妊婦さんが注意したい意外な飲み物6選 妊娠中の水分補給はなにを選ぶ?

妊娠がわかると、ちょっと注意したいのが飲み物です。飲み物によっては、お腹の赤ちゃんへの影響が心配されるものもあるからです。飲み物には多くの種類があり、妊娠中はなにを選んだら安心なのか混乱してしまうこともあるかもしれません。今回は、意外に見落としがちな妊婦さんが注意したい飲み物をご紹介します。

妊婦さんが量を気にしないで飲めるものは?

妊娠中に量を気にしないで安心して飲める飲み物は、水、麦茶、無糖や甘味料の含まれていない炭酸水です。これら3つの飲み物は、ノンカフェイン、ノンアルコールで、妊娠中に気になる糖分も含まれていません。しかし、無糖の炭酸水の場合、たくさん飲むとお腹が張るなどの症状が出る場合もあるため、体の様子をみながら量を調整することが大切です。

 

そのほかに、牛乳も安心して飲むことができますが、脂肪分が多く含まれています。牛乳を水や麦茶代わりに飲むのではなく、1日にコップ1~2杯を目安にすることがおすすめです。

 

気温が高くなる時期には熱中症予防のために、水分補給を心がけている妊婦さんも多いのではないでしょうか。人間の体の半分以上は水分が占めており、体の水分のうち5%ほど失うと、熱中症の症状が現れ始めるといわれています。

 

妊娠前の体と比べると、妊娠中は基礎体温が上がることによって代謝が良くなり、汗をかきやすくなるといわれているため水分補給が大切です。では、どのくらいの量を目安に水分補給をしたら良いのでしょうか。

 

個人差はありますが、人間は水分補給として一般的に約1.2Lの飲み物が必要であるといわれています。しかし、人間の体に必要な水分量は1日に約2.5Lです。飲み物以外の約1.3Lは、食事から摂取する水分約1.0L、代謝によって作られる水約0.3Lが含まれています。食事では、野菜、肉や魚など食品に含まれている水分や、汁物などから水分を摂取できるのです。

 

妊娠初期でつわりの症状がある場合は、食事からの水分補給が難しいかもしれません。妊娠中の体やお腹の赤ちゃんに影響のない飲み物を中心にして、水分補給を心がけましょう。また、つわりによって飲み物も摂取できない場合は、かかりつけ医に相談し、脱水症状にならないよう注意することが大切です。

 

【参考】厚生労働省 「健康のため水を飲もう」推進運動

 

妊娠中に注意したい飲み物の成分

妊娠中には、水や麦茶、無糖の炭酸水だけでなく、気分転換にいろいろな飲み物を飲みたい日もありますよね。飲み物に含まれている成分のうち、妊娠中に注意したいものをまとめました。

 

アルコール

妊婦さんが飲酒をすることで赤ちゃんに影響があることはよく知られており、妊娠を希望する時期からアルコールを控える人もいるのではないでしょうか。妊娠中の飲酒は、流産、死産を引き起こす可能性があります。また、「胎児性アルコール症候群」と呼ばれる、生まれてくる赤ちゃんの発育に影響が出る可能性が高まることが知られています。

 

胎児性アルコール症候群とは、生まれてくる赤ちゃんに起こるさまざまな症状のことを指します。出生体重が低体重の傾向、平らな顔や小さいあごなどの特徴的な顔貌、脳障害や心臓の奇形など、アルコールによって赤ちゃんに起こる症状です。

 

飲酒量が増えるほど、胎児性アルコール症候群のリスクが高くなるといわれていますが、少量の飲酒でも安心はできません。そのため妊娠中は、アルコールを含む飲み物は避けることが大切だといわれています。

 

妊娠前にお酒を飲むことが好きだった場合、禁酒をするとストレスになるかもしれません。現在はノンアルコールビールやノンアルコール酎ハイなど、ノンアルコール飲料の種類が充実しています。お酒を飲みたくなったときは、ノンアルコール飲料を上手く取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

【参考】e-ヘルスネット 胎児性アルコール症候群

 

カフェイン

妊娠中のカフェイン摂取は、お腹の赤ちゃんの成長遅延、低体重、早産などと関連する可能性があるといわれています。また、妊娠をしていない時期でも、カフェインの過剰摂取によって心拍数の増加、吐き気、めまい、不眠症など、体への影響が心配され、厚生労働省から注意喚起がされています。

 

世界保健機関(WHO)では2001年に、「カフェインの胎児への影響はまだ確定はしていない」と前置きしつつ、妊娠中のカフェイン摂取の目安量を示しています。具体的な目安量は、コーヒーでは1日3~4杯です。

 

