【看護師監修】妊娠初期の基礎体温の特徴!妊娠していない時との違いって?

妊娠しているかも?と思ったときに、いろいろと検索する人も少なくないはず。妊娠が確定するまでソワソワして、ちょっとした変化も気になるでしょう。そこで、妊娠初期の基礎体温グラフの特徴と、妊娠していない時と体温グラフの違いをご紹介します。

基礎体温とは?

基礎体温とは、生きていくために必要なエネルギーを消費している間の体温のことです。安静にしているときの体温を測定するため、起床時に寝たまま測定します。正しく測定するために枕元に基礎体温計を準備しておき、目覚めたらすぐに測定しましょう。

 

女性が基礎体温を測定することで、さまざまなことを把握することができます。たとえば、排卵日や生理、そして、妊娠の有無です。特に、妊娠は体に起こる大きな変化です。基礎体温を測定していることで、妊娠初期の段階で気付くこともできます。

 

使用する体温計は、基礎体温を測定するための「基礎体温計(婦人体温計)」を使用しましょう。一般的な体温計の表示される値は小数点第一位(0.1単位)までですが、基礎体温計は小数点第二位(0.01単位)まで表示されます。

 

また、測定部位は一般の体温計は脇の下ですが、基礎体温計は口の中で測定しましょう。薬局で購入でき、体温を記入するグラフはネットからダウンロードするか、薬局や病院でも手に入ります。

 

では、妊娠していないときの基礎体温と妊娠初期の基礎体温ではどのような違いがあるのでしょうか?

 

 

妊娠していないときの基礎体温の特徴

まずは、妊娠していないときの基礎体温の特徴を見ていきましょう。妊娠していない時の基礎体温は、自分の体の状態を把握するための方法の1つです。妊娠した時のためにも妊娠していない時の基礎体温の特徴を知り、自分の体のサイクルを知っておきましょう。

 

 

 低温期と高温期の二層になる

女性の体はホルモンの影響を受けて、1か月の間に低温期と高温期があります。

 

低温期では体温が低くなります。低温期にはエストロゲン(卵胞ホルモン)というホルモンが増加することで、体温が低くなります。期間は、生理がスタートしたときから次の排卵日までの2週間です。

 

高温期では、ホルモンの一種であるプロゲステロン(黄体ホルモン)が増えます。その影響で、低温期よりも0.3~0.5℃ほど体温が上昇する仕組みです。排卵日の初日から次の生理までが高温期に該当します。

 

このように、基礎体温のグラフは二層になります。妊娠していないときは、低温期・高温期のサイクルを繰り返します。変化するタイミングは、排卵日と生理日です。ただし、基礎体温は1ヶ月測定しただけでは、自分のパターンを把握することはできません。最低、3ヶ月は測定を行いパターンを把握しましょう。

 

グラフが二層にならないこともある

女性の体は、ストレスや環境などの影響を受けやすい一面があります。体に起こる変化は、頭痛やイライラといった変化だけではなく、ホルモンのバランスが崩れることも。すると、体温に影響するため、基礎体温のグラフが変化します。

 

グラフは二層になることが特徴ですが、理想通りの二層にならないことも珍しくありません。たとえば、先月までは二層になっていても、次の月にはならなかったという声もあります。

 

しかし、グラフが二層にならないといって、測定を辞めてしまうと変化を把握することができません。前項で、2週間ごとに低温期・高温期が変化すると説明しましたが、体の変化は個人差があることを忘れてはいけません。

 

そのため、ガタガタであっても二層に分かれたり、2週間よりも長い期間で二層に分かれたりします。途中で嫌になることなく、毎朝、測定することを続けましょう。

 

 

妊娠初期の基礎体温の特徴

妊娠初期とは、妊娠5週~13週(約2ヶ月)ごろまでの期間です。妊娠初期の基礎体温は、体温は36.7℃以上を保ちます。人によっては、熱っぽさやぽかぽかと感じる体温です。この時期になると妊娠検査薬で反応がでるため、陽性だった場合は産婦人科に受診しましょう。ここからは、妊娠初期の基礎体温の特徴を見ていきましょう。

 

