産褥期とは?やるべきこと・やっちゃいけないこと

産褥期の過ごし方は、その後の生活に影響が及ぼす可能性がある時期です。妊娠前の身体へ、徐々に戻す期間でもあります。赤ちゃんのお世話もしつつ、自分の体調管理をし、徐々に家事などができるよう段階を踏んでいきます。産後の回復を順調に促すためには「やるべきこと」と「やっちゃいけないこと」があるのが現状です。やっちゃいけないことを行うと、産後の回復の遅延にもつながります。産褥期の概要と過ごし方、そして負担軽減のためのサービスなどについて、詳しくお話していきます。

■産褥期とは 

産褥期(さんじょくき)とは、出産後に妊娠前の体の状態に戻るまでの期間です。一般的な期間は、産後6~8週間かかります。この期間に、子宮の大きさが徐々に戻り、母乳が排出され、女性ホルモンのバランスが戻り始めます。

子宮の大きさを縮小するためには、子宮の内容物の排出が不可欠です。出産後、子宮内から「悪露(おろ)」が排出されます。子宮内の分泌物や胎膜などを血液とともに排出し、子宮の大きさを元通りにします。

母乳は産後、少しずつ乳腺が開通し、母乳が出るようになります。最初から母乳が排出されず、産後2週間ごろに排出量が増えます。

出産後は、ホルモンバランスが崩れやすく、体調が崩れやすいです。産褥期に無理をすると、精神的な不安定から子どもを可愛くないと感じることもあります。また、マタニティーブルーや産後うつも発症しやすい時期です。この時期、産後の肥立ちは後々にも影響が出るので注意が必要となります。

 

■産褥期にやるべきこと

産褥期は、とにかく無理をしないことが大切です。慣れない赤ちゃんのお世話とお産の影響もあり、とても疲れやすいです。そして、3時間おきの赤ちゃんへの授乳も必要となります。身体を休めるときは、安静にしましょう。産後の時期によって、できることなどが異なります。産後の時期による過ごし方や産後の回復を促す方法について、お話していきます。

 

産後の過ごし方

産後、どのような時期であり、そしてその時期に応じた過ごし方、できることなどについて、詳しくお話していきます。

 

・産後1~2週間

授乳やオムツ交換など、赤ちゃんの世話に専念をし、その他はゆっくりと休みましょう。昼夜問わず3時間おきの授乳です。授乳後、次の授乳までの間は、リラックスすることを推奨します。家事などは自分でせず、家族にお願いしましょう。

子宮内から悪露が排泄される時期です。1ヶ月健診で医師からの許可が出るまでは、シャワー浴に入りましょう。医師から許可が出た後、入浴可能となります。

お腹周りは冷えないよう、衣服や布団類で調整しましょう。

 

・産後3~4週間

無理のない程度に、身体を慣らしていく時期です。出産から3週間後が「床上げ」です。今までは、赤ちゃんのお世話中心の生活だったと思います。少しずつですが、料理や洗濯、掃除などの家事ができるようになります。ただし、長時間の立ち作業は、子宮への負担考え避けましょう。

 

・産後5~8週間

1ヶ月健診で母子ともに問題がない場合は、通常の生活を送ることが可能です。徐々に、妊娠前の生活に戻していきましょう。

 

産後の回復を促す方法

妊娠前の状態にまで回復する方法を5つ挙げました。詳しくお話していきます。

 

・授乳をしっかり与える

赤ちゃんがママのおっぱいを吸うと、子宮収縮を促す「オキシトシン」というホルモンが放出されます。このホルモンは、子宮を元の大きさに戻す働きがあります。そのため、ミルクを与えるよりも授乳のほうが、子宮の回復は早いです。ママのおっぱいを吸わせて、子宮の収縮を促しましょう。

 

・摂取したい栄養素

産後の回復を促すためにも、栄養バランスの摂れた食事摂取は大切です。産後に摂りたい主な栄養素は「葉酸・鉄分・ビタミンC・たんぱく質・カルシウム」です。これらについて、詳しく解説します。

