2021年11月01日 00:00
子育てをしていて、「母乳は足りているのかな?」と悩んだことのあるママは多いでしょう。実際に飲んだ量も見えなければ、赤ちゃんもまだしゃべらない……、そんな状況で不安を感じるのは当たり前かもしれません。そこで今回は、母乳不足をチェックする方法と、母乳を増やすおすすめの方法をご紹介します。
「母乳不足かも」と思ったとき、まずチェックしてほしいのは赤ちゃんの様子です。次の3つのサインのうちどれかに当てはまれば、母乳不足の可能性があります。普段から赤ちゃんの様子を見ているママであれば、ちょっとした変化にも気付けるはず。「あれ?」と思うことがあれば、医療機関に相談してみてください。
母乳不足かどうかチェックするには、まず体重を確認します。
赤ちゃんの体重の増加量は、3カ月までは1日25~30g、半年までは1日15~20g、1歳までは1日10~15gといわれています。この数値を目安にして、赤ちゃんの体重があまりに増えていない場合は一度相談してみてください。
また、出生直後の赤ちゃんは体重が減少することもあります。これは「生理的体重減少」といい、正常な状態なので心配いりません。ただ、出生体重の10%以上減少したり、1週間経っても増加し始めなかったりする場合は、医療機関に相談しましょう。
1歳までの排尿回数は、1日10回以上といわれています。半年までは15~20回程度です。個人差はありますが、この回数よりも極端に少ない場合は母乳不足の可能性もあります。回数は十分でも、1回で排尿する量が減った場合は注意してください。
排便に関しては個人差が大きく、成長するにつれて回数が減ってくるものです。普段の排便の回数をチェックして、極端に少なくなった場合は医療機関に相談してみましょう。
次のような場合は脱水症状が疑われます。すぐに医療機関を受診してください。
・唇が乾燥している
・尿の色が濃い
・いつもより眠りがち
・お腹が空いているはずなのにおっぱいを飲まない
・無気力
脱水症状でなくても、体調不良である可能性はあります。発熱や下痢、嘔吐などもないか確認してください。何か別の病気が潜んでいる場合もあるので、「いつもと違う」と感じた場合は必ず医療機関に相談しましょう。
母乳不足のサインにもいろいろありますが、実は誤解されているものも多くあります。「よく泣く」「授乳回数が多い」「おっぱいが張らない」などはその代表的なもの。もちろん、母乳不足である可能性も考えられますが、先ほどご紹介した「体重が増えない」「排泄量が少ない」「脱水症状」に当てはまらなければ大丈夫だと考えてください。
以下の様子は、母乳不足のサインではありません。
・よく泣く
・夜中に何度も起きる
・授乳回数・時間が多い
特に新生児期は、赤ちゃんもまだ上手におっぱいが飲めない時期です。一度に少量しか飲めない赤ちゃんもいます。その場合は、授乳回数や時間が増えて当然。体重が増えていれば、回数や時間は気にしなくて大丈夫です。
また、お腹が空いているわけではなく、ただ甘えたいだけのときもあります。泣いたり夜中に起きたりするのは、赤ちゃんにとって当たり前の姿なので心配しなくてよいでしょう。
母乳は、始めからたくさん出るわけではありません。出産直後は出ないのが当たり前なので、母乳不足だと思わなくて大丈夫。たくさんおっぱいを吸ってもらうことで、母乳の分泌量が増えていきます。
また、数カ月するとおっぱいが張らなくなる場合もあります。搾乳してもあまり出ず、「母乳が出なくなってしまったのでは?」と悩む方も多いようです。ただこれは、授乳量が安定してきた証拠。赤ちゃんが順調に育っていれば問題ないので、今まで通り授乳を続けていきましょう。
授乳の回数や時間も含め、子育てのペースは人それぞれ違います。ただ、初めての子育てだと「これで本当に大丈夫?」と不安になることも多いでしょう。そこで今回は、月齢別に授乳ペースの目安をまとめてみました。ただし、あくまで目安です。この通りでなくても赤ちゃんが元気に育っていれば問題ありません。
新生児期とも呼ばれるこの時期は、一度に飲めるおっぱいの量が少ないのが特徴です。そのため回数が多く、1日に10回以上、なかには20回もおっぱいを飲む赤ちゃんもいます。おっぱいを吸ってもらうと母乳の分泌量が増えるので、回数にはこだわらず欲しがるだけ飲ませてあげてください。
時間は、左右それぞれ5~10分程度を目安にしましょう。間隔は3時間おきが目安ですが、赤ちゃんが欲しがればもっと短くても大丈夫です。
一度に飲めるおっぱいの量が増えてきて、授乳回数は1日7~10回くらいに減ります。間隔も2~3時間おきに落ち着いてくるでしょう。ただし、欲しがるだけ飲ませてあげて問題ないので、ペースが早かったとしても気にせず授乳してあげてください。
授乳時間は、左右それぞれ10分程度が目安です。飲める量が増えてくるので、1回の授乳時間が長くなってきます。