また、海外ではカフェイン摂取量を制限している国もあります。例えば、カナダでは、健康な成人はコーヒーをマグカップで約3杯(カフェイン量400mg)、妊婦さんや授乳中のママはコーヒーをマグカップ約2杯(カフェイン量300mg)としていますし、イギリスでは、妊娠中の女性に対して、コーヒーをマグカップで約2杯(カフェイン量200mg)に抑えるように求めています。

 

カフェインを含む飲み物は数多くあり、日本で一般的に飲まれている緑茶、紅茶、コーヒー、ほうじ茶、ウーロン茶などにも含まれています。飲み物に含まれているカフェイン量を以下にまとめました。

 

飲み物に含まれているカフェイン量(カップ1杯分の目安)

・コーヒー:90mg/150ml

・インスタントコーヒー:86mg/150ml

・玉露:240mg/150ml

・紅茶:45mg/150ml

・せん茶:30mg/150ml

・ウーロン茶:30mg/150ml

 

コーヒーやお茶の抽出方法や抽出時間によって、カフェイン量は増減するといわれているため、上記のカフェイン量は目安として参考にしてください。

 

日本ではカフェインの過剰摂取の注意喚起がされていますが、健康時や妊娠中の摂取目安量を明確に示しているわけではありません。WHOや海外の国々のカフェイン摂取量を目安にして、調整することがおすすめです。

 

しかし、少しでもカフェイン入りの飲み物を飲むと止まらなくなってしまうほか、赤ちゃんへの影響があるものは避けたいと思っている妊婦さんもいるかもしれません。カフェインレスコーヒーなどのカフェインを抑えた飲み物もあるため、活用してみてはいかがでしょうか。

 

【参考】

食品安全委員会「食品中のカフェイン」

厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」

 

 

ポリフェノール

数年前からポリフェノールの過剰摂取による、お腹の赤ちゃんへの影響が指摘されています。ポリフェノールは、ほとんどの植物に含まれている成分です。ポリフェノールは抗酸化作用があるといわれており、健康づくりにも注目されています。

 

しかし、妊娠中、特に妊娠後期にポリフェノールを過剰摂取することで、動脈管早期収縮の原因になる可能性があるといわれています。動脈管早期収縮は、お腹にいる赤ちゃんの動脈管が狭くなり、遷延性肺高血圧や右室壁肥厚が起こる疾患です。

 

ポリフェノールが多く含まれている食品は、ぶどう、ブルーベリー、オレンジ、ナス、ココア、チョコレート、コーヒーなどがあります。現状では、妊娠中にポリフェノールをどのくらいの量に抑えたらよいのかは言及されていません。

 

水や麦茶の代わりにポリフェノールを多く含む飲み物を飲んだり、多く含む食品を毎日食べたりしていたことで、赤ちゃんに動脈管早期収縮が起こったと疑われた報告もあります。そのため、特定の食品に偏らず、幅広い食品や飲み物から栄養を摂取することがおすすめです。

 

【参考】

母体のプルーン(アントシアニン)過剰摂取による動脈管早期収縮が疑われた新生児の一例

胎児動脈管早期収縮の診断と管理

 

 

各種ハーブ

ハーブにはさまざまな種類があり、古くから料理や薬用として使われてきました。医薬品と比べると、ハーブの体への影響は緩やかなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、思わぬ形で影響がある可能性があるため注意が必要です。

 

カナダでは、妊娠中に適さないハーブティーとして、カモミール、アロエ、フキタンポポ、センナの葉、ジュニパーベリーなどを挙げています。また、量の調整によって飲めるハーブティーも挙げており、ローズヒップ、オレンジの皮、ショウガなどの一部のハーブティーは、1日2~3杯であればおそらく安全であると考えられています。

 

ハーブティーはノンカフェインのものもあり、妊娠中に取り入れたくなるかもしれません。妊婦さんでハーブティーを飲みたい場合は、妊娠中も飲めるものかを確認することがおすすめです。

 

【参考】

Your Guide to a Healthy Pregnancy

 

妊婦さんが注意したい意外な飲み物6選

妊娠中は、口に含む食べ物や飲み物に気を使う場面が多くあります。ノンカフェインだから妊娠中も飲めると思っていても、気を付けたい成分が含まれている可能性もあります。ちょっと見逃しがちな、妊婦さんが注意したい成分が含まれている飲み物を6つまとめました。

 

1.ルイボスティー

ルイボスティーは赤茶色が印象的なお茶です。カフェインを含まないことから、妊婦さんの間で注目している人もいるのではないでしょうか。ルイボスティーの原料となる植物のルイボスは、南アフリカに自生するマメ科の低木です。南アフリカでは古くから発酵茶として親しまれてきました。