 

葉酸は、ほうれん草・春菊・枝豆・納豆などに含まれます。酸素や栄養分を身体中に送る働きがあります。出産で失った血液を補充するのに、必要です。

鉄分は、レバー・プルーン・ひじき・あさりなどに含まれます。血液を作る働きがあるので、出産で失った母体に必要不可欠です。

ビタミンCは、主に野菜や果物に含まれます。免疫力の向上や鉄の吸収の補助、酵素の働きを助けるなどの作用があります。産後のストレスケアに必要な成分です。

たんぱく質は、肉・魚・大豆製品・卵に含まれます。主に筋肉に関係する成分です。産後の衰えている筋肉に役立ちます。

カルシウムは、牛乳・魚類・小松菜・モロヘイヤなどに含まれます。カルシウムは、骨や歯に関係します。母乳を与えていると、カルシウムが多く使われるので、摂取をしたほうが良いです。

赤ちゃんに授乳をより多く与えるためには、ママの水分摂取が必要となります。ママの水分が不足すると、母乳の排出量も減ります。授乳中は、こまめな水分摂取を心がけましょう。また、夏の暑い時期は水分摂取に対し、汗でも排出されます。夏場の水分は、多めに摂取しましょう。

 

・安静

授乳のため、長時間の睡眠確保が難しくなります。ゆっくり休めるときには、休むようにしましょう。赤ちゃんと一緒に、となりで休むのも良いですね。一時的な安静を繰り返すことで、疲労の軽減につながります。

 

・ストレスを溜めない

産後は、妊娠前のホルモンバランスに戻っていません。精神的に不安定になりやすいです。ストレスは、溜めないようにしましょう。特に初産婦の場合、パートナーへの理解が得られないことがあります。「だるくて疲れやすい」「3時間おきの授乳がつらい」「まとまった睡眠時間の確保ができない」など、自分が辛いことを具体的に伝えるようにしましょう。

 

・ひとりで悩みを抱え込まない

初めての育児は不安で、分からないことばかりです。まず「赤ちゃんは、何で泣いているのか?」から困ることが始まります。「授乳量は足りているのか?」「ミルクを足すべきなのか?」泣き止まないなど、不安な気持ちでいっぱいになるでしょう。そして、出産後のホルモンバランスの影響で、ナイーブになりやすいです。まずは、ひとりで悩みを抱え込まないことが大切です。お産をした医療機関に相談するのも、ひとつの方法です。自分の居住している区市町村の保健センターでも相談に応じることもあります。専門的な知識がある機関に相談をすることをおすすめします。

 

■産褥期にやっちゃいけないこと

産褥期は、妊娠前の身体に戻すための大事な時期です。産後の回復をするために、産褥期に禁止したほうが良いことについて、お話していきます。

 

筋力トレーニング・腹筋

産後のお腹を引っ込めたいと思うではないでしょうか?そのためには、腹筋トレーニングをしたいと思うでしょう。妊娠中から腹筋(腹直筋)の間が開いてしまう「腹直筋離開」という状態が起こっています。腹筋トレーニングを行うと腹圧が上がり、腹直筋離開の悪化が生じます。出産直後の腹筋トレーニングは避けましょう。腹部のトレーニングを希望する場合、自然分娩と帝王切開に分けてお話していきます。

 

・自然分娩

妊娠や分娩で衰えた腹筋や骨盤底筋群が元に戻ることを目的とした「産褥体操」をおすすめします。産後から開始できる体操で、産後から期間の経過とともに内容が変化します。1ヶ月健診で問題がない場合は、腹筋トレーニングの開始が可能です。

 

・帝王切開

手術による傷が完治してから運動が可能となります。1ヶ月健診で問題がない場合、軽めの運動から開始していきます。

 

食事制限

産後は、なるべく早く妊娠前の体型に戻りたいと思います。そのことから、食事を控える方も見られます。産後の身体の回復をするためには、食事摂取が不可欠です。産後の食事制限は、止めましょう。栄養バランスの摂れた食事摂取が大事です。授乳中は、普段よりも350kcal多く摂ることが推奨されています。

