかんで口に運ぶ「手づかみ食べ」を盛んに行うようになります。スプーンや箸など道具を使って食べる準備期間にもなるため、手づかみ食べができるおかずを用意することも大切です。卵焼きなら、子どもが食べやすい柔らかさで、なおかつ手づかみ食べもしやすいですよ。
<材料(1回分)>
・離乳食完了期の基本の刻みほうれん草:15g
・卵:1/2個分
・サラダ油:適量
<作り方>
子どものお世話をしながら、離乳食をその都度作るのは難しい日もあると思います。基本のほうれん草ペーストや、刻みほうれん草をまとめて作り、小分けにして冷凍すると調理時間を時短できますよ。自家製の冷凍ほうれん草を作るときは、清潔な保存容器を使用し、すばやく粗熱を取って冷凍します。常温に置く時間が長くなると、食中毒のリスクが高くなるためです。
小分けする方法のほかに、刻む前のやわらかくゆでたほうれん草を1株ずつラップで包み、使うときに解凍してから離乳食に使用する方法もあります。調理する場合は、必ず火をしっかりと通しましょう。
また、市販のベビーフードには、裏ごしされたほうれん草や、パウダー状になったほうれん草などもあります。離乳食時期に合わせ、市販のベビーフードを活用するのも選択肢の一つです。
離乳食は家族と同じ食事を食べられるようになるまでの準備期間です。ほうれん草を初めて与えるときには、ほかの食品と同様にスプーン1杯から始め、子どもの体調に問題がなければ少しずつ量を増やしていきます。
離乳食時期の子どもは消化が未熟なため、ほうれん草がそのまま便として出てくる可能性もあります。ご紹介した離乳食時期に合わせた形状はあくまでも目安です。子どもの食べ進め方や消化の状態は個人差があるため、子どもの様子を見ながら、ほうれん草の形状を調整していきましょう。
また、離乳食は食べることを楽しむ時期でもあります。ほうれん草を食べやすく工夫をしても子どもが嫌がるようなら無理には食べさせず、ほうれん草と同じような栄養素を含む、トマトやニンジンなどの緑黄色野菜で栄養素を補うのも良いでしょう。
ほうれん草は離乳食初期から使える野菜です。子どもの様子に合わせて、形状や大きさを変えていきます。柔らかく煮ると食べやすくなり、おかゆに混ぜるなど、さまざまな食材との組み合わせも可能です。冷凍ストックや市販のベビーフードも上手く活用しながら、ほうれん草を離乳食に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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