 

ルイボスティーにはポリフェノールの一種であるフラボノイドが含まれています。飲み物としてルイボスティーは安全なものですが、赤ちゃんへのリスクをできる限り抑えたい妊娠中は、水や麦茶の代わりに飲むことは避けるほうが良いかもしれません。

 

2.ココア

ココアは、カカオ豆を加工して得られるカカオマスから脂肪分の一部を取り除いたものが原料です。カカオマス中には、ポリフェノールやカフェインが含まれています。カフェインの量はコーヒーと比べると少なく、コップ1杯150mlの牛乳に5gのココアパウダーを溶かしたカフェイン量は8mgほどになります。含まれているカフェインは少ないですが、ポリフェノールも含まれているため過剰摂取には注意したいものです。

 

3.一部の100%果汁ジュース

ぶどう、オレンジ、ブルーベリー、プルーンなど、一部の果物にはポリフェノールが多く含まれています。飲み物としては、これらを使った100%果汁のジュースの飲みすぎには注意したいものです。

 

動脈管早期収縮が起こった赤ちゃんの母に妊娠中の食生活の聞き取りをしたところ、毎日プルーン3個と種々のドライフルーツ、1日1杯市販の青汁を積極的に摂取していたとの報告があります。動脈管早期収縮にはさまざまな要因があるため、プルーンなどに含まれるポリフェノールが原因とは言い切れませんが、関与した可能性があるかもしれないと考えられています。

 

ポリフェノールを多く含む果物を過剰に食べるほか、妊婦さんが習慣として100%果汁ジュースを飲むと、ポリフェノールを多く摂取してしまう可能性があります。ほかの食品とのバランスを考慮しながら、飲む量を調整しましょう。

 

【参考】

母体のプルーン(アントシアニン)過剰摂取による動脈管早期収縮が疑われた新生児の一例

 

 

4.青汁

野菜不足の解消や健康づくりのために青汁を飲んでいる方もいるかもしれません。青汁の原料には、明日葉、大麦若葉、ケール、抹茶などが使われており、ポリフェノールやカフェインが含まれている可能性があります。

 

ポリフェノールやカフェインの含有量が記載されているものもあるため、青汁を飲みたい日は量を調整して飲むことがおすすめです。栄養は食事から摂取することが基本になります。どうしても栄養が偏ってしまう日だけ青汁を活用するなど、食事のバランスを考慮して取り入れることがおすすめです。

 

5. 栄養ドリンク

元気が出ない日には、栄養ドリンクを飲むことを選択する方もいると思います。栄養ドリンクにはカフェインが含まれているものがあり、妊娠中には注意が必要です。また、エナジードリンクと呼ばれている清涼飲料水には、栄養ドリンクよりもカフェインを多く含むものもあります。

 

一般的に栄養ドリンクと呼ばれているものは医薬部外品です。医薬部外品には、効能や効果を記載でき用法や用量が決められています。効能として「妊娠授乳期又は産前産後の栄養補給」と表示されている栄養ドリンクもあります。

 

妊娠中にも飲める栄養ドリンクでも、カフェインを含むものもあるため、用法や用量を正しく守らずに飲むと妊娠中の体やお腹の赤ちゃんに影響がある可能性があります。栄養ドリンクを飲みたい場合は、1日のカフェイン量を考慮することが大切です。

 

6.酒粕で作られた甘酒

甘酒には米麹を原料にしたものと、酒粕を原料にしたものがあります。酒粕は日本酒を絞りだす工程で残った固形物です。酒粕にはアルコールが残っているため、妊婦さんは酒粕から作られた甘酒は避けましょう。

 

市販の甘酒には、原料や含まれているアルコールの量が記載されているものもあります。甘酒を飲みたい場合は表示を確認して、ノンアルコールの米麹から作られた甘酒を選ぶことがおすすめです。

 

まとめ

妊娠中は、妊娠前の生活習慣を変える必要がある場面もあるため、ストレスがたまってしまうこともあるかもしれません。飲み物では、妊婦さんや赤ちゃんに影響があるアルコールやハーブティー以外は量を調整しながら飲むことができます。それらの妊娠中に気になる成分が含まれている飲み物は気分転換したいときに飲むなど、上手く取り入れながら妊娠期間を過ごしていきたいですね。


\ 妊婦が気を付けたい!食べ物編 /
妊娠中に注意したい意外な食べ物とは??アルコールやカフェインだけじゃない!

\ 妊婦でも飲みたい! /
妊娠中・授乳期間中におすすめノンアルコール15選!ビール、カクテルやワインも!お酒好きのママの味方!