 2週間以上高温期が続く

通常、高温期は2週間程度で低温期になり、次の生理が来ます。しかし、妊娠をしていると高温期のままで、21日以上続いている場合に妊娠の可能性を考えましょう。普段から高温期が高い場合は、高温期+2日以上続いたら妊娠しているかもと考えて行動することが大切です。

 

高温期のタイミングで咳が出たり、鼻水が出たりと風邪の症状などがある場合は、安静にして様子をみましょう。妊娠の場合は、高温期が続いても鼻水や咳といった症状はありません。ただし、体のだるさや頭痛といった症状を妊娠初期の時期に感じる方もいます。

 

そのため、妊娠の可能性が少しでもある場合は、妊娠検査薬でチェックしましょう。また、受診する場合は基礎体温のグラフを忘れずに持参することが大切です。グラフがあることで、それまでの経過や今回との違いを比較することができます。

 

体温が二段階で上がることもある

妊娠初期では高温期が二段階で上がることもあります。これは、プロゲステロンが妊娠をしたことで、さらに多く分泌されるからと考えられています。ただし、高温期のグラフが二段階で上がらないことも。

 

そのため、二段階にならなくても高温期を継続している場合は、受診するまでは体を大切にしましょう。

 

高温期が続く理由

なぜ、高温期が続くのでしょうか?

まず、排卵のタイミングでプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されます。プロゲステロンの働きは、「受精卵が育つように体温を上昇させること」と「受精卵が着床しやすくなるように、子宮の内側の壁(子宮内膜)を柔らかくすること」の2つです。

 

妊娠をしていなければ生理の前にプロゲステロンの分泌量が減少。すると、低温期になり生理が来ます。しかし、妊娠している場合は妊娠を継続させる必要があるため、プロゲステロンの分泌量は減少しません。これが、高温期が継続される仕組みです。

 

妊娠初期に体温が下がる理由

妊娠をしていると体温は高温期を維持しますが、妊娠初期に体温が下がることがあります。妊娠を継続するために体温が高いままのはずが、体温が下がると「赤ちゃんに何かあったのかな?」と心配になりますよね。

 

ここでは、考えられる体温が下がる原因を3つご紹介します。ただし、原因を知っても心配がある場合は受診しましょう。

 

胎盤が完成したとき

プロゲステロンは妊娠するために分泌され、着床を手伝います。そのままプロゲステロンは分泌され続けるわけではありません。赤ちゃんが育つためには胎盤が必要です。胎盤が完成し赤ちゃんが大きくなるために必要な状態までになったとき、妊娠14週を目安にプロゲステロンの分泌量が減少します。

 

胎盤が出来上がり基礎体温が下がり始めると、基礎体温を測ることを終了してもいいと産婦人科で言われることもあります。

 

ただし、妊娠時の高温期に対する定義はありません。人によっては、体温が大きく上がらなかったにも関わらず妊娠していたということも。妊娠していない時と妊娠した時の体温を比較したり、心配な場合は産婦人科を受診したりしましょう。

 

体温の測定方法が正しくない

基礎体温の測定は口で行います。そのため、脇の下で測定するよりも少しコツが必要です。たとえば、目覚めたら寝たままの状態ですぐに測定する・舌の裏側にある筋にあてる・しっかりと口を閉じて測定するなどです。

 

体温は少し動いただけでも高くなります。そのため、基礎体温計は寝たままでも手が届く場所に置いたり、測定中に寝たりしないように注意しましょう。

 

流産の可能性がある

流産とは、妊娠22週未満に妊娠の継続ができなくなる状態です。また、妊娠12週未満では初期流産といいます。妊娠初期での流産の確率は8%~15%、そのうち初期流産は80%以上の確率です。妊娠12週までに体温が下がった場合は、流産の可能性が考えられるため受診しましょう。

 

ただし、流産は子宮の内容物が全て出てしまう完全流産と、一部だけ子宮内に留まる不全流産があります。不全流産の場合、すぐに体温が下がらないことも。プロゲステロンが徐々に減少していくと、不全流産から完全流産に移行することもあります。ただし、すぐに体温が下がらないことが特徴。体調の変化を感じたらすぐに受診し、必要な処置を受けることが大切です。

 