 

避けたい食べ物・飲み物

避けたい食べ物は、インスタント食品です。塩分と脂肪分が多く含むので、食べすぎに注意しましょう。

避けたい飲み物は、アルコールとカフェインです。アルコールは摂取後、30分から90分後に母乳中の濃度が高くなるので、この時間の授乳は避けましょう。カフェインは摂取後、15分から30分後に母乳中が最高値となるので、授乳を避けましょう。

 

無理のしすぎ

産後は、妊娠前とは何においても異なります。疲れやすさから情緒不安定などがあります。とにかく無理をすることは、禁物です。疲れの回復力も異なります。辛いことなどがある場合は、何が辛いのかを明確にし、早めに対処をしましょう。

 

自転車や車の運転

会陰部の傷の痛みや疲労感なども考え、自転車や車の運転は、産後3週間後以降にしましょう。産後3週間後以降も、無理のない程度に行うことが望ましいです。

 

産後のヘアケア

産後のヘアカラーやパーマは、1ヶ月健診で医師から許可が出てから行いましょう。産後1ヶ月以内の美容院でのヘアケアは、お腹への負担を考え避けるべきです。数ヶ月に1回程度のヘアカラーやパーマは、母乳に影響はないといわれています。産後のママは、1カ月後からヘアケアのアレンジを楽しみましょう。

 

体調不良時について

産後は、発熱・頭痛・腹痛・便秘などの症状が出現することもあります。出産時の出血により、貧血からめまいや気分不快などを起こすこともあります。これらの体調不良時、自己判断で市販薬の服用は、止めてください。必ず医療機関に受診をしてから、医師の指示のもと、薬の服用をしましょう。授乳中の薬の服用は、ママから赤ちゃんへ影響を及ぼすことがあります。産後の体調不良は、お産に関係することが多いです。まずは、お産をした医療機関へ連絡をして相談することが望ましいと思います。妊娠中から産後は、虫歯になりやすいです。なかには、産後1カ月後から虫歯の治療が可能な場合もあります。歯科医の指示のもと、治療を受けましょう。

 

仕事復帰

労働基準法による母性保護規定では「産後8週間、女性を就業させることはできない」と明記されています。しかし、産後6週間は強制的な休業ですが、医師が支障ないと認めた業務に就くことは可能です。仕事復帰に関しては、産後の身体の状態をみながら復帰を考えましょう。

 

■産褥期を過ごすために

産褥期の負担を軽減するには、家事の工夫も考えられます。そこで、産褥期の負担軽減に利用できるサービスや時短できる家電製品を紹介します。

産褥期に利用を検討するサービスは、家事代行サービス・ベビーシッター・産後ヘルパー・産褥・産後シッターなどがあります。

食品関係は、食材配達サービス・ネットスーパー・弁当の宅配サービスです。家電製品は、食洗器・ロボット掃除機・乾燥機付き洗濯機などがあります。利用できる時期やサービス内容は、それぞれ異なります。自分が必要と感じるサービスの利用を検討するのも良いでしょう。

例えば、赤ちゃんと一緒にスーパーへの買い物に負担を感じる場合は、食材配達サービス・ネットスーパーの利用方法があります。赤ちゃんの世話を希望する場合は、ベビーシッターの利用が好ましいです。

もしくは、家電製品の利用で家事の負担を軽減することもできます。産褥期だけでなく、育児をしていく中でも利用できるサービスや家電製品もあります。一時的にサービスを利用することも可能です。サービスの利用を検討し、家事への負担軽減を図るのも良いでしょう。

 

まとめ

産褥期は、とにかく無理をしないことが大切ですね。慣れない赤ちゃんの世話と疲れやすい身体なので、休めるときに休むことが必要です。無理をすると、産褥期以降にも響くので、注意をしましょう。

産後の時期に応じた過ごし方をし、禁忌事項は避けることで、産後は順調に回復します。赤ちゃんと有意義に過ごせるよう、産褥期に合った生活を送りましょう。

 


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