2カ月頃と大きく変化はありませんが、ペースはさらに安定してきます。夜間の授乳回数が減る赤ちゃんも出てくるでしょう。その分日中の授乳時間が長くなり、左右それぞれ15分くらいになる場合もあります。
また、母乳の分泌量が安定し、おっぱいが張らなくなる時期でもあります。母乳不足を心配する方も多いですが、赤ちゃんが順調に育っていれば心配ありません。
1日の授乳回数は6~8回に落ち着いてきます。夜間の授乳が必要なくなる赤ちゃんも出てくるでしょう。授乳時間は3カ月頃と同じくらいを目安にしてください。
離乳食が始まれば、授乳量や回数は少しずつ減っていきます。離乳食のペースも赤ちゃんによって異なるため、足りない分はしっかりと授乳してあげてください。
出産後すぐに母乳が出るわけではなく、飲む量やペースも赤ちゃんやママによって違います。ただ、赤ちゃんのためにできるだけ母乳を増やしてあげたいと思うのは、当然の感情でしょう。そこで、家庭でも簡単にできる母乳を増やす方法をご紹介します。
母乳の分泌量を増やすには、赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことが一番です。その理由は、プロラクチンと呼ばれる母乳を作るホルモンが分泌されることにあります。
プロラクチンの濃度は産後に最も高くなり、そこから低下していくそう。しかし、乳首への刺激があれば再び濃度が高くなります。つまり、頻繁におっぱいを吸ってもらえば母乳を作るホルモンの濃度が高い状態を保てるということです。母乳を増やすためには、赤ちゃんが欲しがるだけでしっかりと授乳してあげましょう。
「母乳が足りないのでは?」と感じる原因の一つに、飲みづらさがあるかもしれません。これは、授乳中の姿勢も関わってきます。正しい姿勢でなければ、赤ちゃんがうまく乳首をくわえることができません。飲み残しが増えてしまうと母乳の分泌量が減ってしまう可能性も。母乳を増やすためには、正しい姿勢を心がけることが必要なのです。
ただ、赤ちゃんやママによって適している授乳姿勢は違います。一般的な横抱きだけでなく、フットボール抱きや縦抱きなども試してみて、一番合っている姿勢を探してみるとよいでしょう。
母乳は血液です。つまり、血流をよくすればそれだけ母乳の量も増える可能性があります。自分の足首やお尻などを触ってみて冷えていると感じたら、体を温めてみましょう。
おすすめなのは入浴です。全身を温めてくれるだけでなく、リラックス効果も期待できます。忙しいときや産後1カ月以内の時期は、フットバスなども試してみてください。
また、体を温めるためには「首」が大事といわれます。特に靴下は、手軽に体を温められるアイテムです。くるぶしまで隠れるタイプのものを選ぶと効果が高まります。軽い運動で全身の血流を上げるのもおすすめです。
慣れない育児でストレスを溜めている方もいるでしょう。ただ、ストレスは母乳量にも影響します。「母乳が足りていないのかも」と心配し過ぎるのも、ストレスの原因です。
赤ちゃんが小さいと難しいこともあるかもしれませんが、自分なりのストレス解消法を見つけて上手にリフレッシュしていけるとよいですね。家族や自治体のサービスも頼りながら、1人になる時間を作るのもよいでしょう。
「母乳不足だから」と判断して、すぐにミルクを足すのはおすすめしません。先ほどもご紹介したように、母乳の分泌量は赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことで増えていきます。すぐにミルクに頼ってしまうと、いつまでも母乳が増えなくなってしまうのです。
ミルクを足す場合は、まず産院の先生や助産師さん、保健師さんなどに相談してみてください。体重の増加具合なども見ながら、適切なアドバイスをくれるはずです。
母乳を増やすためには、体を温めて血行をよくするのが大事です。そのためには、食べ物や飲み物にも気を遣ってみましょう。
おすすめなのは根菜類です。ごぼうやイモ類、レンコンなどは体を温めてくれる効果があるので、積極的に食べましょう。鉄分を多く含んでいるドライプルーンや赤身の肉、緑黄色野菜などもおすすめです。特に、貧血気味の方や出産時の出血量が多かった方は意識して食べてみてください。飲み物はなるべくホットを選びましょう。
ただし、いくら体によいからといって1つの食材に偏るのは危険です。いろんな栄養素を意識しながら、バランスのよい食事を心がけていきましょう。
初めての育児で、赤ちゃんが順調に成長しているかどうか不安に感じるママは多いはずです。ただ、心配し過ぎてストレスを溜めるのはよくありません。悩みや不安があれば、助産師さんや保健師さん、家族や友人に相談してみてください。今回の記事も参考にしながら、気楽にゆったりと子育てを楽しんでいきましょう。
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