また、高温期にもかかわらず3日以上続けて体温が下がった場合は、化学流産またはプロゲステロンが十分に分泌されていない状態(黄体機能不全)の可能性があります。この場合もすぐに受診しましょう。

 

その他の理由

その他の体温が下がる理由は、妊娠していない・風邪をひいた・インプランテーションディップなどです。妊娠していなければ高温期があまり長く続きません。

 

風邪を引いた場合は妊娠初期症状と似ている部分があったり、ある程度風邪の期間が続いたりすることもあります。自分で判断することが難しいときは、生理予定日を過ぎているとき妊娠検査薬を使うか受診しましょう。

 

インプランテーションディップとは、数日だけ基礎体温が下がる期間のことを示す言葉です。医学的な根拠はありませんが、高温期の1日~2日ぐらい基礎体温が下がると言われています。ただし、すべての方の体温が必ず下がるわけではありません。もし、短い期間で下がった時は、インプランテーションディップかもと思う程度にしておきましょう。

 

さまざまな理由で体温がガタガタになっても、妊娠していない可能性は否定できません。生理がくるか、妊娠検査薬で陰性または受診をして陰性と判定されるまでは、自己判断しないことが大切です。

 

産婦人科を受診しよう

高温期が続くと「妊娠した」と思いますよね。しかし、高温期=必ず妊娠しているわけではありません。妊娠全体の15%程度は流産し、基礎体温が低下します。しかし、稽留流産という胎児が子宮内で亡くなるケースと、子宮内膜以外で妊娠する子宮外妊娠(異所性妊娠)の場合は高温が維持されます。

 

どちらのケースも必要な処置を受けなければ、母体が危険な状態になります。そのため、高温期+妊娠検査薬が陽性であれば、速やかに産婦人科を受診することが大切です。

 

体温の上昇以外の妊娠初期症状

妊娠は体温が高温期が継続することが目安ですが、その他にも妊娠初期症状と呼ばれる症状があります。たとえば、以下のような症状を感じやすいことが特徴です。

 

  • 着床出血
    生理よりは少ない出血量
  • 水っぽいおりものが増加する
    サラサラとして無臭。においや色がついている場合は受診すること
  • 熱っぽい・だるい・頭痛
    高温期が続くため風邪と勘違いしやすい

 

  • 眠くなりやすい
    プロゲステロンには眠気を強くする働きがある。休息できる環境であれば我慢せずに眠ることが大切

 

  • 食欲が変化する
    食欲がなくなった、増えた、無性にある食べ物だけを食べたくなったなど、食欲に関する変化が出ることもある

 

  • めまいやふらつき
    血液が子宮に行き始めたり、血圧が変化したりすることで感じる。ただし、日常生活に影響があるようなら受診すること

 

  • お腹が張る・突っ張る
    子宮が大きくなりはじめ、支えているじん帯が引っ張られる。そのため、お腹が張ったり突っ張ったりといった違和感を感じやすくなる

 

  • 肌荒れ
    ホルモンバランスが変わることが原因

 

  • 胃のむかつき・吐き気・げっぷが出やすくなる
  • 胸の張りや乳頭が敏感になる
    ホルモンの変化によって生理前のような胸の張りや、乳頭がチクチクしたり肌着が触れただけで痛みを感じたりする

 

  • 気分が変わりやすい
    ホルモンの影響を受けて、気分が変わりやすい。イライラしたり気分が落ち込んだりすることもある

 

  • においに敏感になる
    特定のにおいが苦手になったり、においに敏感になったりする

 

  • 便秘や下痢になりやすい
    食欲の変化で食事に偏りができ、便秘になることも。また、腸の働きが低下することも原因

 

妊娠は体に起こる大きな変化です。妊娠を継続させるために、体は準備をします。時間が立てば治まる症状ばかりですが、全く食べられない・すぐに吐いてしまう・めまいがひどすぎるなど日常生活に支障がある場合は、産婦人科で相談しましょう。

 

まとめ

女性の体はさまざまな影響を受けやすいことが特徴です。基礎体温は体の状態を知るだけではなく、妊娠に気付く方法の1つです。基礎体温を測定していることで、妊娠初期の段階で気付くことができます。基礎体温は妊娠している時としていない時では異なります。それぞれのグラフの特徴を知り、適切に対応しましょう。

 


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